行政 : 相談NPOが「情報保護団体」申請
医療を巡る患者の苦情相談などを行う福岡市のNPO法人「患者の権利オンブズマン」は、10月4日、厚生労働省に「認定個人情報保護団体」の申請をした。認定された後は、医療機関などにおける個人情報の適切な取扱いを推進するため、個人情報の取扱いに関する患者からの苦情の処理、医療機関などへの情報提供、ガイドラインの作成、研修などの事業を行っていく。
今年4月1日から全面施行された「個人情報保護法」によって、個人情報取扱事業者(5000名以上の個人情報を保有する)に対して、個人情報の不正な取得の禁止、本人同意を得ずに行う第三者への提供の禁止、個人情報の漏えい防止、苦情への迅速な対応が義務づけられた。
この個人情報保護法の規定の中に「認定個人情報保護団体」制度がある。
この制度は、ある分野において個人情報保護法の推進活動を行う団体を、「認定個人情報保護団体」として主務大臣が認定することで、その事業を支援する制度。
「認定個人情報保護団体」は、傘下の個人情報取扱業者「対象事業者」名を公表し、その事業者に対する個人情報の取扱いに関する苦情について、第三者機関として調査や相談に応じる。あわせて、当該事業者にその苦情を通知して解決を求めたり、個人情報の適正な取り扱いに関する情報の提供や指導を行う。
特定の分野における個人情報保護に取組んでいる団体にとっては、認定を受けることで業務の信頼性が確保され、個人情報の適正な取扱いを確保している業界であるという市民の信頼を得ることができる。また、対象事業者にとっては、苦情処理において迅速・円滑な解決が期待でき、「認定個人情報保護団体」による適切な情報提供によって個人情報保護のための取組が促進されるといったメリットがある。
NPO法人「患者の権利オンブズマン」(池永満理事長)は、1999年6月に結成され、医療現場における患者の権利の促進と、医療の質の向上に取り組んできた。
患者の権利オンブズマンでは、医療・福祉施設における個人情報、とりわけ診療情報の取扱いは患者の権利の根幹にあるもので、その適切な取扱い、苦情への対応は患者と医療関係者の信頼関係を確立する上で重要だという認識から、医療の現場における「認定個人情報保護団体」になることを決め、10月4日、その申請手続きを厚生労働省に対して行った。
厚生労働省に対する認定申請は、同NPO法人が第一号とのこと。
患者の権利オンブズマンでは、認定取得後、協力医療機関・福祉施設を対象事業者として、個人情報の取扱いに関する患者からの苦情の処理、医療機関などへの情報提供、ガイドラインの作成、研修などの事業を本格的に行っていく。