その他 : 環境省のNGO/NPO政策提言、5団体が発表
5月27日、環境省は、「第8回NGO/NPO・企業環境政策提言フォーラム」を東京・新橋にて開催した。環境NPO関係者ら130名が参加。第8回NGO/NPO・企業環境政策提言に応募のあった31件から選ばれた5件について、応募団体からの発表があった。
NGO/NPO・企業環境政策提言フォーラムは、環境省が平成13年度(2001年度)から実施している「NGO/NPO・企業環境政策提言」で選定された優秀な提言を、提言団体自らが発表し、参加者などとの意見交換を行うもの。環境政策提言の募集と併せて、毎年度開催され、今回で8回目となる。
平成20年度(2008年度)の第8回NGO/NPO・企業環境政策提言には、31件の応募が寄せられた。その後、成蹊大学名誉教授の廣野良吉氏を委員長とし、金沢大学大学院人間社会環境研究科教授の世古一穂氏など学識経験者ら8名で構成される「NGO/NPO・企業政策提言推進委員会」が選考を行った。審査基準は「現状把握の的確性・先駆性・実現可能性・パートナーシップ促進の可能性」など7項目だった。選考の結果、1件の優秀提言と4件の優秀に準ずる提言が選定された。フォーラム当日は、これら5件の団体から、提言について具体的な紹介がなされた。
優秀提言に選ばれた財団法人地球・人間環境フォーラム(東京都 理事長:炭谷 茂)による「生物多様性・地域社会共存型の海外森林保全事業モデルの確立と、カーボン・オフセット事業及び炭素クレジットへのビルトイン手法の検討」では、担当の飯沼佐代子氏から提言内容の紹介があった。海外での大規模な植林事業における生物多様性の破壊や地域社会への負の影響があることや、カーボン・オフセット事業での炭素固定量のみ注目した森林価値評価があることを現状の問題点として指摘。これらを改善する提言として、生物多様性や地域社会と共存できる海外森林保全事業モデルを確立することなど紹介した。
優秀に準ずる提言に選ばれたのは、下記4件。
NPO法人環境とくしまネットワーク(徳島県 代表理事:島田公(いさお)) 「地域環境再生プロジェクト・限界集落からの脱却」
代表の島田氏から、限界集落を再生するための「空き家再生活用供給プロジェクト」などの提言内容が紹介された。
NPO法人HANDS(東京都 代表理事:中村安秀) 「アマゾン熱帯雨林におけるアグロフォレストリー普及とアグロフォレストリー認証制度の制定」
担当の溝上芳恵氏から、アマゾンでアグロフォレストリーを普及させるための認証制度など提言内容が紹介された。
株式会社Green TV Japan(東京都 代表取締役:水野雅弘)/株式会社NHKエンタープライズ(東京都 代表取締役:小野直路)
「映像による環境教育の実証及び教育プログラム作成」
Green TV Japan代表の水野氏から、映像による環境教育コンテンツの有効性や活用のための新しいライツマネジメント体制整備など提言内容が紹介された。
一般社団法人イクレイ日本(東京都 理事長:浜中裕徳) 「都市部での生物多様性保全活動促進のための国際連携」
担当の岸上みち枝氏から、来年2010年に名古屋で開催される「生物多様性条約第10回締約国会議」(COP10)も踏まえ、都市と生物多様性に関する提言内容が紹介された。
各団体の提言内容については、推進委員会委員や会場の参加者から、様々な意見や提案がなされていた。
最後に、選考を行った推進委員会委員長廣野氏が、今回の講評を述べた。廣野氏は「第1回には85件も応募のあった提言も、今回は31件にとどまった。最近は東京にある有名なNGO/NPOが採択されるという傾向が続いている。小さな団体の独創性の高い提言を選定できるように、審査体制も再考したい。」と述べ、今後の選考体制について改善させる姿勢を示した。
今後ますます環境政策が重要になっていることは間違いない。一方で、提言数が減少していることは残念だ。廣野氏が述べたように、審査体制を改善すると共に、他省庁・地方自治体との共同開催や政策立案に必要な環境情報の積極的な発信などを検討するべきだろう。シーズもNGO/NPOの環境政策提言・アドボカシー活動がより活性化するよう、取り組んでいきたい。
過去のNGO/NPO・企業環境政策提言に寄せられた提言は地球環境パートナーシッププラザ(GEIC)内、下記ページで参照できる。
http://www.geic.or.jp/geic/partnership/teigen/index.html
※本ニュースの取材・編集には三井物産環境基金から助成を頂いています。
http://www.mitsui.co.jp/csr/fund/index.html