行政 : NPOの映画、海外で最優秀賞受賞
NPO(任意団体)である「アミティを学ぶ会」が支援して製作された映画、「Lifers(ライファーズ)終身刑を超えて」が、2004年ニューヨーク国際インディペンデント映画際の海外ドキュメンタリー部門最優秀賞を受賞。10月9日からは、東京中野のポレポレ東中野でのロードショーも決まった。ライファーズは、米国の終身刑受刑者や元受刑者らが、自ら他の受刑者の社会復帰に向けて取り組んでいる姿を描いた作品。土日には、監督を務めた坂上香氏とピーター・バラカン氏、山本譲司氏などとのトークショーも予定されている。
東京を拠点に活動する「アミティを学ぶ会」は、2000年に結成された任意のNPO団体。米国・アリゾナ州を拠点とするNPO「アミティ」の、犯罪者の更正や社会復帰、依存症からの回復などの取り組みを学び、2000年、2002年、2004年には米国アミティから元受刑者や元薬物依存症者である職員らを招き、全国で講演会を開催するなど、その活動を学んできた。
この度ニューヨーク国際インディペンデント映画際で海外ドキュメンタリー部門最優秀賞を受賞した映画「Lifers(ライファーズ)終身刑を超えて」は、そのアミティを学ぶ会が中心となった「The Lifers 映画支援プロジェクト」が製作を支援。プロデューサー・監督・編集をつとめた映画ジャーナリストの坂上香氏も、「アミティを学ぶ会」の創設者の一人。
「ライファーズ」とは、終身刑または無期刑受刑者のことを意味する。米国では、殺人や強盗などの罪で「更正不可能」のレッテルをはられた「ライファーズ」がおよそ10万人あまり服役しているという。
米国アミティでは、カリフォルニア州の刑務所内プログラムで、ライファーズを積極的に受け入れてきた。アミティのプログラムに参加する受刑者たちは「なぜ犯罪を犯すようになったのか」という問いに徹底的に向き合い、罪の償いと新しい生き方を模索していく。そして、ライファーズ自身が、他の受刑者の更正や社会復帰の手助けをするようになっていく。
ライファーズの一人は、「釈放されるかどうかが問題なのではなくて、受刑者である私たちは、自分のなかに作り上げた『牢獄』から解き放たれる必要がある。たとえ刑務所から出られなくとも、変わるチャンスが与えられれば、今までの生き方にしがみつく必要なんてなくなる。それに、いつの日か出られるかもしれない、という希望さえあれば、頑張り通せると思う」と語っている。
作品は、2004年ニューヨーク国際インディペンデント映画際の海外ドキュメンタリー部門最優秀賞を受賞したが、その選考委員であるアノー・コッター氏は、「本作品では、仮釈放委員会や刑務所での様子を絡めながら、インタビューによって受刑者たちの心の内を引き出し、それを丁寧に描いている。最初から最後まで見逃せない。」と評している。
10月9日(土)からは、東京都中野区の「ポレポレ東中野」で4週間のロードショーが決定。上映時間は、午後1時、3時、5時、7時の一日4回。また、土日の最終回終了後には、下記のように坂上香監督とスペシャルゲストとのトークショーも予定されている。
- 10月9日(土)
ピーター・バラカン氏(音楽評論家) - 10月16日(土)
山本譲司氏(「獄窓記」著者) - 10月17日(日)
信田さよ子氏(臨床心理士) - 10月23日(土)
原田正治氏(「弟を殺した彼と僕」著者)
なお、「The Lifers 映画支援プロジェクト」代表の山下富美子氏は、「この作品をぜひ全国で上映したいと考えている。地域で上映会を催してくださる方を募っている。ぜひ協力して欲しい」と呼びかけている。協力できる人は、山下さんまでFAXで連絡のこと(fax: 042-947-0750)。
「アミティを学ぶ会」と「Lifers(ライファーズ)終身刑を超えて」については、次のホームページで詳細を見ることができる。