行政 : 愛知県、協働ルールブック作成
愛知県は5月17日、「あいち協働ルールブック2004」を発行したと発表した。行政とNPOが協働していく際に双方が守るべき事項を定めたもので、夏には賛同するNPOと県との間で「共同声明」の署名式を開催する。
このルールブックは、2004年3月に「NPOと行政の協働のあり方検討会議」(座長名城大学昇秀樹教授)がとりまとめた報告書を踏まえて、愛知県により作成されたもの。検討の過程では、タウンミーティングを開催するなど、幅広い市民の参加と議論を経たという。
ルールブックの構成は、協働に関する「意義と原則」を示したうえで、企画立案、実施、評価の各段階での双方が守るべき「基本姿勢」を定めている。
特徴は、NPOと行政が協働する際の、双方が遵守すべきルールが具体的に定められていること。NPOとの協働に関する指針等は他府県でも策定されてきているが、それらは行政内部における内規的な取り決めの性質をもっている。このルールブックでは、「行政の基本姿勢」はもちろんのこと、「双方の共通姿勢」や「NPOの基本姿勢」も盛り込まれた。
たとえば、「意義と原則」では、「共通の姿勢」として、目的・目標の共有、相互理解、対等の関係、透明性の確保、評価の実施が挙げられており、「NPOの姿勢」としては、協働の過程で知りえた個人情報などの情報については守秘義務を果たすことや、公の資金を使う自覚と責任をもつことが示されている。
愛知県では、5月中に、このルールブックを県内NPO約1700団体(全NPO法人とあいちNPOガイドブック掲載団体)に配布。理解促進に努めると同時に、これに賛同するNPOを呼びかけ、夏には「署名式」を開催したいとしている。
このほか、県庁職員や市町村職員を対象とした説明会を10回程度開催し、行政職員の理解を促進する。
また、市町村のNPO支援センターや市町村社協ボランティアセンターと連携をとりながらこのルールブックのポケット版を配布するなど周知に努めていく。
こうした取り組みにより、このルールブックを普及、定着させることで、今後、県内で行政とNPOが協働する際の「事実上の標準(デファクト・スタンダード)」としたい考えだ。
愛知県は、「署名式の日程はまだ決まっていないが、日程や署名方法などについて、後日、改めて通知する。また、期限を決めて賛同を集め、それ以降は締め切ってしまう性質のものではなく、それ以降も受け付けていくし、協働の必要がでてきたときに、改めて考えていただき、賛同できれば署名していただければいい。これはあくまで紳士協定であるので、強制力は伴わない。さらに、このルールはまだ暫定的なもの。今後、共同で継続的に検証しながら改善していき、より、いいものにしていきたい」と話している。
検証・改善していくために、NPOと行政双方が参加する協議の場をもっていくこともルールブックに明記されている。
「あいち協働ルールブック2004」の詳細は以下のURLを参照のこと。
http://aichi.npo.gr.jp/