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2004年05月26日 10:00

行政 : 輸出品への消費税不要に

 NPO法人が海外の非営利団体へ物品を寄贈する場合、NPO法人から発注を受けたメーカーや商社が、直接、輸出手続きをするときには消費税が免除されることが明らかになった。NPO法人プロジェクトHOPEジャパンが昨年12月、東京国税局に対して行った照会に対して、5月11日、回答が寄せられたもの。なお、本件はプロジェクトHOPEジャパンだけでなく、すべてのNPO法人に適用され、輸出品目は医療機器に限らず全ての物品に適用される。

 

 開発途上国において医療支援活動を行っているNPO法人プロジェクトHOPEジャパン(東京都武蔵野市、理事長:甲谷勝人)は、昨年12月4日に、海外の非営利団体に物品を寄附した場合の消費税の取扱いについて、国税庁に照会文の形式で問い合わせをしていた。

 同法人の活動のなかには、医療機器などの物品を日本国内のメーカーから購入し、これを海外へ送るものも含まれているが、国内で消費されるのではなく、海外での消費にも関わらず、購入の際に消費税がかかることについて疑問を持ち、税務当局に照会していたもの。

 この照会文と、5月11日付の東京国税局審理課長からの回答文によれば、NPO法人から物品の発注を受けた国内のメーカーや商社自身が輸出手続をするのか、あるいは、いったんNPO法人が物品を受け取ってNPO法人が輸出手続をするのかで消費税の課税の有無が変わってくる。

 消費税が課税になるケースと、非課税になるケースは以下のようなもの。

  • 消費税が「課税」となるケース

     NPO法人が、国内の事業者から国内で物品を購入し、いったんそのNPO法人が引渡しを受け、このNPO法人自身が輸出手続きを行って海外の非営利団体に寄附する場合。この場合は、購入代金に消費税がかかる。

  • 消費税が「非課税」となるケース

     NPO法人が、国内の事業者から物品を購入し、代金の支払いは国内において行うが、契約書において物品の納品先を海外の非営利団体とし、国内の事業者が直接輸出手続きをした場合。この場合は、購入代金に消費税はかからない。

 上記の消費税の扱いが明確になったことは、他の国際協力などの活動を行っているNPO法人にも大きな影響があると見られる。

 シーズの調べでは現在のところ、国税当局に対する事前照会で回答を得たのは、NPO法人としてはプロジェクトHOPEジャパンが始めて。

 なお、プロジェクトHOPEジャパンが利用した「事前照会」制度は、平成13年9月から始まったもので、次のアドレスの国税庁ホームページに説明がある。

 http://www.nta.go.jp/category/tutatu/bunsyo/01/01.htm

 照会文と回答文は、6月に国税庁のホームページ( http://www.nta.go.jp/ )にも掲載される予定。

消費税に関する事前照会

 課税事業者(消費税法第9条第1項本文の規定の適用を受けない事業者をいう。)である特定非営利活動法人(以下「NPO法人」という。)が、日本国内で寄附金を募り、この寄附金による国内の事業者(メーカー、商社等)から医療機器等を購入し、海外の非営利団体に対して当該医療機器等を寄附したが、引き渡しの方法として次の二つのケースで行った。それぞれ消費税の取扱いは、次のとおりと考えるが貴局の見解を承りたく照会する。

[ケース1]

 NPO法人が、国内の事業者から日本国内で物品の引渡しを受け、当NPO法人が輸出手続を行い、海外の非営利団体に寄附した場合

 消費税の課税の対象は、消費税法第4条第1項により国内において事業者が行った資産の譲渡等を課税の対象としている。また、資産の譲渡等が国内において行われたかどうかの判定は、同法第4条第3項第1号により資産の譲渡の場合、消費税法施行令第6条第1項各号に掲げるものを除き資産の譲渡が行われるときに当該資産が所在していた場所で判定することとされている。

 ケース1の場合、国内の事業者からの医療機器等の購入については、医療機器等の引渡しが国内で行われていることから、消費税の課税の対象となり、当該医療機器等を購入したNPO法人においては、同法第2条第1項第12号に規定する課税仕入れとなる。

 また、NPO法人から海外の非営利団体に対する寄附については、輸出手続はなされるものの、寄附は資産の譲渡等に該当しないことから消費税の課税対象外の取引となり、消費税法第7条第1項に規定する輸出免税の適用はない。

[ケース2]

 NPO法人が、国内の事業者から物品を購入し代金の支払いは国内において行ったが、契約書において当該物品の納品先を海外の非営利団体とし、国内の事業者が輸出手続きをした場合

 ケース2の場合、国内の事業者からの医療機器等の購入については、当該国内の事業者にとって、国内において対価を得て行われる資産の譲渡等に該当するが、医療機器等が輸出されるものであり、国内の事業者において、消費税法第7条第1項第1号に規定する輸出免税の適用を受ける。

 一方、NPO法人においては、当該取引は輸出免税の適用を受けることから、同法第2条第1項第12号のかっこ書きにより課税仕入れとはならない。

 また、海外の非営利団体に対する寄附については、資産の譲渡等に該当しないことから課税の対象外の取引となる。

東局課一審第22号

平成16年5月11日

特定非営利活動法人 プロジェクトHOPEジャパン

 理事長 甲谷 勝人 殿

東京国税局

審理課長 中武昭夫
海外の非営利団体に医療機器等を寄附した

場合における消費税の取扱いについて

(平15.12.4付照会に対する回答)

 標題のことについては、ご照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えありません。

 ただし、ご照会に係る事実関係が異なる場合又は新たな事実が生じた場合は、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることを申し添えます。

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