その他 : 日商、認定要件の緩和を要望
9月19日、日本商工会議所は、「平成20年度税制改正に関する要望」を発表した。要望書では、認定NPO法人制度に関して、その認定要件を緩和すること、さらに、本来活動に専念できるよう、現在2年である認定期間を3年以上に延長することを求めている。
9月19日、日本商工会議所は「平成20度税制改正に関する要望」と「平成20年度中小企業・小規模事業対策の拡充強化に関する要望」を常議員会で決議した。
「平成20度税制改正に関する要望」では、持続的かつ安定的な経済成長の実現、中小企業の底上げ・生産性向上、地域経済の活性化などの観点から次の3つの重点項目を掲げている。
1)企業の競争力・成長力の強化
2)地域経済の活性化
3)経済社会の変化への対応
この中の「3)経済社会の変化への対応」において、認定NPO法人制度の改正を求めている。
具体的には、「(3)公益法人制度改革等への対応と寄附金税制の充実」の項で、「3.認定NPO法人の認定要件の緩和および認定期間の延長」を要望。
「NPO法人は、現在3万超設立されているが、寄附金優遇措置のある認定NPO法人については、未だ70程度しか認められていないので、認定要件を緩和し認定NPO法人数を増加させるべきである。さらに、本来活動に専念できるよう、現在2年である認定期間を3年以上に延長する必要がある。」としている。
また、具体的な税制改正要望項目としては、国税の所得税について、公益法人制度改革に伴う税制措置および寄付金税制の充実のために、以下の3つの措置を求めている。
1)公益社団法人・公益財団法人は、税制上、寄附金優遇の対象法人として取り扱うこととし、これら法人に対して寄附を行った個人や法人に対して、少なくとも特定公益増進法人、認定NPO法人と同様の寄附金優遇を認める。
2)地域活性化に貢献する団体への寄附について、税制優遇を講じる。
3)商工会議所のような特別法に基づいて設立された特に公益性の高い法人については、少なくとも現行の特定公益増進法人等以上の寄附金優遇を認める。
国税の法人税については、以下の11の措置を要望している。
1)平成20年中に施行される公益法人制度改革の下で、第三者機関により公益性を認定された公益社団法人・公益財団法人への課税に関し、法人課税について、各事業年度の所得のうち収益事業から生じた所得以外の所得および清算所得に対して法人税を課さないとする現行の公益法人の取り扱いを適用する。
2)現行のみなし寄附金制度を大幅に拡充し、収益事業からの収益を本来の公益目的事業に繰入れた場合の損金算入枠(現行:所得金額の20%)を大幅に拡大する。
3)金融資産から生ずる利子・配当等の収益は、非課税とする。
4)公益社団法人・公益財団法人は、税制上、寄附金優遇の対象法人として取り扱うこととし、これら法人に対して寄附を行った個人や法人に対して、少なくとも特定公益増進法人、認定NPO法人と同様の寄附金優遇を認める。
5)公益社団法人・公益財団法人への課税や寄附金税制の制度設計は、公益信託等、民間資金を活用して公益活動を行う他の制度とのバランスを勘案しながら進める。
6)新制度の下で第三者機関による公益性の認定を受けない一般社団法人・一般財団法人への課税については、営利法人と同等の課税とするのではなく、人格なき社団等と同等の税制優遇措置は維持する。
7)一般社団法人・一般財団法人のうち、「専ら会員のための共益的事業活動を行う非営利法人」については、会費だけでなく、寄附金、補助金、助成金等も非課税とする。
8)特定公益増進法人、認定NPO法人、公益社団法人・公益財団法人に対して寄附を行った法人の損金算入限度額(現行:所得金額の1.25%+資本等の金額の0.125%)を大幅に引き上げる。
9)法人税の損金算入限度額および所得税の所得控除限度額について、アメリカやフランスと同様に、それぞれ繰越制度(5年程度)を導入すること。
10)地域活性化に貢献する団体への寄附について、税制優遇を講じる。
11)商工会議所のような特別法に基づいて設立された特に公益性の高い法人については、少なくとも現行の特定公益増進法人等以上の寄附金優遇を認める。
また、地方税の住民税に関しては寄附金税制の充実化のために、以下の5項目を求めている。
1)公益社団法人・公益財団法人は、税制上、寄附金優遇の対象法人として取り扱うこととし、これら法人に対して寄附を行った個人や法人に対して、少なくとも特定公益増進法人、認定NPO法人と同様の寄附金優遇を認める。
2)税源移譲により、個人にとって住民税の負担は従来よりも高くなっていることから、個人住民税に係る寄付金税制を次のとおり拡充する。
(ア)所得控除の適用下限限度額(現行:10万円)を5,000円に引き下げるとともに、控除限度額(現行:総所得の25%)を40%に引き上げる。
(イ)所得控除が認められる寄附の対象団体として、納税義務者の住所地に所在する公益性の高い非営利法人(公益財団法人・公益社団法人、特定公益増進法人、認定NPO法人)を加える。
3)地域活性化に貢献する団体への寄附について、税制優遇を講じること。
4)自治体への寄附金の一部を、個人住民税や所得税から税額控除する制度を創設する。
5)商工会議所のような特別法に基づいて設立された特に公益性の高い法人については、少なくとも現行の特定公益増進法人等以上の寄附金優遇を認める。
さらに、「その他」として、「非営利法人活動に対する税制措置」の項を設けて以下の2つの要望を掲げている。
1)NPO法人は、現在3万超設立されているが、寄附金優遇措置のある認定NPO法人については、未だ70程度しか認められていないので、認定要件を緩和すること。さらに、本来活動に専念できるよう、現在2年である認定期間を3年以上に延長すること。
2)商工会議所法に基づき設立されている商工会議所のような特に公益性の高い法人については、その存在意義や役割はむしろ地方自治体や公共法人と同等であると言えるため、課税対象所得の範囲や軽減税率、資産課税等について、現行以上の課税強化は行うべきではない。
今後、日本商工会議所は、政府、与党など関係各方面に要望書を提出し、実現を強く働きかけていく。
日本商工会議所の「平成20年度税制改正に関する要望」は下記に掲載されている。
http://www.jcci.or.jp/cgi-news/jcci/news.pl?1+20070919171517
http://www.jcci.or.jp/nissyo/iken/070919zeisei.pdf