行政 : 同友会、NPOとの優秀連携事業を紹介
5月30日、社団法人経済同友会は、「CSRイノベーション-事業活動を通じたCSRによる新たな価値創造-日本企業のグッド・プラクティス2007」を発表した。「グッド・プラクティス」とされた事例集のなかには、NPOと連携した取組みも紹介されている。
社団法人経済同友会は、2003年3月に「企業白書」を公表し、「企業評価基準(自己評価シート)」の作成、社会的責任経営推進委員会の設置等を通じて、CSRについての取り組みを重ねてきている。
2006年度には、会員所属企業・上場企業を中心にアンケートを実施して、事業活動を通じたCSRの実践事例=グッド・プラクティスを収集。その結果を、「CSRイノベーション-事業活動を通じたCSRによる新たな価値創造-日本企業のグッド・プラクティス2007」と題する報告書にとりまとめて、5月30日に公表した。
報告書では、企業のCSR活動のうち、、事業活動の前提条件としての「コンプライアンス・ガバナンス」分野は対象から外し、次の「顧客」「従業員」「地域社会」「環境」の4つの分野に整理している。
1.「顧客の立場に立った商品・サービス」
「顧客の立場に立つ」ことの内容の広がりを指摘し、バリアフリーやユニバーサルデザインの観点から、店舗、商品・サービス、人材、意見の聴取と反映の取組みについて事例を抽出。
2.「従業員が働きやすい職場づくり」
従業員=人材こそが企業価値の源泉という立場から、その人材の有効な活用を「多様性」と「能力開発」の両面から分析。
3.「地域社会との共存・地域コミュニティの再生」
地域社会の新しいニーズとして「新しい公」というものを意識し、企業が事業活動を通じて課題解決に積極的に取り組んでいる事例を、従来型の社会貢献活動を超えたグッド・プラクティスとして紹介。
4.「環境ビジネスの推進」
単なる環境配慮や環境マネジメントにとどまらない、真のイノベーションと呼べるような環境ビジネスを、環境技術、自然の活用、環境に配慮した金融、資源の節約、の4つに大別して紹介。
このうち、3.「地域社会との共存・地域コミュニティの再生」においては、新たな「公」の担い手として、企業、住民、NPOの果たす役割が大きくなってきているとして、エヌ・ティ・ティ・ドコモの事例が取り上げられている。
携帯電話の位置情報機能(GPS)を利用し、携帯カメラで撮影した画像をサーバーで送信し、WEB上の地図にマッピングさせるシステムを構築し、7つのNPOと協働で「防犯」「防災」「環境」「子育て支援」「福祉」「シニア」「街づくり」のテーマで地域コミュニティ支援のモデル事業を実施している事例が紹介されている。
また、4.「環境ビジネスの推進」では、伊藤忠商事による、「MOTTAINAI(もったいない)」キャンペーンが紹介されている。
植林活動推進の功績により環境分野で初のノーベル平和賞を受賞したケニアの環境副大臣ワンガリ・マータイ氏の提唱する「MOTTAINAI(もったいない)キャンペーン」に賛同し、「MOTTAINAI Lab」設立。
NPO「シブヤ大学」との提携により「MOTTAINAI学科」設立等を通じ、「MOTTAINAI」精神にのっとったライフスタイルを広く一般市民を巻き込んで研究、発信すると共に、体験型の授業、イベントを行っているとのこと。
「CSRイノベーション-事業活動を通じたCSRによる新たな価値創造-日本企業のグッド・プラクティス2007」は、経済同友会のサイトからダウンロードできる。
http://www.doyukai.or.jp/policyproposals/articles/2007/070530a.html