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2005年10月31日 10:00

行政 : 連絡会、認定改正要望とりまとめ

 NPO/NGOに関する税・法人制度改革連絡会は、10月26日、平成18年度税制改正に向けた要望項目を決定した。今後、各政党・政府に要望を行っていく。

 

 シーズが加盟しているNPO支援団体の全国的ネットワーク「NPO/NGOに関する税・法人制度改革連絡会」(38団体加盟、以下「連絡会」)では、平成18年度(2006年度)の税制改正において、認定NPO法人制度の改正を求めている。

 連絡会では、税制改正の要望項目を検討してきたが、10月26日にその詳細を決定。「認定NPO法人制度の改善に関する要望書」としてとりまとめた。

 今回の要望の中心は、日本版パブリック・サポート・テストの算式の改正。社員(正会員)の対価性のない会費を分子に算入することや、行政とのパートナーシップを進めているNPO法人でも認定を受けやすくなるような改正内容が盛り込まれている。加えて、事業収入の多い法人でも、一定の条件のもとで、算式に変更を加えられるという要望内容や、申請書類の簡素化、高額寄附者の情報公開の制限なども含まれる。

 今後、連絡会では、この要望書を各政党、政府に提出し、実現を求めていく。

 「認定NPO法人制度の改善に関する要望書」の全文は以下のとおり。


認定NPO法人制度の改善に関する要望書

2005年10月26日

NPO/NGOに関する税・法人制度改革連絡会

 国会議員の皆さまにおかれましては、日頃から、NPO活動への理解をいただき、その発展のために尽力いただいていること、感謝申し上げます。

 さて、2001年10月1日から、認定NPO法人制度がスタートして、すでに丸4年が経過いたしました。

 この制度は、市民や企業が、NPO法人にいっそう寄附しやすくするよう税制上の支援を行うもので、日本社会においてますます重要性を増すNPO活動を発展させていくために極めて重要な制度であると、期待しているところです。

 しかし、認定要件が極めて煩雑で厳しいことから、施行後4年経た現在に至っても、認定を受けたNPO法人はわずか37法人にすぎません。

 この数字は、約2万3千あるNPO法人のわずか0.15%でしかなく、ほとんどの団体にとって、認定が受けられないという状況が続いています。

 すでに、3度の改正をいただいているわけですが、まだまだ実効性がある制度にはなっていないのが実状です。

 多くのNPO法人が、この制度を幅広く活発に利用し、逞しく成長することで、日本社会の発展により一層資することができるように、その内容を抜本的に改善していくことが必要と考え、以下の点を要望いたします。

要望事項

1.パブリック・サポート・テスト(PST)の計算式の改正

(1) PSTの計算式において、総収入金額等に占める寄附金額等の割合が「5分の1以上あること」という暫定措置を実態に合わせて再検討する。

 PSTの計算式では、平成15年度の改正で、総収入金額等に占める寄附金額等の割合が3分の1以上となっていたところを、「平成15年4月1日から平成18年3月31日までの間、当該割合を5分の1以上に緩和する」とされた。しかし、その後も、認定の件数は伸びていない。このため、この時限付措置を、さらに3年間延長することはもちろんであるが、それに止まらず、5分の1という数字の引き下げについてもNPO法人の実態を踏まえてさらに検討していただきたい。とりわけ、以下の(2)から(6)の改正が十分実現できないような場合は、さらなる引き下げをしていただきたい。

(2) 社員からの会費(ただし対価性のない部分)を、分子に算入できるようにする。この場合、社員の議決権は、社員の会費の対価とはみなさない。

 現行のPSTにおいては、社員(社員総会で議決権を持つ会員)からの会費は、分母には全額算入するが、分子には算入できない。これは、社員の会費は、議決権の対価であると見なされているからである。しかし、実際には、社員からの会費は、団体の運営・活動費を支える負担金であり、「支援金(サポート)」である。税法上の「寄附金」ではないが、PSTの計算においてだけは、これを分子に算入できる「寄附金等」とみなすこととしていただきたい。ただし、議決権以外のサービスの対価部分があればそれは除く。この場合、受入寄附金総額の計算においても、社員の会費は算入できることとしていただきたい。

(3) 国・地方公共団体、国際機関等といった行政等からの補助金・助成金・委託事業費については、分母に全額、分子には一定の割合を算入できることとする。

 行政とのパートナーシップが重要性を増している現状に鑑み、パートナーシップ事業として行政等がNPOに出す資金については、PSTにおいて分子に算入できることとしていただきたい。ただし、NPOが行政に依存することを防ぐために、行政からの資金が総収入の8割を超えない場合に限定し、その場合に限り、行政からの資金の一定の割合(たとえば半額)をサポートとして分子に算入できることとする。なお、この場合、分母には全額を算入することとする。

(4) 以下の資金を行政等からの補助金・助成金・委託事業費として取り扱うこととする。

  • 行政の外郭団体等からの助成金・委託事業費

    (公法人、独立行政法人および行政からの出資等が50%超の団体)

  • 国立大学法人からの助成金・委託事業費
  • 介護保険制度等の法令に基づく保険料負担部分

 公法人、独立行政法人(国、地方)、行政からの出資等が50%超の団体、国立大学法人は、国・地方自治体の資金で活動している。したがって、その資金も、PSTの計算式においては、国・地方自治体の資金とみなせるようにしていただきたい。国立大学法人からの資金も同様である。また、介護保険制度や医療保険制度における保険料負担の部分も、税と同様の性格を持った資金であるが、現在、料金収入としての扱いとなっていて、分母には全額入るが、分子にはまったく入らず、介護保険事業を行う団体がこのためまったく認定を受けられない状況となっている。介護分野でのNPO法人の活動を支援するためにも、この保険料負担部分を行政の補助金等と同様に扱っていただきたい。

 現在、国連や日本が加盟している国際機関からの資金は、PSTの計算において、国・地方自治体からの資金と同列にみなすこととなっている。

(5) 以下の助成金等については、全額を分子に算入できることとする。

  • 特定公益増進法人・認定NPO法人からの助成金
  • 公益法人からの助成金で、公募され、外部の審査委員会が選考を行い、助成期間が連続して3年を超えないもの(暫定措置)

 共同募金や社会福祉協議会、社会福祉法人、公益法人のうちの特定公益増進法人や認定NPO法人などは、寄附控除がある法人である。このような寄附控除がある法人からの助成金・寄附金は、公益性のある資金であり、国・自治体からの資金に準ずる資金である。このような資金に関しては、PSTの分母に全額算入、分子に全額を算入できるようにしていただきたい。また、特定公益増進法人ではない公益法人に関しても、公益性のある資金として、一定の条件(公募され、外部の審査委員会が選考を行い、助成期間が連続して3年を超えないもの等)の下で、特定公益増進法人からの助成金・寄附金とみなせるようしていただきたい。(公益法人制度改革が終わるまでの暫定措置)

 もし、公益法人からの助成金で、特定公益増進法人でないものからの資金が特定公益増進法人と同等に扱えないのであれば、受入寄附金総額の5%という限度枠を50%に上げることを検討していただきたい。

※米国では、寄附控除対象となっているパブリック・チャリティからの助成金は、PSTにおいて、全額分母・分子に算入できる。

(6) 税法上の収益事業が、全収入の8割を超えていない場合に限り、特定非営利活動である事業から得る対価収入は、PSTの分母から除外できることとする。

 NPO法人の中には、子育て支援NPOやオーケストラなどの文化団体など、本来事業が収益を得る活動を行いながらも、その収益だけでは、必要とする経費をまかなえず、寄附や会費、助成金等で経費を補完しつつ目的事業を遂行している法人も少なくない。とりわけ、福祉や文化芸術などの分野では多い。このような団体が、認定を受けやすくするために、税法上の収益事業が、全収入の8割を超えていない場合に限り、特定非営利活動である事業から得る対価収入は、PSTの分母から控除できるようにしていただきたい。

(7) 任意団体からNPO法人化した際の、任意団体からの引き継ぎ資産は、PSTの計算においては分母分子に含めないこととする。

 現行のPSTでは、任意団体からNPO法人化した初年度において、任意団体から引き継いだ資産は、寄附金として、新しいNPO法人の収入に入れられる。この場合、NPO法人の初年度の決算は、一者からの寄附金が大きくなりすぎて、PSTをパスできないという事態が起こっている。本来、任意団体からの引き継ぎ資産は、収入に算入すべきものではない。したがって、法人化前に任意団体としての実態があった場合は、引き継いだ資産は、PSTの分母・分子にともに算入しないこととしていただきたい。

(8) PSTの計算において、寄附者の3親等以内の親族からの寄附に関して、とりまとめて「一者からの寄附」として計算する要件を、一定数以上の寄附者がいる場合には、適用しないこととする。

 PSTの計算において、「ある寄付者の3親等以内の親族からの寄附は、まとめて一者からの寄附として計算しなければならない」という要件がある。しかし、寄付者が多数いる団体では、その寄付者の親族が寄附しているかどうかを調べることは現実的には無理である。もともとこの規定は、特定の者が、自身の寄附金を親族を通して寄附することにより、PSTの「一者からの寄附金の算入制限」の抜け道を作らせないようにする措置であり、一者からの多額の寄附で成り立っている法人をチェックするための措置である。したがって、一定数以上、例えば100名以上の寄附者がいるような団体なら、このような制限を加えることの必要性は薄いと考える。寄附者が一定数以上いる場合には、この要件を適用しないこととしていただきたい。

(9) PSTにおける単年度の10分の1の下限は廃止する。

 現行のPSTは、2事業年度の合計で5分の1以上寄附金等がなければならないこととなっているが、単年度でも10分の1以上のサポートが無ければならない。このため、NPO法人は、2事業年度通算の計算に加えて単年度についても2回のPSTの計算をしなければならない。これは法人の不要な負担を増加させているだけである。

法人の継続的な寄付集めの努力は重要であるが、寄付は、ある年だけ集中的に不特定多数から集めて次の年集まらないということはできない性格のものであり、2事業年度で基準限度額内の寄附金総額を見れば十分だと考える。

2.認定要件・申請・報告書類の簡素化

(1) 小規模な法人が申請しやすいように、認定要件、申請書類等の必要事項を法人の規模によって段階をつける。

 法人の事業規模によって、申請書類の詳しさを変え、小規模な法人でも申請しやすい制度としていただきたい。米国では、法人の認定審査を、年間事業規模で4段階に分けている。また、英国でも5段階に分けている。

 せめて、日本でも2段階程度に分け、法人の規模で、認定要件を段階づけていただきたい。例えば、年間事業規模1000万円未満の団体は、一定以上の寄附者を集めていれば、基準限度等の計算に基づくPSTを適用しない、申請書類の付属書類の提出を求めない等の措置を講じていただきたい。

(2) 役員の状況、社員の状況、賃金に関する情報、従業員の給与などの提出書類を廃止し、申請書類をより一層○×式等で解答できるようなものとするなど、提出書類の簡素化を行う。

 書類を簡素化し、申請をしやすくするため、役員の状況、社員の状況、帳簿組織の状況、社員名簿、従業員の給与の支給に関する規程、従業員の給与情報、資金に関する条項などの提出書類を廃止するとともに、申請書類を現在より一層○×式等で解答できるような簡易なものとしていただきたい。一方で、申請書類の信用性を保つために、理事者による確認書などを提出することとしていただきたい。

(3) 申請書類を明確に限定し、申請書類以外の書類に関しては、原則的に提出しないでよいこととする。

 現在、申請書類以外に、申請書類の内容を証明するために求められる追加書類(20万円未満の寄附者名簿など)が膨大な量となっており、それが法人の負担を大きくしている。理事者の確認書で、申請書類の信用性を担保し、申請書類以外の追加書類は、原則提出しないでいいこととしていただきたい。

3.寄附者名簿等の公開措置の緩和

(1) 個人情報保護の観点から、20万円以上の寄附者の氏名、住所、寄附金額等を明らかにした書類は一般の閲覧対象としないこととする。

 近年、オレオレ詐欺(振り込め詐欺)や商品の強引な斡旋など、個人情報をもとにした悪質な犯罪が増加している。寄附者が安心して寄附できるように、20万円以上の寄附者の氏名、住所、寄付金額等を明らかにした書類は一般の閲覧対象としないようしていただきたい。もしくは、個人が特定できない形での公開に留めるなどの工夫をお願いしたい。

(2) 個人情報保護の観点から、「社員の状況」を記した書面は公開の対象としないこととする。

 現状では、運用上の取扱いとして、社員全員の住所氏名を記した書面である「社員の状況」(第3表付表2)を提出し、これが公開されることになっている。しかし、社員は、難病の当事者やDVなどの被害者などがなっている場合が、NPOの場合少なくない。NPO法制定時は、そのような事情に配慮して、社員名簿は10人で良いこととされた経緯がある。個人情報保護と人権擁護の観点から、社員名簿の公開はしないようにしていただきたい。(所轄庁に提出している10名以上の社員名簿なら公開が可と考える)

(3) 個人情報保護の観点から、役員・従業員の給与に関しては、全員の給与を公開することとなっているが、公開は役員のみとし、従業員については廃止することとする。

 従業員の給与を個人名つきで公開することは、従業員のプライバシーを侵害し、同時にNPO法人の内部管理にも多大な悪影響を及ぼす結果となる。給与の公開は、役員のみに限定していただきたい。

4.運営組織及び経理の適正性に係る要件の明確化

(1) 将来の施設購入や緊急災害時などのために、基金を積み立てる場合は、「特定非営利活動に係る事業費への支出」に含めることができると考えられるが、この手順を明確にしていただきたい。

 将来の施設購入や緊急災害時などのために、基金を積み立てる場合は、特定非営利活動に係る事業費への支出として「80%の支出要件」に該当する支出に含めることができると考えられるが、その手続きを明確にしていただきたい。また、取り崩した場合には、その金額および使途について年度終了後に税務署に届け出るなどして、支出されたことを確認する方法を明確化する。ただし、取り崩した場合には、その年度の80%の支出には入れず、また、その年度の総支出からも除外する。これは、ダブルカウントを避けるためである。

(2) 将来の施設購入や緊急災害時などのために、基金を積み立てる場合は、届出をすることで、寄付金を特定非営利活動に支出したこととし、取り崩した場合には、その金額および使途について年度終了後に税務署に届け出ることとする。

 将来の施設購入や緊急災害時などのために、基金を積み立てる場合は、「寄附金の70%は特定非営利活動にその実績判定期間中に支出しなければならない」という支出要件に該当する支出に含めることができると考えられるが、その手続きを明確化していただきたい。また、取り崩した場合には、その金額および使途について年度終了後に税務署に届け出ることとする。ただし、取り崩した場合には、その年度の70%の支出には入れず、また、その年度の総支出からも除外する。これは、ダブルカウントを避けるためである。

5.共益的な活動の制限に係る要件の明確化

(1) 「単なる顧客」として会員等の範囲から除かれる「当該法人の運営又は業務の執行に関係しない者」「当該資産の譲渡等以外の当該法人の活動に関係しない者」の範囲を明確化する。

 会員等の範囲から「単なる顧客は除く」とされ、「単なる顧客」とは、「当該法人の運営又は業務の執行に関係しない者で、当該法人が行う不特定多数の者を対象とする資産の譲渡等の相手方であって、当該資産の譲渡等以外の当該法人の活動に関係しない者」となっている。この定義の「当該法人の運営又は業務の執行に関係しない者」や「当該資産の譲渡等以外の当該法人の活動に関係しない者」という表現があいまいであり、ボランティア、寄附者、賛助会員など幅広い者が含まれてしまうおそれがあるので、それらが入らないように運用を明確にしていただきたい。

6.役員・社員の親族要件等の緩和

(1) 親族等や特定の法人の従業員等の役員・社員に占める割合に関する制限を課すのは役員に限定し、社員に関しては親族等や特定の法人の従業員等の割合の制限を加えないこととする。

 役員、社員に関して、3親等以内の親族が3分の1以上占めていてはいけないという要件がある。しかし、社員数が多くなった場合に、その親族関係を調べることはほとんど不可能である。そこで、親族制限を設けるのは役員だけに限定するか、もしくは、一定数以上の社員がいるNPO法人に限定して、役員だけに限定するかして、申請できるようにしていただきたい。

7.認定有効期間の延長と更新手続きを導入すること

(1) 認定有効期間を5年間に延ばす。

 認定の有効期間が2年というのは短すぎる。最低5年は認定有効期間としていただきたい。

(2) 認定の空白期間が生じないように、「更新」の仕組みを導入する。または、事業年度毎の報告書において要件を満たしていれば自動更新できるようにする。

 現行制度では、認定期限が切れると、再申請となる。この場合、審査などが遅れた場合は、認定期間に間があく可能性がある。これでは、寄附者が安心して寄付できない。有効期間があるのはやむを得ないが、認定が切れる仕組みは合理的ではない。認定が切れる一定期間前に申請して、更新できるようにしていただきたい。または、毎事業年度の報告において要件が満たしていれば、自動更新できるようにしていただきたい。

(3) 認定にかかる審査期間を4ヶ月以内と明確に定める。

 審査期限が定められていないために、いつまでも放置される状態や不受理の状態におかれている団体が出ている。このような事態をなくすために、標準的な審査期間を設けて、原則それを守るようにしていただきたい。

8.みなし寄附金の損金算入枠の拡大をすること

(1) 現在、所得金額の20%を限度としているみなし寄附金制度の控除限度額を50%に引き上げる。

 NPO法人においては、収益事業で得た収益を、特定非営利活動の非収益事業に充てて活動を充実していくことが経営上重要な方法となっている。特定非営利活動をいっそう促進するために、みなし寄附金制度の控除限度額を50%まで引き上げていただきたい。

9.寄附金控除枠を拡大する等、寄附者のメリットを拡充すること

(1) 個人が認定NPO法人に寄附をした場合の寄附金に関しては、控除対象額の計算において1万円の足切りがあるが、これを撤廃する。

 個人所得税の寄附金控除を行う場合、現行では1万円の足切りがあるがこれを廃止して、少額の寄附でも控除の対象となるようしていただきたい。また、足切りの金額を残す場合でも、金額を3千円まで引き下げるとともに、この金額を一種の免税点として、3千円を超えたら全額控除できるようにしていただきたい。

(2) 法人寄附者については、寄附金の損金算入限度枠を所得の5%にまで拡大する。

 現在、法人の損金限度枠の計算は複雑で、かつ限度枠が小さすぎる。所得の5%まで控除できるようにしていただきたい。

(3) 個人、法人とも、寄附金控除限度額を超えた寄附金額に関しては、5年間にわたって繰り越し控除ができるようにする。

 現行の方式では、年度末(年末)になって所得が確定してから、やっと寄附金控除の限度額や損金算入の限度額が分かる仕組みとなっている。このため、年度末(年末)にならないと安心して寄附できないという状況を生んでいる。米国では、5年間の繰り越し控除が認められている。日本でも、5年間にわたる繰り越し控除を実現していただきたい。

(4) 企業が消耗品や棚卸し資産を認定NPO法人に寄附をした場合には、全額損金算入できるようにする。

 現在の税法では、企業は消耗品や棚卸し資産で不要となったものを廃棄した場合は全額損金扱いできるが、認定NPO法人に寄附をした場合には、損金算入限度額の枠内でしか損金として扱えない。このため、不要な資源の有効利用ができない状況になっている。企業が消耗品や棚卸し資産を認定NPO法人に寄附をした場合は、全額を損金算入できるようにしていただきたい。

(5) 相続財産および資産の寄附に関して、2年以内に公益事業に使用しなければならないとする期間を延長するとともに、非課税措置取り消しの場合でも寄附者に課税しないこととする。

 租税特別措置法40条および70条によって、個人が、認定NPO法人に相続財産の一部または全部を寄附した場合、または認定NPO法人に土地・建物等の資産を譲渡した場合は、その寄付した部分に関して相続税またはみなし譲渡税が非課税となる。しかし、これは、2年以内に公益目的に使うことと、2年後に認定法人でなければならないという要件があり、さらにこの要件を満たさなくなった場合には、寄附者の非課税措置が取り消されることになる。これでは、善意の寄附者が安心して寄附できない。2年という期間を届出で延長できるようにすることと、非課税措置が取り消された場合には、受贈した法人に課税することとしていただきたい。

(6) 個人の物(現物)の寄附を所得控除の対象にする。

 現行の税法では、法人からの物の寄附は損金算入の対象となっているのに対して、個人からの物の寄附は所得控除の対象となっていない。現物寄附を促進する観点から、個人からの物の寄附を寄附金として扱い、所得控除の対象とできるようにしていただきたい。また、物の寄附に関しては、その標準的な価格が判断できるよう控除価格の目安を作成していただきたい。

10.地方税においても税制優遇措置を実現すること

(1) 個人住民税の課税所得の計算において、認定NPO法人に寄附をした場合の寄附金を国税と連動して控除できるようにする。

 現在、個人住民税の課税所得の計算においては、認定NPO法人に寄附をしても控除の対象とならない。これは、寄附をする上で、大きな阻害要因となっている。個人住民税の計算においても、認定NPO法人への寄附金を控除できるようにしていただきたい。

(2) 地方税における寄附金控除の10万円の足切りを撤廃する。

(1)の要望において、個人住民税の所得控除にする場合、現行の10万円の足切りを廃止して、少額の寄附でも控除の対象となるようしていただきたい。


 なお、連絡会参加団体は、以下のとおり。

  • NPO推進北海道会議(北海道)
  • あおもりNPOサポートセンター(青森県)
  • せんだい・みやぎNPOセンター(宮城県)
  • 茨城NPOセンター・コモンズ(茨城県)
  • 群馬NPO協議会(群馬県)
  • さいたまNPOセンター(埼玉県)
  • NPO研修・情報センター(東京都)
  • NPO事業サポートセンター(東京都)
  • NPO推進ネット(東京都)
  • 芸術文化振興連絡会議(東京都)
  • 国際協力NGOセンター(東京都)
  • 子どもNPO・子ども劇場全国センター(東京都)
  • さわやか福祉財団(東京都)
  • シーズ=市民活動を支える制度をつくる会(東京都)
  • 市民福祉団体全国協議会(東京都)
  • チャイルドライン支援センター(東京都)
  • 日本NPOセンター(東京都)
  • 日本国際ボランティアセンター(東京都)
  • まちづくり情報センターかながわ(神奈川県)
  • くびき野NPOサポートセンター(新潟県)
  • 長野県NPOセンター(長野県)
  • ぎふNPOセンター(岐阜県)
  • 浜松NPOネットワークセンター(静岡県)
  • パートナーシップ・サポートセンター(愛知県)
  • 市民フォーラム21・NPOセンター(愛知県)
  • 大阪NPOセンター(大阪府)
  • 大阪ボランティア協会(大阪府)
  • 関西国際交流団体協議会(大阪府)
  • 市民活動センター神戸(兵庫県)
  • 宝塚NPOセンター(兵庫県)
  • 奈良NPOセンター(奈良県)
  • 大和まほろばNPOセンター(奈良県)
  • 岡山NPOセンター(岡山県)
  • ひろしまNPOセンター(広島県)
  • NPO高知市民会議(高知県)
  • NPOふくおか(福岡県)
  • NPO会計税務専門家ネットワーク(福岡県)
  • NPOくまもと(熊本県)

 計38団体(北から/50音順)

 の印は、地域幹事団体

 の印は、世話団体

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