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2004年03月22日 10:00

行政 : 有識者会議、「主な論点」議論

 政府の「公益法人制度改革に関する有識者会議」は、17日の第7回会合で、新たな「非営利法人制度」に関して、事務局が示した「これまでの審議を踏まえた主な論点」をたたき台に議論を交わした。この「主な論点」では、新たな非営利法人(仮称)は登記のみで成立し、一定の公益性があると判断されると、何らかのメリットを享受できる方向としている。また、公益性の有無は、縦割りの弊害を避ける観点から「統一的な機関」で判断することが必要としている。有識者会議は、3月末を目途に、議論をまとめた中間整理を公表する予定だ。

 

 金子一義行革担当大臣の私的諮問機関「公益法人制度改革に関する有識者会議」(座長・福原義春資生堂名誉会長)は、2003年の11月に設置され、3月17日までに月に1~2度の頻度で開催されてきた。

 初回の会議で、3月末までにいったん「論点整理」をし、秋を目途に会議の報告をとりまとめる方針が確認されている。

 17日開かれた第7回会合では、3月末を目途に行う「論点整理」のために、事務局が「これまでの審議を踏まえた主な論点」と題する資料(以下「主な論点」と略)を配付し、それをもとに委員の意見が交わされた。

 この「主な論点」では、新たな非営利法人は「公益性」の有無に関わらず、準則主義(登記)により簡便に法人格を取得できるようにする一方で、「公益性」を持つと判断された法人を何らかのかたちで優遇する2段階方式の仕組みとなることとされている。

 2段階にする理由としては、「公益性を有するに相応しい規律のしっかりした法人の受け皿となる仕組み」をつくることにより、

  1. 市場経済では供給が困難な財・サービスが安定的に提供される、
  2. そうした仕組みが、寄附やボランティアといった私人の善意の受け皿となることを通じて、私人の公益的活動が促進される、

といった意義を強調している。

 では、誰がその公益性を判断するのか。

 注目されていた公益性の判断主体は、現在の主務官庁制の弊害を避ける観点から「統一的な機関」で判断する必要があると「主な論点」には盛り込まれている。

 判断主体の候補としては、

  1. 国等の機関が公益性を判断し、その仕組みを民法など税法以外の法律で規定する、
  2. 専ら税制上の効果に着目し、税法以外には公益性を取扱う仕組みを特に設けない、
  3. 国等の機関は公益性を判断せず、民間機関が行う、

という3つの考え方が俎上に載せられている。

 判断する主体がどこになるにせよ、「公益性」の判断基準は、客観的で明確にする必要があるとされている。しかし、具体的な内容までは書かれていない。

 ただ、活動実績を一定要求されることになりそうだ。

 今後、基準を議論することになっていくが、その際には、現行の民法・指導監督基準やNPO法人制度の関連規定などを踏まえ、「定量的に捉える」観点も考慮にいれていく。法人、事業の規模に配慮した要件や地方における判断の仕組みに応じた要件も検討していくとしている。

 「公益性」があると判断された法人がどのようなメリットを受けることができるかについて、とりわけ税制上の優遇措置がどうなるかが注目されていたものの、「主な論点」で触れられていない。

今後は、

  1. 税制上の措置、
  2. 法人のガバナンスの強化、
  3. 社会的信用の向上

などの視点を踏まえて検討していくとしている。

 この公益法人制度改革は、2003年6月27日に閣議決定された「公益法人制度の抜本的改革に関する基本方針」において、NPO法人は、とりあえずはこの制度改革の対象外となることが決まっている。

 しかし一方で、方針のなかでは、「なお、非営利法人制度の設計に当たっては、現行の公益法人制度の問題点を踏まえた検討を行い、現行の中間法人制度・NPO法人制度との法制上の関係を整理することとする」とされており、NPO法人にとっても予断を許さない状況が続いている。

 「主な論点」では、NPO法人に関しては、「今後の検討課題」となっており、以下のように触れられている。

(公益性の判断要件の部分で)
「・具体的な要件について、公益性を取扱う仕組みの効果を念頭に置きつつ、現行の民法・指導監督基準及びNPO法人制度等の関連規定や、公益法人制度等の実態を踏まえ、定量的に捉える観点も含め、さらに検討」

 第8回は3月22日に開催される。3月は残り少ないが、あと1~2回開催された後、今月中を目途に、「中間整理」が公表される見通しだ。

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