行政 : 公益法人協会が意見書提出
財団法人公益法人協会(太田達男理事長)が、9月11日、公益法人改革に関する意見書を内閣官房行政改革推進事務局に提出するとともに、「市民セクター全国会議2004」で発表した。本来であれば法人設立の段階で公益性のある法人とそうでない法人とを区別するべきであると述べるとともに、政府案による場合は、1階部分で残余財産分配可能な法人類型と、それ以外の法人の2類型に区分することを要請した。また、公益性の判断基準など細部の検討は民間に委ねるように提言している。
財団法人公益法人協会は、「公益法人制度改革に関する有識者会議」(以下、「有識者会議」)が9月15日から再開されるのをにらみ、「公益法人制度の抜本的改革に関する制度設計について」と題する意見書を、11日、内閣官房行政改革推進事務局に対して提出した。
また、同日、東京商工会議所(東京都千代田区)で開催された「市民セクター全国会議2004」でも意見書を発表。記者会見も実施した。
意見書では、全般的意見として、非公益目的の法人の一部に対する市民の芳しくない評価が、公益性のある法人に対する不信感にまで増幅されること懸念し、本来であれば法人設立の段階で公益性のある法人とそうでない法人とを区別するべきであるとした。
しかし、政府の改革案では、設立時点で公益性の有無を問わないものとなっているため、公益法人協会では、「公益性のある法人」に認定された場合は、登記により区別できるようにすることを強く求めている。
一方、一階部分においては、残余財産の分配可能な法人と分配をしない法人とは、明確に法人類型を分けるべきで、後者から前者への変更を禁ずる必要があると指摘した。これは、現在の政府方針にあるようなかたちで社員総会の決議などにより社員等への私的分配が可能となれば、寄付者を含む一般市民への背信行為であり、ひいては公益性のある非営利法人制度への信頼を低下させるためとしている。
そのほか、公益性の判断要件は、できる限り具体的に列挙し、裁量の余地の少ないものとすること、公益性のある法人には、厳格な規律と情報開示による透明性・説明責任を明確にしたものとすること、公益性の判断主体は行政からの中立性、独立性確保の見地から、行政委員会とし、民間人からの起用で民間色の強いものとすること、その委員会に事後チェック機能を持たせ、国民からの通報などに機動的に対応できるようにすれば、更新制度は無用であることなどを提言している。
これら公益性の判断基準やガバナンス・情報開示など個別的事項の詳細ルールについては、実情と問題点をよく知る立場にある、公益法人実務家、弁護士、会計士からなる民間人からなるスタディグループに検討を委ねることも、合わせて提言している。
意見書の全文は以下のURLから見ることができる。
http://www.kohokyo.or.jp/