行政 : 河川敷地にベンチと花壇設置可能に
河川敷地の多様な利用方法について検討してきた国土交通省の社会資本整備審議会の河川分科会は、11月29日、まちづくりや地域づくりに資するように、利用主体や施設の規制緩和を行うよう求める答申を発表した。国土交通省はこれを受け、河川敷地の利用方法に関する通達の改正作業に入る。NPOは、一定の条件の下、河川敷にベンチや花壇を設置することが可能となる見通し。
河川敷地は、洪水による被害を徐却・軽減するためにその利用は制限されており、河川管理者(一級河川:国土交通大臣、二級河川:都道府県知事、準用河川:市町村長)が許可をした場合にのみ、土地の占用ができる仕組みになっている。
その占用ができる主体や占用施設の種類などは、河川敷地占用許可準則(国土交通省事務次官通達)により定められており、原則的に国、または地方公共団体や、ガス事業者や水道事業者など公益性のある事業を行うものに限定的に認められてきた。
しかし、近年の規制緩和や地域再生の流れのなかで、イベント施設やオープンカフェの設置など水辺空間を活かした賑わいの創出や魅力ある街づくりを目的とした河川敷地利用に対する要請が高まってきたことを受け、今年1月から、社会資本整備審議会河川分科会(会長:西谷剛國學院大學法科大學院教授)が4回にわたり、河川敷地の利用促進のための方策を検討してきた。
今回の答申は、この審議の結果をとりまとめたもので、占用できる施設の拡充や、包括占用許可制度の規制緩和などが提言されている。また、景観法が制定されたことに対応して、同準則に必要な改正を行うこともあわせて提言した。
具体的には、占用できる施設として、売店やベンチ、水飲み場、花壇などまちづくりや地域づくりに資する施設や、防災活動に必要な施設としてヘリコプター離発着場、環境教育や啓発施設として、自然観察施設や河川維持用具等倉庫を追加。一方で、環境への影響などを配慮し、モトクロス場は削除するべきであることを求めている。
また、占用目的を具体的に特定せず、利用方法を自ら都市計画に則って決定することのできる「包括占用許可制度」の利用を促進するため、許可対象を現在の市町村から、都道府県や公益法人に拡大するべきと指摘。NPOは、この許可対象には含まれなかったが、包括占用区域のなかで、ベンチ、花壇等の工作物の設置者となれるよう言及されている。
このほか、包括占用区域内で、工作物の設置を伴わないなどの場合には、河川管理者の関与なくイベントが開催できるようにするなど、イベント利用の促進を図るべきであることなどが提言されている。
国土交通省ではこの答申を受け、河川敷地占用許可準則の改正作業に入る。今年度中の改正を目指す。
答申の詳細は下記を参照のこと。
http://www.mlit.go.jp/river/press/200407_12/041129/041129.html