その他 : 行政刷新会議、NPO関連事業も事業仕分け
11月、政府の行政刷新会議は、平成22年度予算に関する事業仕分けを前半・後半の2期に渡り、国立印刷局市ケ谷センター体育館にて実施した。様々な議題が取り上げられ、次々と見直しが要求される中で、NPO関連事業も廃止や縮減が要求されるケースが相次いだ。また、政府や独立行政法人が行う事業のNPO等への移管なども多く言及された。
8月の政権交代により発足した鳩山政権は、政治主導による政府事業・予算の見直しを図るため、内閣府内に行政刷新会議を創設。初代行政刷新担当大臣として、仙谷由人衆議院議員(現官房長官)が就任した。行政刷新会議は具体的な見直し手法として、民間シンクタンクの構想日本が考案した「事業仕分け」を採用。事業仕分けにより、国民視点からの無駄な事業見直しやマニフェスト(政権公約)に掲げた政策の予算確保などを目指した。
国会議員と民間から選出されたメンバーからなる「仕分け人」が、各省庁から平成22年度で予算要求のあった事業を必要性や有効性などから判断し、「廃止」や「予算縮減」などと判定していく。事業仕分けでの結果が、最終的な判断となるわけではなく、その後の折衝により、復活した事業も多かった。しかし、インターネット中継により公開の場で行われた「事業仕分け」は国民の大きな関心を呼び、仕分け結果は連日メディアを賑わした。
NPO関連事業も廃止や縮減が要求されるケースが相次いだ。例えば、内閣府の「現場の出番創出モデル調査」は「補助金バラマキになりNPOの自立を損なわせる。」などとして廃止の判定。厚生労働省の「若者自立塾(若者職業的自立支援推進事業)」は「効果の検証が出来ていない。」「自治体・民間に任せるべき。自治体を通じてNPOにやってもらうべき。」などとして廃止の判定がなされた。
独立行政法人の事業についても判定が行われ、「福祉医療機構」は法人本体のあり方についても見直しが必要と判定。「子どもの読書活動の推進事業」や「子どもゆめ基金」は「活動は応援したいが、基金はやめる。民間寄付、NPOが増えるような努力を。」として廃止判定された。同様に「日本芸術文化振興会」は「寄付を集める仕組み作りの努力が不足している。国が補助するというのは知識不足。」「寄付を増やすような政策体系を考えるべき。」として予算縮減と判定された。
全体として「民間でも十分できる。NPO などで対応しているし効果も出ている」といったNPO活動に対する評価と、それに伴う政府としての事業廃止判定がしばしば見受けられた他、「人件費はNPOとの比較の中で決めるべき」や「より民間に近い組織に任せたら安くなるのでは」としてNPO活動の効率性・低廉性を強調して、予算の見直しを迫る場面もあった。
「民間に包括委託をするべき」や「施設のみ残し、運営はNPO へ。」などのように、NPOを行政の下請けとしてみなすようなコメントもあったのも事実である。
また、補助金・助成金に依存しないNPOの自立運営に向けて、寄付の重要性がたびたび指摘された他、政府の政策としても、NPOへの寄付が増えるような政策を求める声も多かった。
今回の事業仕分けの結果など詳細は、下記の行政刷新会議サイトを参照。
http://www.cao.go.jp/sasshin/