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2007年12月07日 10:00

行政 : 平成19年版自殺対策白書

 11月21日、内閣府は自殺の現状や政府の自殺対策の実施状況をまとめた「平成19年版自殺対策白書」を発表した。この白書は、昨年10月施行の「自殺対策基本法」に基づき、国会に提出された初の年次報告。白書では自殺対策基本法が法制化する際に尽力したNPO法人などの取り組みや遺族の声等も紹介している。

 

 自殺対策白書は、自殺対策基本法(平成18年法律第85号)第10条の規定に基づき、政府が毎年、国会に提出しなければならない報告書である。

 日本における自殺の概要及び政府が講じた自殺対策の実施の状況について、報告されている。

 自殺対策基本法施行後、今回初めて「平成19年版自殺対策白書」として国会に提出された。

 なお、昨年、自殺対策基本法が法制化される過程では、NPO法人自殺対策支援センターライフリンクなどの22団体が立法化を訴える要望書を「自殺防止対策を考える議員有志の会」に提出。あわせて、法制化を求める10万人以上の署名運動を展開。こうしたNPOの運動に後押される形で、超党派の議員立法として可決され成立した経緯がある。

 11月21日に公表された「平成19年版自殺対策白書」は、2部構成。

 「第1部 我が国の自殺の現状と自殺対策の経緯」では、我が国の自殺の現状や自殺対策基本法成立までの経緯を記述。

 「第2部 自殺対策の実施状況」においては、平成18年度から平成19年度前半にかけて政府が講じた施策について解説している。

 具体的には、第1部の「自殺の現状」では、我が国の自殺者数の推移について、第二次世界大戦後は、高度成長期やバブル期に減少する一方、昭和30年前後(29年~35年)、60年前後(58年~62年)、そして平成10年以降に三つの山を形成していると報告。平成10年以降は、平成18年まで9年連続して3万人前後の状態が続いているとのこと。

 自殺の原因・動機については、平成18年では、「健康問題」1万5,402人(47.9%)が最も多く、次いで「経済・生活問題」6,969人(21.7%)、「家庭問題」2,960人(9.2%)、「勤務問題」1,919人(6.0%)、「男女問題」738人(2.3%)、「学校問題」242人(0.8%)の順となっている。

 第2部の「第1章 自殺総合対策大綱における基本認識及び基本的考え方」では、自殺対策の基本認識として、

1.自殺は追い込まれた末の死
2.自殺は防ぐことができる
3.自殺を考えている人は悩みを抱えながらもサインを発している
の3点をあげ、自殺は防ぐことができるという認識を明らかにしている。

 また、自殺対策の基本的考え方については、

1.社会的要因も踏まえ総合的に取り組む
2.国民一人ひとりが自殺予防の主役となるよう取り組む
3.自殺の事前予防、危機対応に加え未遂者や遺族等への事後対応に取り組む
4.自殺を考えている人を関係者が連携して包括的に支える
5.自殺の実態解明を進め、その成果に基づき施策を展開する
6.中長期的視点に立って、継続的に進める

という自殺対策を進める上での6つの基本的考え方を示している。

 さらに、自殺を予防するための当面の重点施策は、以下の9項目について設定されている。

1.自殺の実態を明らかにする
2.国民一人ひとりの気づきと見守りを促す
3.早期対応の中心的役割を果たす人材を養成する
4.心の健康づくりを進める
5.適切な精神科医療を受けられるようにする
6.社会的な取組で自殺を防ぐ
7.自殺未遂者の再度の自殺を防ぐ
8.遺された人の苦痛を和らげる
9.民間団体との連携を強化する

 「8.遺された人の苦痛を和らげる」では、内閣府が後援して、NPO法人ライフリンクが事務局を務める「自死遺族支援全国キャラバン」が紹介されている。

 このキャラバンは、自死遺族支援の充実を図るため、全国すべての都道府県で自死遺族支援をテーマにしたシンポジウムを開催し、孤立してしまっている遺族に「つながり」を呼びかけていくというもの。

 各都道府県に少なくともひとつずつは「自死遺族のつどい(分かち合いの場)」が設置されるようにと、そのきっかけつくりを行っている。

 また、「9.民間団体との連携を強化する」では、自殺対策の法制化を求め、自殺対策を推進してきたのは、自殺を「語ることのできる死」に変えていこうという民間団体の取組みだったとし、さらに、これらの民間団体の電話相談、遺族支援活動などの取組みは、自殺対策を進める上で不可欠であり、これらの民間団体との連携を強化し、その活動を支援することが重要だとしている。

 そして、そのための施策として、以下を行うこととしている。

1.民間団体の人材育成に対する支援
2.地域における連携体制の確立
3.民間団体の電話相談事業に対する支援
4.民間団体の先駆的・試行的取組に対する支援

 加えて、白書では自殺対策基本法が法制化する際に尽力したNPO法人などの取り組みや遺族の声等も紹介している。

 「平成19年版自殺対策白書」は、内閣府サイト内、下記に掲載されている。
 http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/whitepaper/index-w.html

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