行政 : 内閣府、「亜細亜人権協議会」認証取消
12月4日、内閣府はNPO法人亜細亜人権協議会の認証を取消した。取消し理由は、NPO活動を目的として設立されておらず、設立後もNPO活動を行っていなかったため。同法人については、NPOを隠れ蓑としてフィリピン人女性を不法入国させて飲食店に斡旋した容疑で、11月に理事長が逮捕されている。
特定非営利活動促進法(以下、NPO法)では、その第43条第2項で、「所轄庁は、特定非営利活動法人が法令に違反した場合において、前条の命令によってはその改善を期待することができないことが明らかであり、かつ、他の方法により監督の目的を達することができないときは、同条の命令を経ないでも、当該特定非営利活動法人の設立の認証を取り消すことができる。」としている。
12月8日、内閣府は、12月4日付でNPO法人亜細亜人権協議会の認証取消しを行ったと発表した。
内閣府は、その取消し理由を、「特定非営利活動を行うことを主たる目的として設立されたものとは認められない。また、成立後も特定非営利活動を行うことを主たる目的としていたとは認められない。」(NPO法第12条第1項第2号違反)としている。
所轄庁が、NPO法第12条第1項第2号違反を根拠に認証を取り消したのは、今回が初めて。
内閣府では、取消しに至った経緯を以下のように説明している。
1)報告徴収の実施(平成18年11月8日)
当該法人の理事長等が、出入国管理及び難民認定法違反の疑いで警視庁に逮捕された(平成18年9月27日~10月31日)ことに関し、事実関係の報告を求めた。(NPO法第41条第1項適用)
2)当該法人からの報告(平成18年11月14日)
当該法人の説明は、次の疑いを払拭するものではなかった。
- 当該法人は、法人の理事長が経営する会社の利益につなげることを目的として設立された。
- 当該法人の役員は、特定非営利活動法人の社会的信用を利用した。
また、当該法人は、定款に定めのある事業をほとんど実施していなかったことは認めた。以上のことから、設立の認証の取消しを妥当と判断し、不利益処分を行うにあたり、意見陳述のための機会を設けることとした。(行政手続法第13条第1項第1号イ)
3)聴聞の実施(平成18年12月4日)
聴聞への出頭はなく、当該法人からは、2)の疑いを払拭するに足る合理的な説明がなされなかった。
この取消しによって、内閣府による認証の取消しは、累計で8件となった。
内閣府の認証取消しについては、同府サイト内、下記に掲載されている。
http://www.npo-homepage.go.jp/choumon/torikeshi.html
NPO法人亜細亜人権協議会の認証取消しの根拠となった法令は下記。
(認証の基準等)
第12条 所轄庁は、第10条第1項の認証の申請が次の各号に適合すると認めるときは、その設立を認証しなければならない。
二 当該申請に係る特定非営利活動法人が第2条第2項に規定する団体に該当するものであること。
(定義)
第2条
2 この法律において「特定非営利活動法人」とは、特定非営利活動を行うことを主たる目的とし、次の各号のいずれにも該当する団体であって、この法律の定めるところにより設立された法人をいう。
~略~
(報告及び検査)
第41条 所轄庁は、特定非営利活動法人が法令、法令に基づいてする行政庁の処分又は定款に違反する疑いがあると認められる相当な理由があるときは、当該特定非営利活動法人に対し、その業務若しくは財産の状況に関し報告をさせ、又はその職員に、当該特定非営利活動法人の事務所その他の施設に立ち入り、その業務若しくは財産の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
(設立認証の取消し)
第43条
2 所轄庁は、特定非営利活動法人が法令に違反した場合において、前条の命令によってはその改善を期待することができないことが明らかであり、かつ、他の方法により監督の目的を達することができないときは、同条の命令を経ないでも、当該特定非営利活動法人の設立の認証を取り消すことができる。