行政 : JANICがJICA募金計画に意見書提出
2月22日、国際協力NGOセンター(JANIC)は、独立行政法人国際協力機構(JICA)が、一般からの募金活動を今春から開始することに関して、意見書を提出した。JICAが市民の寄附金を積極的に集めることは、国際協力分野における「民業圧迫」とはならないか、などの意見とともに再検討を求めた。
昨年12月9日に開催されたNGO-JICA協議会で、国際協力機構(JICA)から、JICAが今春を目途に広く一般から寄附金を募る募金活動を開始するという計画が明かされた。
これに対して、国際協力NGOセンター(以下、JANIC)は、NGO関係者を対象にJICAの担当者による説明会を開催。
参加したNGO関係者からは、JICAが赤十字社や中央共同募金会のような積極的な寄附集めを開始すれば、国際協力NGOに限らず国内で寄附を集めて活動しているNGOやNPOにとって大きな打撃になるといった懸念の声が上がっていた。
2月22日、「JICA寄附金の積極的募集に関するJICAとJANICの意見交換会」が開かれ、JANICが意見書を提出し、意見交換が行われた。
意見書には以下の4つの内容が盛り込まれ、JICA側に募金活動に対する再検討を求めている。
-
戦後の国内福祉の事業資金が不十分な時代には、行政機関を動員する形での募金活動にも意義があったが、市民社会が醸成してきた現代、JICAが進めようとしている募金活動は後退した発想ではないか。
-
そもそもJICAはODA資金を効果的に使うために運営されてきた団体。独自に寄附金集めを行うということで、NGOとの役割分担が不明確になるのではないか。
-
ODAの国際協力事業に関して実質的に独占的な実施機関であるJICAが市民の寄附金を積極的に集めることは、国際協力分野における「民業圧迫」と批判されるべき政策である。
-
寄附の呼びかけに、JICAのODA資金の一部が行われるとして、ODAの一部を広報費用に充て寄附を呼びかけることに国民のコンセンサスは得られていないのではないか。
これに対して、JICA側は、寄附金は現在実施している事業に使うのではなく、主にNGOを通じた支援を想定している、企業などに積極的に働きかけることで寄附文化の醸成を図りたい、と回答。4月開始を見込んで準備を進めていくとしている。