行政 : 政府税調、公益法人改革の税制は先送り
政府税制調査会(首相の諮問機関)は25日午後、2006年度の税制改正答申を小泉純一郎首相に提出した。公益法人制度改革に対応する税制改正については、「新たな非営利法人制度に関する法案の具体的な内容を踏まえて、改めて検討を行う」として先送りとなった。
政府税制調査会では、今年4月15日から、基礎問題小委員会と非営利法人課税ワーキンググループの合同会議を開き、公益法人改革後に創設される新しい非営利法人制度に関する税制の検討を行い、6月17日に、「新たな非営利法人に関する課税及び寄附金税制についての基本的考え方」を発表している。
当初は、これを受けて今年秋の政府税制調査会の議論で、さらに具体的検討が進められるのではないかといわれていた。しかし、公益法人制度改革の法案の準備作業がまだ十分進んでいないこともあり、11月25日に提出された税制改正答申では、『当調査会としては、「新たな非営利法人制度」に関する法案の具体的な内容を踏まえ、改めて税制の具体化に向けた検討を行うこととしたい』と、検討を来年以降に先送りにすることとなった。
11月25日に公表された答申における法人課税の部分は以下の通り。公益法人制度改革に関しては、後半に記述がある。
平成18年度の税制改正に関する答申
2.法人課税
経済社会の構造変化に柔軟に対応する観点から、新しい会社法制に対応する整備や株式交換等組織再編に係る税制を整備する必要がある。また、事業形態の多様化の動きについては、事業形態の選択に対する中立性を確保する観点から的確な対応が求められる。すなわち、わが国税制は、収益及び費用の私法上の実質的な帰属に着目して法人やこれに準ずる性格を有する信託等に対し法人課税を行っており、引き続きこうした適正な課税関係を構築していく必要がある。さらに、法人の設立が容易になる中で、個人形態と法人形態との税負担の差に由来する不公平は是正すべきである。
法人税率については、既に他の先進諸国並みとなっており、引き下げる状況にはなく、また、国際競争力維持の観点を踏まえれば、当面、現在の水準を維持することが適当である。
公益法人制度改革に対応する税制については、本年6月の「新たな非営利法人に関する課税及び寄附金税制についての基本的考え方」で示したとおり、「新たな非営利法人制度」の適切な制度設計が税制上の措置を検討する不可欠の前提である。当調査会としては、「新たな非営利法人制度」に関する法案の具体的な内容を踏まえ、改めて税制の具体化に向けた検討を行うこととしたい。
なお、公益法人制度改革は、あくまでも予想であるが、今後は以下のように進められる見込み(最短で進んだ場合)。
- 05年12月
- 公益法人制度改革に関する法案の概要発表
- 新しい非営利法人制度案概要、公益性に認定に関する法案概要等
- パブリックコメント実施
- 06年3月
- 公益法人制度改革に関する法案が国会に提出
- 06年6月迄
- 公益法人制度改革に関する法案成立
- 06年11月迄
- 政府税制調査会が公益法人制度改革に関する税制を検討
- 06年12月迄
- 与党税制調査会が公益法人制度改革に関する税制を決定
- 07年3月
- 新税制法案国会に提出・成立
- 07年中に第三者機関等の立ち上げ準備、認定手続きの具体化
- 08年4月?
- 新制度移行、既存法人の移行手続き開始、新税制適用
- 移行期間は、3~5年間となる見込み
※移行が終わるのは、2011年から2013年くらいまでの間
「平成18年度の税制改正に関する答申」の全文は、以下のホームページで読むことができる。
http://www.mof.go.jp/singikai/zeicho/tosin/171125a.htm