行政 : 観光白書、NPOに期待
国土交通省(石原伸晃大臣)は、6月15日、「平成15年度観光の状況に関する年次報告」及び「平成16年度において講じようとする観光政策」からなる観光白書を発表した。白書では、不況やSARSによる国内外の旅行の減少傾向が報告されるとともに、観光立国を支える各地のNPOの活躍に期待が示されている。
6月15日に発表された観光白書では、平成15年度に国内宿泊観光旅行を行った回数は国民1人当たり平均1.28回で昭和53年以来の過去最低。国内旅行の低迷に歯止めがかかっていないことを示した。その原因としては個人消費の低迷や割安な海外旅行商品の普及が考えられるとされている。
また海外旅行に関しても、平成15年の海外旅行者数は約1,330万人(対前年比19.5%減)と大幅に減少した。この減少の主因はSARSと考えられている。
こうした低迷の中でも、地域によっては観光客が増加している。白書では、そうした観光振興を支えているのは「観光カリスマ」と呼ばれる地域のキーパーソンと観光による地域おこしに積極的に取り組むNPOだとしている。
具体的には、映画などのロケ地誘致に取り組む「フィルムコミッション」、農業体験を盛り込んだ修学旅行の受入れをおこなう「グリーンツーリズム」、環境教育をおこなう「エコツーリズム」などの活動を行うNPOを例に挙げ、NPOは観光立国に向けた地域の動きを先導している主体の一つだと評価している。
白書では、今年2月に国土交通省が観光関連の活動に取り組むNPO法人に対しておこなったアンケート調査の結果も報告されている。
この中で、観光関連活動をより活発にするために必要なもの(複数回答)として、約7割のNPO法人が「活動資金の充実」をあげ、次いで約5割が「活動への参加者・利用者の増加」を、また、約4割が「行政の理解・協力」をあげた。
行政との関係では、現在「関係がある」が約6.5割、「現在は関係ないが、今後、関係したい」が約3割。その一方で、行政との関係の問題点について(複数回答)、「行政の理解・協力が十分でない」が半数を超え、「行政との役割分担が出来ていない」も3割を超えている。
また、「行政からの指導や規制が多い」という回答も3割近くあった。こうした結果から、白書では、行政機関が魅力ある観光地づくりを支えるNPOを理解し、良好なパートナーシップを築いていく必要があるとしている。
平成16年版「観光白書」の概要は、国土交通省サイト内の下記で読むことができる。
http://www.mlit.go.jp/hakusyo/kankou-hakusyo/h16/kanko16_.html
なお、7月初旬には政府刊行物として発行される予定。