行政 : 投資サービス法、市民事業を圧迫か
昨年12月の証券取引法改正により、NPOなどに融資を行ういわゆる「NPOバンク」の運営が厳しくなっている。加えて、現在、金融庁の金融審議会が議論している「投資サービス法」が実施に移されれば、広く市民事業全般に規制が課せられる可能性があるとして、NPO関係者は警戒を強めている。23日には緊急フォーラムも開催される。
昨年12月に改正・施行された証券取引法により、「NPOバンク」(市民の非営利バンク)への出資持分も「みなし有価証券」とみなされ、NPOバンクが50人以上に対して募集を行うか、あるいは年間1億円以上の出資を受けた場合には、有価証券届出書や、公認会計士による法定監査などが課せられることになった。
この改正に対し、「市民金融」として市民有志からの出資を得、地域のNPOや市民団体へ融資をしてきたNPOバンクは、今後の発展が阻まれるとして反発を強めている。公認会計士による法定監査には、規模によって異なるものの、一説では数百万円から数千万円といった費用がかかるとされているからだ。
加えて、金融庁では現在、金融審議会において「投資サービス法」を議論しており、この内容によっては、NPOバンクの運営は立ち行かなくなるかもしれないとして、関係者はさらに警戒を強めている。
「投資サービス法」は、証券取引法を包含する法案で、他の「金融先物取引法」「抵当証券業法」、「商品ファンド法」など、いくつもの金融法を束ねる形のもの。早ければ、来年度秋には施行される可能性がある。この背景には、次々と新しい金融商品が誕生する一方で、出資者保護のルールが整備されていなかったことがある。投資サービス法により、情報公開などを促進し、出資者を保護するのが狙いだ。
しかし、NPOバンク関係者は、金融審議会で現在議論されている内容には、最悪の場合、市民が20人程度で元手を集めて事業を起こそうとするだけで、その元手が金融商品とみなされ、届出・報告・公認会計士による監査などが課される可能性があるとして、NPOバンクだけでなく市民事業全体が規制を受ける可能性があると見ている。
NPOバンクや会計・税務の専門家、弁護士などで構成する「全国NPOバンク連絡会」では、NPOバンクを投資サービス法案の対象としないように求める意見書を5月末に金融審議会に提出したが、今月23日には緊急にフォーラムも開催する。
フォーラムは、「投資サービス法とNPOバンク、市民事業」と題され、すでに施行された改正証券取引法と、議論の過程にある投資サービス法の問題についての理解を深める内容。主催者は、市民からのうねりを起こすきっかけとしたいとしている。フォーラムの概要は以下のとおり。
日時:
2005年7月23日(土)13:30~17:00場所:
みなとNPOハウス大会議室
(東京都港区六本木4-7-14)参加費:
1000円主催:
全国NPOバンク連絡会後援:
シーズ、日本NPOセンター、NPO事業サポートセンター
案内チラシは、以下のアドレスにアクセスすればPDFファイルで入手可能。
http://www.h7.dion.ne.jp/~fund/chirashi7.23.pdf
フォーラムに関する問い合わせは、東京コミュニティパワーバンク(e-mail: community-fund@r2.dion.ne.jp、電話:03-3200-9270)まで。