その他 : NPO法人で全国初の更生保護施設が開設へ
8月3日、NPO法人TFG(田川ふれ愛義塾)(代表理事:工藤良)が法務省による更生保護施設の運営事業者として認可されたことが明らかとなった。特定非営利活動法人(NPO法人)に対する認可は全国初。全国で6ヵ所目となる未成年者専用の更生保護施設が開設される。
特定非営利活動法人(NPO法人)TFG(田川ふれ愛義塾)は、2002年に工藤氏が中心となって発足したボランティア団体が前身。工藤氏は元暴走族のリーダーだったが、ボランティア団体を立ち上げ、非行に走ってしまったり、居場所が無くなってしまった子どもたちのため奔走。共同生活を送りながら、自立を目指す、その活動は全国的な注目を集め、マスメディアによる取材や報道も数多い。
今回、TFG(田川ふれ愛義塾)がNPO法人としては全国で初めて運営事業者の認可を受けた更生保護施設とは、刑務所から仮釈放された人や保護観察中の人、少年院から借退院した人などで、身寄りがない人を対象とする施設。宿泊場所を提供して、生活指導や職業指導などを行い、自立に向けた援助を行っている。開設には法務大臣の認可が必要で、大半の施設は更生保護法人により運営されている。今回のNPO法人TFG(田川ふれ愛義塾)の事例の他には、社会福祉法人による開設例があるが、ごく少数。平成21年(2009年)4月1日現在で全国に102施設が存在する。平成19年の実績では、仮釈放者や満期釈放者、起訴猶予・執行猶予者など計8000人近くを保護している。
このような更生保護施設の運営をはじめとした更生保護関連事業のための法人としては、更生保護法人がある。明治以来、日本の更生保護活動は、更生保護法人や保護司、協力事業主など民間の熱意と努力により発展してきたとされる。更生保護法人は、更正保護事業法で定められた非営利法人の一種で、特定公益増進法人にも含まれ、寄附金控除の対象にもなっている。
社会復帰に向けた役割に期待が高まる一方で、地方自治体からの補助金の削減や企業などからの寄付金減少により、更生保護施設・更生保護法人の運営は苦しくなっている。法務省は、8月24日に発表した「更生保護施設検討会報告」の中で、委託費に関する問題など様々な課題を指摘。今後の方向性としては「(更生保護施設を)確実な自立と再犯防止を目指した強力かつ専門的な指導援助を行う社会内処遇施設として位置付け、積極的な活用を図っていく」としている。さらに、運営組織については「社会福祉法人など他分野からの参入を促進し、多様な処遇が実施できるような受け皿づくりを推進する」と述べている。
同報告では、「関係機関との連携の強化、地域社会からの理解・協力の確保」中で、「福祉・医療機関、NPO法人等との連携の強化」として、更生保護施設周辺のNPOなどとの連携を強化することが述べられている。また、「地域住民の理解の促進、更生保護施設や被保護者による地域貢献」として、施設の地域住民への開放や、施設周辺のごみ拾いなど各種NPOと連携しての地域社会貢献の推進が記載されている。
今年1月には、出所した人を雇用する事業者を拡大するために、経済界が中心となって「NPO法人全国就労支援事業者機構」も設立された。今後も、出所者や保護観察者などは増加していくと思われる。安心・安全な社会をつくるためには、彼ら彼女らが再び犯罪へ走らないように、社会がきちんと受けとめ、支援していくことが不可欠だ。そのためにも、NPO法人や社会福祉法人による更生保護施設運営をはじめとして、更生保護により多くの組織や個人が関わっていくことになるであろう。TFG(田川ふれ愛義塾)の活動に期待したい。
特定非営利活動法人(NPO法人)TFG(田川ふれ愛義塾)のホームページは下記。
法務省の更生保護施設検討会による報告は、法務省サイト内、下記ページを参照。報告書全文が入手可能。
http://www.moj.go.jp/PRESS/090824-1.html
更生保護全般については、法務省サイト内、下記ページを参照。
http://www.moj.go.jp/HOGO/index.html