行政 : メセナ協議会、アートNPOと連携
社団法人企業メセナ協議会(福原義春会長)は、このほど、「企業メセナとアートNPO」に関する研究報告書をとりまとめた。報告書では、「アートNPOとの連携に向けた3つの仕組みづくり」を提案している。同協議会はこの研究の成果を発表し、新たな問題提起の場として、研究報告会を7月8日に東京で開催する。
報告書をとりまとめたのは、同協議会の研究部会。協議会の会員企業や団体の現場担当者など15名程度で構成され、1999年から、メセナ活動の基盤整備上の課題やメセナを取り巻く時事的な問題を研究してきた。
2003年度の研究テーマは「企業メセナとアートNPO」で、企業とアートNPOとの連携の可能性について研究してきた。
取りまとめられた報告書の名称は、「企業メセナの新たな展開-アートNPOとの連携-≪メセナをやるならアートNPO≫」。
この報告書では、企業メセナの定着をはかり、時代に即した新しいメセナの可能性や社会的意義を考えるとき、アートNPOとの連携がより高い効果をもたらすことを指摘。その根拠として、まだ脆弱で萌芽的であるものの、機動力、提案力、専門性、地域性を備えた勢いあるアートNPOと連携すると、多様性が生まれたり選択肢が増え、ひいては、社会全体にこれまでになかった価値が付加されたり、課題解決の方法や新たなサービスが生まれる可能性を挙げている。
同協議会では、企業とアートNPOとの連携を今後より一層促進していくためには、「アートNPOとの協働の仕組みづくり」、「アートNPOとの協働による地域文化活性化の仕組みづくり」、「アートNPOを通じて“企業内市民”の創造的社会活動を支援する仕組みづくり」の3つが必要であると提案している。
あわせて、これらの提案を実現するために、「企業とアートNPOの『情報交換の場』づくり」や、「寄付税制整備に関するアピール」、「アートNPOにスキル・ノウハウを提供したい企業人の登録制度の検討」など、企業メセナ協議会として取り組むべき事項も掲げている。
同協議会では、この研究の成果を共有し、新たな問題提起をする場として、7月8日に東京都千代田区で研究報告会を開催する。
基調報告と、研究報告書の資料編に関する説明の後、企業メセナ、アートNPOの両サイドからのコメンテーターを交えたパネルディスカッションを行う。報告会の後は、懇親会も予定しているという。
同協議会では、「昨年、第1回アートNPOフォーラムが神戸で開催されるなど、アートNPOのネットワークづくりが進みはじめているが、企業とアートNPOが交流する場というのはできていなかった。この報告会が、両者の出会う場となり、企業とアートNPOとの連携が進むきっかけになれば嬉しい」と多くの参加を呼びかけている。
報告書の資料編には、関連年表や全国のアートNPOの一覧が掲載されるなど、企業の社会貢献担当者にとって参考になる部分が多い。
報告書は7月8日の報告会で配布されるほか、7月8日以降に、同協議会のHPに入手方法が掲載される予定。
報告会の申し込み方法などについては、以下のURLを参照のこと。
http://www.mecenat.or.jp/