行政 : 地方分権会議でNPO税制議論
3月4日、小泉首相の諮問機関である「地方分権改革推進会議」の小委員会で、NPO法人が国税庁長官から「認定」を受けて税制支援を受けやすくなるよう、財務省に要望が寄せられた。財務省は、認定が少ない理由については「まだ明確ではない」としながら、「日本の風土に必ずしもまだ馴染んでいない」という見解を示した。
小泉内閣は、地方分権を推し進めるため、平成13年7月に諮問機関として、内閣府のもとに地方分権改革推進会議(西室泰三議長:株式会社東芝取締役会長)を設置。これまで、国と地方自治体の役割分担に応じた事務や事業、税財源の配分のあり方や、地方自治体の行財政改革など行政体制について、調査審議を重ねてきた。
この推進会議のもとに置かれている地方分権改革推進会議・小委員会(水口弘一小委員長:中小企業金融公庫総裁)の3月4日の会議では、文部科学省、厚生労働省、財務省から担当者を呼び、ヒアリングを行った。このうち、財務省とのヒアリングにおいては、委員側から財務省に対してNPOがより国税庁長官からの「認定」を受けて活動できるよう、期待が述べられるとともに、委員会としても今後努力をしていきたいと抱負が述べられた。
同小委員会と財務省とのNPOに関するやりとりは、議事録(速報版)によれば以下のとおりである。
委員: NPO法人は全部でどれくらいあるのか。また、認定NPO法人の数を教えていただきたい。
財務省: 認定NPO法人は2月時点で22。
NPO法人は大変増えており、現在1万5,000まで増えてきている。1万5,000のうち認定NPO法人が少ないのではないかという議論も時々あるが、NPOは元々平成10年末に始まった制度であり、NPOという団体で法人税は原則非課税という措置が受けられる。
さらに寄附金を集めるときに寄附金控除等を受けられるかが認定NPO法人という制度だが、平成13年度改正で導入され、まだ日が浅く、昨年それを踏まえてかなり大幅な要件緩和を行った。平成15年4月からそれが動いているので、まさにこれから影響が出てくるところだと思っている。実際に、日本のNPO法人の現状は、活動の性質にもよるとは思うが、そもそも帳簿を作っていないところがかなり多いのも事実であり、活動の性質にもよるとは思うが、そういう中で幾つのうち幾つというよりは、そういう資格をとっているところが本当に入れないかどうかというところを見ていただければありがたい。
委員: NPOに対する期待は大きい。認定NPO法人になって税制上の優遇措置を受けられるようなところがこれから増えていくのはよいことだと思うが、何がボトルネックか。帳簿がないといったことなどがあると思うが、何が障害になっているのか。
財務省: 結局何が障害なのかがまだ明確になっていない。歴史の新しいものであり、日本の風土に必ずしもまだ馴染んでいない。しかも今の段階では事業活動自体にまだ目が行っている。これから金銭面の問題などが徐々に議論になってくるので、寄附を集めてやるところまで至っているNPO法人自体がどれだけあるかといった辺りも、もうしばらく様子を見て分析していく必要があるのではないか。良い面も出ているが悪い面も出ている。まだ少し時期が浅い気はする。
委員: 5分の1の基準も実績であり、鶏と卵になってしまう。認定を受けられたら5分の1をクリアするかもしれないが、受けられないから5分の1以下になって認定が受けられないということ。そういうものをクリアする方法が何かないか。
財務省: 5分の1というのは私どもから見るとかなり緩い。アメリカ等はもっと高い。まだ制度も浅く、おっしゃるようなこともあるので、昨年の4月から3年間は5分の1まで敷居を低くして、そこで少し入ってきていただこうというのが講じた措置の意識。
寄附行為自体が税金と関わりなく行われる部分がどのくらい基本的にあるかということもある。税金が減るから寄附する人ばかりではなく、税率が低いので、普通の人はそれほど税金でメリットはない。やはり評価の積み重ねは必要だと思う。
委員: NPOの問題はこれからまだ大きく期待をして努力していきたいと思う。後日関連事項で事務局から質問や照会があるかもしれないがよろしくお願いする。
地方分権改革推進会議は、今年7月初旬までの期限設置の会議で、5、6月頃には地方行財政改革についての報告書が出る予定である。
上記会議の議事概要などは、次のホームページから読むことができる。
http://www8.cao.go.jp/bunken/syou-iinkai.html