行政 : 政府税調、新公益法人の寄付優遇で一致
政府税制調査会(首相の諮問機関)は10月12日の会合で、2008年末に予定されている公益法人改革に伴う税制のありかたについて議論した。会合後の会見で、寄付金税制に関しては、公益社団・公益財団と認定された団体のすべてで税優遇を受けられるようにすることで一致したことが明らかになった。
昨年6月2日に、公益法人制度改革関連3法が公布され、民法の公益法人に関する34条以下の規定が110年振りに改正された。
これによって、剰余金の分配を目的としない社団及び財団は、その行う事業の公益性の有無にかかわらず、準則主義(登記)により簡便に法人格を取得することができる「一般社団法人」及び「一般財団法人」となることになった。
そして、「一般社団法人」及び「一般財団法人」のうち、公益性が認定された法人については、「公益社団法人」、「公益財団法人」として適切な税制上の措置が講じられるとされている。
今年9月7日には、公益法人制度改革関連3法の施行日を平成20年12月1日とすることなどを定めた政令が公布されている。
10月12日に開催された、税制調査会企画会合(第17回)では、寄付金税制など、2008年末に予定されている公益法人改革に伴う税制のあり方について議論が交わされた。
会合終了後の記者会見には、特別委員の水野忠恒氏(一橋大学教授)も出席。香西泰会長(日本経済研究センター特別研究顧問)とともに、同会合で議論された新公益法人の税制に関する記者の質問に応じた。
会見では、水野特別委員が、「公益社団法人」と「公益財団法人」について、「特定公益増進法人の中に加えると、こういう方向で大体方向は進んでいる」と説明。
現在、寄付金優遇の対象となっている特定公益増進法人が公益法人全体の4%弱(約900団体)にとどまっているが、新制度の下では大幅に増える見通しが明らかになった。
また、公益認定を受けなかった「一般社団法人」や「一般財団法人」に対する法人税について、水野特別委員は、「非常に株式会社に近いような法人から、公益認定を受けてないけれども公益活動の比重の高い法人まであるわけです。ですから、これを1つにまとめて課税するのは無理なので、何らかのグルーピングがなされるのではないかと思います。」と発言。多様な事業性を考慮する必要があるとして、引き続き検討が行われるとの見通しを示した。
香西会長は、この発言を受けて、「詰めるべき問題があれば、それを詰めた上で答申するという形になるだろうと思います。」と述べた。
税制調査会企画会合(第17回)終了後の会見録は、下記に掲載されている。
http://www.cao.go.jp/zeicho/kaiken/kikaku17kaiken.html