行政 : 企業メセナ協議会、公益法人改革に提言
4月1日の「公益認定等委員会」の発足にあわせて、社団法人企業メセナ協議会は「公益法人制度改革に関する3つの提言」をまとめ、3月31日付けで公益認定等委員会および委員に送付した。提言書では、芸術文化の公益性をより広い視点からとらえた制度の運用を求めている。
昨年6月2日に公益法人制度改革関連3法が公布され、剰余金の分配を目的としない社団及び財団は、その行う事業の公益性の有無にかかわらず、準則主義(登記)により簡便に法人格を取得することができる「一般社団法人」及び「一般財団法人」となることになった。
そして、「一般社団法人」及び「一般財団法人」のうち、公益性が認定された法人については、「公益社団法人」、「公益財団法人」として適切な税制上の措置が講じられるとされている。
この公益性の認定は、内閣府に設置される「公益認定等委員会」、または各都道府県に設置される「合議制の機関」が行う。
4月1日、まずこのうちの「公益認定等委員会」が内閣府に設置された。同委員会は、平成20年12月頃に予定される新制度施行までの間、新たな公益法人の認定基準に係る政令、内閣府令等についての審議を行う。
この「公益認定等委員会」の発足にあわせて、企業の芸術文化支援(メセナ)を推進してきた社団法人企業メセナ協議会は、「公益法人制度改革に関する3つの提言」をまとめ、3月31日付けで公益認定等委員会および委員に送付した。
提言書では、芸術文化関連財団およびその母体企業をサポートする社団法人企業メセナ協議会として、公益法人制度改革が、メセナの精神を継承し奨励するものとなること、さらに、今後制定される関連政省令において日本の芸術文化の振興に資するものとなることを要望している。
具体的には、以下の3項目の提言を行っている。
- 芸術文化の公益性をより広い視点からとらえた制度の運用を
―より多くの民間団体が公益法人として芸術文化の活動に取り組むために―- 社会的認知度の低い実験的・先駆的な活動支援をしている財団もあることから、社会的認知度の高さを公益性判断の基準としないこと。
- 一般市民のほうが、芸術文化活動の公益性に関する許容範囲が狭いことから、より一般の理解が得られるよう、認定理由を明文化し、公開すること。
- 公益法人に経営努力を促す制度設計を
―芸術文化のプレイヤー(担い手)としての公益法人の活動を活発にするために―- 安定した財政基盤を確立するために、事業単位ごとに公益認定をするのではなく、事業全体を視野にいれた運用を望む。
- 遊休財産額の算定についても、機械的な適用にならないことを強く望む。
- 民間資金による芸術活動の振興を支える制度の確立を
―芸術文化の支え手としての民間財団、民間企業の活動を持続・発展させるために―- 民間企業を含めた「民」からの資金提供をより活発するような税制上の措置を望む。
企業メセナ協議会では、今後、さらに広く意見を募り、芸術文化関係者、他の関係公益法人とも連携をとりつつ公益法人制度改革に対応していきたいとしている。
社団法人企業メセナ協議会の「公益法人制度改革に関する3つの提言」は、同協議会サイト内に掲載されている。