その他 : NPO法人はソーシャルビジネスの担い手
4月3日、経済産業省の「ソーシャルビジネス研究会」が公表した報告書で、ソーシャルビシネスの組織形態の半数をNPO法人が占めていることが明らかになった。
経済産業省によれば、ソーシャルビジネスとは、少子高齢化や環境など様々な社会的課題を、ビジネスとしての事業性を確保しながら解決しようとする活動。
経済産業省の「ソーシャルビジネス研究会」(座長:谷本 寛治 一橋大学大学院商学研究科教授)の委員は、ソーシャルビジネス事業者と、学識経験者、中間支援機関、金融機関、大企業等のソーシャルビジネス支援者。昨年9月から今年の3月までに計6回の研究会を開催し、
1)我が国におけるSB の現状
2)今後SB が発展していく上での課題
3)これらの課題の解決策
について報告書をとりまとめ、4月3日に公表した。
研究会では、ソーシャルビジネス(以下、SB) の現状実態を把握するとともに、今後のあり方を検討する参考とするため、平成19年11月から平成20 年1 月にかけてアンケート調査を実施。
このアンケート調査は、
1)SBの事業者を対象とした「ソーシャルビジネス・コミュニティビジネス事業者アンケート」(以下、事業者アンケート)
2)一般の者或いはSBの商品・サービスの利用者を対象とした「社会的企業、ソーシャルビジネス、コミュニティビジネスについての意識調査」(以下、意識調査アンケート)
の2部構成。事業者アンケート調査は、SBの供給サイド、意識調査アンケート調査は需要サイドの現状と今後の見通しに関する調査となっている。
意識調査アンケートによれば、現状としてSBに関する認知度は非常に低く、SBの事業者が具体的に想起できる人は全体の16.4%に留まっている。
また、SBの商品・サービスを使ったことのある人は、「ほとんど使っていない」が31%と最も多く、また、使っていたとしても月当たり1 万円程度未満が63.7%、1万円以上は5.1%のみ。
また、SB事業者の商品・サービスをこれまで利用しなかった者で、その理由として「信用できない」と答えた人の61.5%は、「公的な認証のなさ」を信用できない理由として挙げている。
この結果から、研究会では、SB事業に関して具体的な取組を広く紹介していくとともに、その取組を評価し、信頼感を醸成する仕組みづくりを推進することが重要であると提言している。
事業者アンケートによれば、SBの組織形態は、NPO法人が46.7%と約半分を占め、営利法人(株式会社・有限会社)は約2 割(20.5%)に留まっている。現状では、NPO法人がSBの主な担い手になっていることが分かる。
収入及び従業員数については、1,000~5,000万円未満である団体が26.4%と最多。1 団体当たりの従業員数は常勤ベースで4 人以下の団体が過半数という規模。
社会的課題の解決に具体的にどう取り組んでいくかに関しては、「自ら今実施している事業を通じて社会に対するメッセージを発信することを重視している」と回答した組織の割合が69.3%と最も大きい。また、今後の事業展開については、現在の活動地域での事業推進及び他地域展開への意向が、それぞれ約50%ずつ。
調査結果をもとに、研究会はソーシャルビジネスを巡る課題と支援策について
1)社会的認知度の向上
2)資金調達の円滑化
3)SB等を担う人材の育成
4)事業展開の支援(税務・会計・法律等のソフト面や事務所等のハード面等)
5)SBの事業基盤強化(SB事業活動評価の指標、新しい組織形態の評価・認証の枠組み等)
の5点をあげている。
「ソーシャルビジネス研究会報告書」は、経済産業省のサイト内、下記に掲載されている。
http://www.meti.go.jp/press/20080403005/20080403005.html