行政 : 認定法人、再申請を断念
2月28日、国税庁長官の「認定」を受けた認定NPO法人であった大阪のNPO法人が、2年間の認定有効期間を終了。あえて再申請を行わなかったため、3月1日からは一般のNPO法人に戻った形となった。過度の書類作成が求められるなどの、認定NPO法人制度の不備により、NPO側から認定の再申請を拒否した形となった。こうしたケースは初めて。
この法人は、大阪市の「カスパル(アジアの児童買春阻止を訴える会)」。
任意団体として1989年から活動をはじめ、1999年にNPO法人格を取得。一貫して、タイやフィリピンなど、アジア地域の子どもたちを買春から守る活動を展開してきた。
収入に占める寄附割合は高く、認定要件も満たすことができることから、認定申請を行い2003年の3月1日から「認定NPO法人」となった。
しかし、現行制度では、認定の有効期間は2年間のみであり、「更新」の仕組みがないため、継続を希望するならば、有効期間が終了する以前に再度の申請をして、新たな「認定」を受けなければならない。同団体は、あえてこの再申請を行わなかったもの。
その理由について、代表の近藤美津枝氏は次のように述べている。
「認定申請のためには、膨大な書類を作成しなければならない。この書類作成のために、本来の子どもたちを守る活動ができなくなってしまう。これではまるで書類を作るために会を運営しているようなもの。大きな規模の団体で、こうした事務に専門職員を雇用できるようなところは別だが、カスパルでは資金はできるだけ本来事業に使いたいと考え、人件費は抑えている。全国の方々から寄附が寄せられているが、これは子どもたちを助けたいという思いから。そうした思いを実行に移すため、つまり、本来の活動に力を注ぐために、再申請はあえて行わなかった。」
認定NPO法人制度が、ほとんどのNPO法人にとって使いにくいものであることは指摘されてきており、それを受けて今年の4月から書類の簡素化は一定行われる予定となっている。しかしながら、どの程度簡素化されるかは現時点では分かっていない。
なお、今年2月28日には、新たに2つの認定法人が誕生し、全体の認定NPO法人の数は31法人となっていたが、その翌日の3月1日にはこのカスパルの認定終了にともなって、30法人と減少した形となった。
現在の認定NPO法人の名簿は、国税庁の次のホームページから見ることができる。
http://www.nta.go.jp/category/npo/04/01.htm