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2004年11月27日 10:00

行政 : 自民、公益法人改革でNPOと意見交換

 自民党のNPO・NGO関係団体委員会は、25日、公益法人制度改革に関してNPOからの意見を聴取しようと、NPOとの意見交換会を実施した。党からは、改革の対象にNPOを含まない方針がはっきりと示された一方で、NPOからは、公益法人税制が変わればNPO税制も変わりうることを心配する意見や、残余財産非分配が貫かれなければ、寄付者の支援を受けられなくなることを憂慮する意見などがだされた。

 

 自民党組織本部内に設置されている、「NPO・NGO関係団体委員会」(熊代昭彦委員長)は、25日、公益法人制度改革に関する党とNPO法人との意見交換会を党本部(東京都千代田区)で実施した。

 これは、シーズなどが「公益法人制度改革に関してNPOと対話の場をつくってほしい」と要望してきたことを受けたもの。

 意見交換会には、自民党から、熊代昭彦衆議院議員(NPO・NGO関係団体委員長)、加藤紘一衆議院議員(非営利組織(NPO)に関する特別委員長)、青山 丘衆議院議員(組織本部長)、北村直人衆議院議員(団体総局長)、林芳正参議院議員(行政改革推進本部事務局長)、上川陽子衆議院議員(NPO・NGO関係団体副委員長)のほか、約10名の議員が参加した。

 NPOからは、シーズを含む、国際協力や環境保全に取り組む10団体16名が参加。

 はじめに、熊代昭彦衆議院議員が開催趣旨を述べ、続いて加藤紘一議員が、「NPOは生まれたばかりの制度。一方で、いわば大人といっていい公益法人を対象とした制度改革が行われている。NPOは、この改革の嵐に巻き込まれそうだ、と不安に思っておられると思う。この会はそのような不安と誤解を解消しながら、今後のことを考える会としたい」と挨拶した。

 NPOからは、シーズの松原明事務局長が、

  1. NPO法人制度については今後も存続させること
  2. NPO法人側の要望を聞く場を継続的に設けること
  3. NPO法人に関わる公益法人税制を改善すること

の3点を要望した。

 これに対し、行革本部事務局長の林芳正議員は、「NPO法人制度は別に存続させる方針に変わりはない。昨年、“NPOは発展的に解消させる”位置づけで、と内閣官房に申し入れを行ったが、もし、本当にNPOも含めて改革をする場合は、ほかの特別法に基づく公益法人も含めるかたちで抜本的に改革していきたい」と、このたびの公益法人制度改革にNPOを含めないことを明言した。また、対話の場を設けていく方針であることが話された。一方で、税制に関しては、「(自民党)税調のマターだから」と明言を避けた。

 続いて、NPO側から以下のような意見がだされた。

  • 福祉の分野とちがって、環境保全に取組む団体などは、受益者から対価を得ることができない。その意味で、助成財団からの助成金は非常にありがたい存在である。そのような助成財団が改革でどうなるか、大きな関心をもっている。

  • 助成財団が公益法人改革で課税強化ということになれば、そのことで、結果的にNPOへの助成金が減ったりすることになるとNPOの活動が停滞しかねない。NPOが改革の対象となっていなくても、NPOとパートナーシップを組んでいる財団については寄付税制を拡充するようしてほしい。

  • 活動費用の多くを寄附でまかなっているので、寄附税制には大きな関心をもっているが、認定NPO法人制度が公益法人制度の寄附税制である特定公益増進法人制度にひっぱられてどういう制度になるか、非常に心配している。

  • 現在、認定NPO法人であるが、3年後、5年度にどうなるか、非常に不安である。

  • ナショナル・トラストの活動を行っているが、豊かな自然環境を残すため、土地や歴史的建造物などを寄附していただき、保全している。新制度が残余財産を分配することを許容してしまうと、そのような団体に寄附しようと思ってもらえるだろうか。残余財産の非分配を貫いた制度としてほしい。

  • 公益性の判断を第三者機関がすることになっているようだが、特定の大臣の意向を受けたものにならないか懸念している。結局この第三者機関自体が骨抜きになってしまうのではないか。

  • 税制のあり方として、NPOと社会福祉法人との格差が大きすぎる。同じ介護保険事業でも、社会福祉法人が行うと非課税で、NPOが行う課税。このような意味で、ほかの法人制度と競争条件を整えていく、ということも留意願いたい。

 このようなNPOの意見を受け、加藤紘一議員は、「認定NPO法人制度の要件が厳しすぎる、ということも大きな問題だが、そうであっても、認定NPO法人制度は、基準が非常にはっきりしていて、それをクリアしたら認定になれることは明らかになっている。そのような意味で、NPOの方が恣意性が少ない制度とはいえるだろう。公益法人制度改革が今後どうなるかについても、最後は“常識”。いい団体が育っていけるような、また、そんな団体に自然と寄附が集まるような制度にしていくべきだろう。今後も対話を続けていこう」と締めくくった。

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