その他 : 独法・政府系公益法人の事業仕分けへ意見募集
政府の行政刷新会議は、4月から独立行政法人(独法)や政府関連公益法人を対象とした事業仕分け第2弾を実施する。これに先立ち、国民から独法のあり方などの意見・提案を「ハトミミ.com」で広く募集している。 締め切りは3月23日まで。
鳩山政権は、昨年秋に行政刷新会議による「事業仕分け」を実施した。事業仕分けは、国民視点からの無駄な事業見直しやマニフェスト(政権公約)に掲げた政策の予算確保などを目指したもの。
国会議員と民間から選出されたメンバーからなる仕分け人が、各省庁の事業を必要性や有効性などから判断。事業仕分けでの結果が、最終的な判断となるわけではなく、その後の折衝により、復活した事業も多かった。しかし、インターネット中継により公開の場で行われた「事業仕分け」は国民の大きな関心を呼び、仕分け結果は連日メディアを賑わした。
前回の事業仕分けは、仙谷由人前行政刷新相の下で行われた。その後2010年1月に、前回ワーキンググループの座長を務めた枝野幸男衆議院議員が行政刷新相に就任。今回は枝野氏の下で実施される。
今回の事業仕分け第2弾は、独立行政法人(独法)や政府関連公益法人が対象。これらの法人については、かねてより天下りや不透明な随意契約、独占的な受注、無駄な事業などが指摘されている。
前回の事業仕分けでも、「子ども夢基金」を運用する「独立行政法人国立青少年教育振興機構」や、子育て支援を目的とした基金を運用する「財団法人こども未来財団」などの独立行政法人・政府関連公益法人に対して、基金の返納や予算削減など厳しい判断がなされた。
また、与党各党は、昨年の衆院選で独立行政法人や公益法人の見直しをそれぞれ掲げていた。
民主党
「1ムダづかい 2.特別会計、独立行政法人、公益法人をゼロベースで見直す
【政策目的】
○財政を透明にして、国民の政治に対する信頼を高める。
○税金のムダづかいを根絶する。
【具体策】
○特別会計をゼロベースで見直し、必要不可欠なもの以外は廃止する。
○独立行政法人の実施する事業について、不要な事業や民間で可能な事業は廃止し、国が責任を負うべき事業は国が直接実施することとして、法人のあり方は全廃を含めて抜本的な見直しを進める。
○実質的に霞が関の天下り団体となっている公益法人は原則として廃止する。公益法人との契約関係を全面的に見直す。」
社民党「再建8 税財政 大企業・金持ち優遇の不公平をただす ★「霞ヶ関の埋蔵金」と言われる特別会計や独立行政法人の余剰資金を抜本的に見直し、公共サービスの充実や国民生活向上に活用します。」
国民新党「8.公務員制度改革 公務員制度改革、特殊法人の全廃(必要な特殊法人は一般行政へ再編)、国の出先機関の廃止を進めます。」
こうした方針を踏まえ、政府は昨年12月に天下りを受け入れている公益法人を対象とした「政府関連公益法人の徹底的な見直しについて」を閣議決定。具体的な見直し作業は行政刷新会議が担うこととなり、独立行政法人と政府関連公益法人を対象とした事業仕分け第2弾が実施されることとなった。
4月から実施される予定の仕分け作業に先立ち、政府は仕分け対象の法人選定などに、広く国民からの意見や要望を反映させることを決定。2010年1月に開設されたオンライン意見募集サイト「ハトミミ.com( http://www.cao.go.jp/sasshin/hatomimi/index.html )」を活用。「ハトミミ.com」では、通常の一般的な募集とは別に、特定テーマの集中受付期間を設定している。2月23日~3月23日までの期間は「独立行政法人及び政府関連公益法人」をテーマに設定。下記事項について、市民や企業、NPO/NGOなどから広く意見を募集している。
(1)独立行政法人の抜本的な見直し
◆事務・事業の見直しについてのご意見・ご提案
◆組織・管理運営の見直しについてのご意見・ご提案
◆独法制度そのものに関する横断的見直しについてのご意見・ご提案
(2)政府関連公益法人の徹底的な見直し
◆行政が実施させている事務・事業の徹底的な見直しについてのご意見・ご提案
(行政から政府関連公益法人への無駄な支出、不透明な権限付与など)
寄せられた意見は行政刷新会議が事業仕分けを行う際に参考にされるとのこと。
意見の提出は、「ハトミミ.com」内、下記ページを参照。
http://www.cao.go.jp/sasshin/hatomimi/re_hato/uketsuke.html
昨年12月25日に閣議決定された「政府関連公益法人の徹底的な見直しについて」は下記PDFファイルを参照。
http://www.cao.go.jp/sasshin/091225_koueki.pdf
行政刷新会議のホームページは下記。
http://www.cao.go.jp/sasshin/index.html
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政府関連公益法人の徹底的な見直しについて
平成21年12月25日閣議決定
国家公務員出身者が役員又は職員等に在籍する公益法人(以下「政府関連公益法人」という。)について、以下の基本的姿勢及び見直しの視点により、徹底的な見直しを行う。
1.基本的姿勢
(1) 公益法人(注)と行政(国又は独立行政法人をいう。以下同じ。)の関係に関する従来の見直しは十分なものとはいえず、政府関連公益法人と行政の関係に対する国民の視線には厳しいものがある。
(注)特例民法法人、新制度の公益法人、特例民法法人から一般法人に移行した法人で国が所管するものをいう。以下同じ。
(2) このため、行政からの支出又は権限の付与(注)により政府関連公益法人に実施させている事務・事業について、これらが国家公務員出身者の報酬の財源を確保する手段となっているのではないかという批判があることを踏まえ、国民的な視点から徹底的に見直しを行う。
(注)行政以外の公的主体・関係団体等からの支出又は権限の付与のうち、行政が関与するものを含む。以下同じ。
(3) 見直しの結果、政府関連公益法人に実施させている事務・事業に関し、廃止、縮小、実施主体の変更等を行うべきものについては、政府関連公益法人への支出又は権限の付与の廃止、補助金等により造成された基金の返納等必要な措置を速やかに講じる。
(4) 支出又は権限の付与を継続する場合には、継続の理由を公表し国家公務員出身者の採用の透明化等を行うなど、政府関連公益法人への行政の関与の在り方について国民が納得しうるような条件を整備する。
(5) 見直しの過程において、主務大臣等(注)は、国民に対する説明責任を果たすとともに、政府関連公益法人への支出又は権限の付与の廃止等によってどのような問題が生じるかを具体的かつ明確に説明できない場合には、当該支出又は権限の付与の廃止等の措置を講じる。
(注)公益法人への支出又は権限の付与を行う大臣又は独立行政法人の長をいう。以下同じ。
(6) 公益法人は民間法人であり、強制的に公益法人を廃止することは困難であるが、政府関連公益法人に実施させている事務・事業の見直しの結果、法人として存続できず解散に至る政府関連公益法人が出てくることは想定しうる。
2.見直しの視点
政府関連公益法人に対する行政からの支出又は権限の付与に関して、以下の視点で見直しを行う。
(1) 行政が政府関連公益法人に実施させている事務・事業の徹底的な見直し
今回の「事業仕分け」の成果も踏まえつつ、必要性、有効性、効率性、緊要性、官民の役割分担、規制改革の観点から、次のような視点に立って徹底的な見直しを行う。
① 国民生活にとって真に不可欠であり、かつ、早期に実施するべきものであるか。
② 事業性を有するもの、民間企業等の参入を阻害しているものなどについては、民間企業等において実施できないか。
③ 事務・事業の効果が一部の地域にとどまるもの、地方公共団体で類似の事業を行っているものなどについては、地方公共団体で実施できないか。
④ 政府関連公益法人が契約の相手方となる随意契約は、真に合理的なものに限定されているか。また、競争入札についても、実質的な競争が確保されているか。
⑤ 一の主体により一体的に実施すること、類似の事務・事業を行っている他の主体により実施することにより効率的・効果的に国民へのサービスが提供できるものについては、他の主体で実施できないか。
⑥ 行政が直接実施することが真に必要なものについては、徹底した効率化を図った上で国の行政機関等が事務・事業を実施することができないか。
⑦ 事務・事業の実施に伴う国民や地方公共団体等の負担を軽減させることができないか。
(2) 業務運営に対する主務大臣等の指導監督等の強化
上記の見直しと併行して、行政からの支出又は権限の付与を受けて事務・事業を実施する政府関連公益法人の業務運営に対し主務大臣等による適正な指導等が行われてきているかどうか等について、次のような視点に立って検証し、主務大臣等による指導監督等の強化に反映する。
① 事務・事業の内容、実施方法、規模、体制等は適切か。
② 保有資産等の経営資源が事務・事業の目的・内容に照らして過大なものとなっていないか。
③ 行政との間の資金や人の流れの透明性は確保されているか。
④ 行政からの支出又は権限の付与を受けて実施する事務・事業について情報公開が徹底されているか。また、国民の評価・検証に資するとともに理解を確保するための情報提供が徹底されているか。