行政 : 公益法人会計基準の改正が決定
政府の公益法人等に関する関係省庁連絡会議は、10月14日、公益法人の会計基準の改正について申し合わせを行い、平成18年4月から新しい会計基準を適用することを決めた。企業会計の手法を可能な限り導入し、公益法人の財務情報の透明化することがねらい。
新しい会計基準は、各府省官房長クラスで構成する、「公益法人等の指導監督等に関する関係閣僚会議幹事会」の下に、2002年3月に設置された「公益法人会計基準検討会」において、約1年間検討されたもの。
その後、この検討会の報告を受けた総務省が、必要な事務的な検討を行い、10月14日に「公益法人等の指導監督等に関する関係省庁連絡会議」(各省庁官房長クラスで構成)で申し合わせが行われた。
現在使われている公益法人会計基準では、主務官庁への報告という色彩が強く、ストック式の正味財産増減計算書など、公表される情報が一般の人にわかりにくいことや、寄附された財産の扱いが不明確なこと、事業の効率性に関してもディスクロージャーが不十分なことなどが、問題点として指摘されていた。
そのような問題に加えて、公益法人をめぐる社会的、経済的環境が大きく変化したことや、一部公益法人の不祥事を受けて、今回の改正作業となったもの。
改正された新会計基準では、公益法人の財務面での情報開示を一層推進するとともに、現在進められている公益法人改革を視野にいれ、より普遍性の高い企業会計基準に可能な限り準拠するようにしたことが特徴とされている。
主な改正内容は以下のとおり。
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財務諸表の体系を見直し、外部報告目的の財務諸表を簡素化。収支予算書および収支計算書は会計基準の範囲外とする。これらは内部管理事項とし、法人の自律的な運営を尊重。
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大規模法人については、その財務内容に対する関心が多数の利用者から向けられていること、資産および負債の内容が多様、複雑となっていることから、キャッシュ・フロー計算書を作成。
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これらの改正の結果、作成し報告する計算書類は、現在の会計基準では、収支予算書、収支計算書、貸借対照表、正味財産増減計算書、財産目録だったものが、新しい会計基準では、貸借対照表、正味財産増減計算書、財産目録、キャッシュフロー計算書(大規模法人のみ)となる。
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寄付者から受け入れた財産に対する法人の受託責任を明確化するため、寄付者の意思によって特定の目的に使途が限定されている寄附を「指定正味財産」、それ以外を「一般正味財産」として表示。
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正味財産増減計算書について、当期正味財産増減額を増加原因および減少原因に分けてその両者を総額で示す、企業会計の損益計算書に近い様式(フロー式)に統一(これまでは、ストック式を原則とし、フロー式も選択できる方式)。
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関連当事者取引、有価証券の時価など、財務諸表に対する注記事項を拡充。
この基準は、平成18年4月1日以降から開始する事業年度から適用される。
ただ、現在、公益法人制度改革が並行して進められていることもあり、18年4月以降も、改革が実行されるまでは、現行管理基準のもとに作成が義務づけられている収支予算書、収支計算書等は引き続き作成、保存することとしている。