No.037 『社会福祉法人か、NPO法人か?』(2002/09/13配信)
バックナンバーの情報は配信当時の情報です。
現在では情報が変化している可能性があります。ご注意ください!
========================================
シーズ=市民活動を支える制度をつくる会
■2002-09-13■
■No.037 NPOWEB Mail Magazine
========================================
—事務局より—
夏もそろそろ終わり、もうすぐ秋ですね。今年の夏は、良い思い出をつくれましたか?
さて、ホームページでは、アクセス数の50万件ヒットキャンペーンを始めました。ぜひ
ご期待・ご応募ください。(S)
♪♪♪♪50万件ヒット記念キャンペーン♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
シーズのホームページへのアクセス数が、いよいよ50万件になろうとしています。
そこで、シーズでは、50万件のアクセスを記念して「NPOWEB50万件ヒット記念キ
ャンペーン」を以下の要領で実施いたします。
ペントレー、双眼鏡、シャンプー&コンディショナーセットなど、素敵な景品を用意
しています。
応募要領はこちら→ http://www.npoweb.gr.jp/0001/50.html
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
─◆INDEX◆───────────────────────────────
★メルマガ・コラム 『社会福祉法人か、NPO法人か?』(松原明)
★見逃せない!注目のニュース 内閣府、要件緩和を要望 ほか
★シーズからのお知らせ! 平成14年度 NPO法人入門講座
★トクトクNPOサポート情報 ヤマト福祉財団 日本財団 ほか
───────────────────────────────────────
★☆★☆メルマガ・コラム★☆★☆
『社会福祉法人か、NPO法人か?』
▼メリットが少ないNPO法人?
「松原さん。NPO法人になったはいいのですが、もう法人を解散しようかな、と思っ
ているのですよ。」
先日、ある会合で、障害者の小規模作業所をしている団体の代表のAさんが、私に
向かってそう話しかけてきた。
「どうしてですか」と聞くと、
「税制の優遇を与えられる認定NPO法人は要件が厳しすぎてとても認定を取れそうに
ありません。法人になっても事務的な作業ばかりで、補助金も来ないし、メリットが
ないのです。」
「それに、1千万円の資金があれば、社会福祉法人がつくれるようになりました。
社会福祉法人になれば、行政から補助金も来ると聞いていますし、税制の優遇措置も
ついています。だから、NPO法人を解散して、社会福祉法人になろうかと考えている
のです。」というお答えだった。
最近、NPO法人になったはいいがメリットがないという声をよく聞くようになった。
社会福祉法人とNPO法人の両方を経営しているBさんは次のように現状を説明する。
Bさんは、社会福祉法人では介護保険事業を、NPO法人では、介護保険事業にプラス
して介護保険の認定を受けれられないような要介護者、例えば若くて脳損傷で障害者
となったような人を在宅介護する仕組みをつくってきた。
しかし、そのような仕組みを維持していくことはだんだん困難になってきていると
いう。
介護保険事業ならば、ヘルパーに時給1800円払えるが、NPO法人の認定外の人
に対する訪問介護事業ではヘルパーに時給1100円しか払えない。NPO法人の方が、
財源が限られているからだ。
このためNPO法人で働くヘルパーのなり手がなくなってきているのだそうだ。
さらに、同じ介護保険の事業をしていても、社会福祉法人は非課税であるにもかか
わらず、NPO法人は課税になる。これが、NPO法人として活動するスタッフのやる気
をそいでいるそうだ。
スタッフからは、NPO法人をやめて社会福祉法人に一本化してはという声も出てい
るという。
▼なんのためのNPO制度?
では、NPO法人の活動を支えていくために、行政がもっと補助金をつけるようにす
ることが必要なのだろうか。
答えはノーだ。
今こそ、そもそもなぜNPOの議論が起こったのか、NPOがなぜ必要とされているの
か、そしてNPOの制度とはどうあるべきなのかについて、もう一度ととらえ直す必要
がある。
戦後、日本の社会システムというのは、中央政府の保護と規制のもとで、さまざま
な社会サービスを発展させてきた。
その社会システムとは、政府が、サービスの質や内容を決定し、その財源を保障し、
その事業分野への参入を規制し団体を保護するというものだった。
たとえば、福祉の分野では、老人介護や保育などといった社会サービスは、社会福
祉事業法で事業内容を決め、政府の認可のもとにおき、それを社会福祉法人に独占さ
せ、措置費や補助金でその財源を政府が提供してきたのである。
このような社会システムは、社会サービスを政府の規制や管理の下においている結
果、多様化する利用者のニーズや変化する社会環境に十分対応できなくなってきてい
た。また、利用者の自己決定権などを育てないような提供の仕組みとなっていってし
まった。
さらに、競争がないことなどから、サービスの提供コストが膨れ上がり、政府の財
源ではまかないきれないという状況にもなったのである。
このような状況を克服し、社会サービスを改革するために期待されたのがNPOだっ
たはずだ。
ここで、NPOが必要といわれたのは、単なるサービス主体としてのNPO(法人)が
必要とされたのではない。利用者ニーズに柔軟に対応できる主体としてのNPOの確立
と、自由に多様な社会サービスが提供できるための参入規制の撤廃と、それを支えられ
る民間を中心とした新しい財源システムの創造という、一連の社会システムとしての
NPOシステムを作っていくことが議論されてきたことである。
決して、NPO法人だけを生み出すことがこの社会的挑戦の最終的目標ではなかった
はずだ。
▼民間財源の開発が次の課題
確かに、今は、社会福祉法人や公益法人の方が、NPO法人より「メリット」は大き
い。
しかし、政府は、社会福祉法人の税制優遇措置や補助金を大幅に見直していく方針
をもっている。いずれは、介護保険事業に関しても、社会福祉法人も原則課税になる
と予想されている。政府は、公益法人の特権もなくしていく考えのようだ。
そして、このような社会福祉法人や公益法人を支えてきていた特殊法人の仕組みも、
現在の構造改革により大幅に縮小されようとしている。
いずれは、社会福祉法人を選んでも、NPO法人を選んでも大差はないということに
なってくるだろう。
一方で、どのような社会保障の制度をつくっても、こぼれ落ちたり、それにはのら
ない人たちというのは必ず出てくる。
先のBさんも「どのような制度でも、すべての人を救えるわけではないからNPOの必
要性がある」といってあくまでもNPO法人のサービスも維持していくつもりだ。
重要なのは、どのような法人を選べば得かという話ではない。
多様な人々の増加する社会ニーズに対応するために、どのような社会システムが構
築できるかという問題なのである。とりわけ、民間の財源をシステム的にどう整備し
ていけるのか、ということが問われているのである。
ぼちぼち、NPO法人だけのメリット・デメリットというところから議論を先に進め
なくてはいけない。
NPO法が施行されてからもうじき4年。NPOをめぐるチャレンジは新しい段階に入
った。
(松原明)
「ガバナンス 2001年11月号」より一部加筆修正して転載
※「ガバナンス」は、(株)ぎょうせいが発行している自治体職員・NPOワーカーな
どを対象とした月刊誌です。松原は、『Visions of NPO』というタイトルで、月一回
連載をしています。
「ガバナンス」についてのお問い合わせは、(株)ぎょうせい 03-5349-6666まで
★☆★☆見逃せない!注目のニュース★☆★☆
NPO News ◆……………………………………………………………………………………
NPO関連特区構想13件
……………………………………………………………………………………………………◆
政府の構造改革特区推進本部は、9月6日、政府に提出された構造改革特区の構想の
概要を発表した。地方公共団体等から提案された構想は、合計426件。概要レベルで、
NPOに関連する(触れている)特区構想は、13件となっている。
▽詳細はシーズホームページで!
http://www.npoweb.gr.jp/
ニュースコーナー中、9月11日のNEWSにて紹介
NPO News ◆……………………………………………………………………………………
内閣府、要件緩和を要望
……………………………………………………………………………………………………◆
内閣府は、8月末に締め切られた、来年度の税制改正に関して、認定NPO法人の要件
緩和とみなし寄付金制度の導入を要望した。認定要件の緩和では、パブリックサポート
テスト要件緩和や広域性要件の削除などを求めている。
▽詳細はシーズホームページで!
http://www.npoweb.gr.jp/
ニュースコーナー中、9月4日のNEWSにて紹介
NPO News ◆……………………………………………………………………………………
千葉県、NPO特区を提案
……………………………………………………………………………………………………◆
千葉県は、9月2日、政府が進めている「構造改革特区」の提案募集に対し、NPO活動
推進特区を提案したと発表した。認定NPO法人の認定要件緩和やNPO法人への信用保障
制度の導入などが盛り込まれている。
▽詳細はシーズホームページで!
http://www.npoweb.gr.jp/
ニュースコーナー中、9月3日のNEWSにて紹介
NPO News ◆……………………………………………………………………………………
法人名にローマ字可に
……………………………………………………………………………………………………◆
法務省は、7月31日、商業登記規則等の一部改正を行うことを告示した。これにより、
従来、NPO法人の名称で、登記上使えなかった、ローマ字、アラビア数字、コンマや
ハイフンといった特殊符号が、11月1日から使えるようになる。
▽詳細はシーズホームページで!
http://www.npoweb.gr.jp/
ニュースコーナー中、9月2日のNEWSにて紹介
NPO News ◆……………………………………………………………………………………
経産研、全NPO法人の統計発表
……………………………………………………………………………………………………◆
経済産業研究所は、「全NPO法人の財務状況等のデータに関する集計分析結果」を
7月22日に発表した。集計によれば、法人全体の事業規模は、1999年は総額で130億円
であったのが、2000年度には361億円と3倍近くにまで増加している。
▽詳細はシーズホームページで!
http://www.npoweb.gr.jp/
ニュースコーナー中、8月26日のNEWSにて紹介
□■□■お知らせ□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
シーズのホームページNPOWEBは現在、大幅リニューアル作業中のため、
一部機能を制限しております。ニュースや助成金といった主要な情報は通常通り
ご覧になることができます。皆さまには大変ご迷惑をお掛けしておりますが、
なにとぞご了承下さい。リニューアル後のNPOWEBにどうぞご期待下さい。
□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
★☆★☆シーズからのお知らせ!★☆★☆
NPO Event ◆…………………………………………………………………………………
平成14年度 NPO法人入門講座 (東京)
〜法人格取得から、取得後の手続き・運営までの基礎を学ぶ〜
……………………………………………………………………………………………………◆
日 時:9月13日(金)、19日(木)、20日(金)
24日(火)、25日(水)、26日(木)各日程の午後7:00〜9:00
場 所:東京ボランティア・市民活動センター A、B会議室
(1回目のみ、セントラルプラザ12階会議室)
参加費:各回とも2,000円
内 容:○第1回 9月13日(金)「NPO法人化の意味と申請の手続き」
なぜNPO法人化するのか、NPO法人のメリットは、など、その法人化の意味
と、申請にあたっての準備と手続きについて説明します。
松原 明(シーズ・事務局長)
○第2回 9月19日(木)「定款の作り方」
NPO法人化にむけて、どのような定款を作ればよいのか、そのポイントを説
明します。
浅野 晋さん(弁護士)
○第3回 9月20日(金)「NPO法人と会計」
NPO法人の予算書・決算書はどのように作ったらよいのかについて具体的に
説明します。
水口 剛さん(公認会計士)
○第4回 9月24日(火)「NPO法人と税務」
NPO法人にはどのような税金がかかり、どのように処理すればいいのかにつ
いて説明します。
赤塚 和俊さん(公認会計士・税理士)
○第5回 9月25日(水)「NPO法人と労務」
NPO法人が職員を雇う場合の労働条件、契約、社会保険などについて説明し
ます。
白澤 辰夫さん(社会保険労務士)
○第6回 9月26日(木)「NPO法人格取得後の手続きと義務」
法人格取得後、どのような手続きや報告が求められるのかなど、法人運営に
伴う責任や義務について説明します。
轟木 洋子(シーズ・プログラムディレクター)、松原 明(シーズ・事務局長)
主 催:東京ボランティア・市民活動センター
シーズ=市民活動を支える制度をつくる会
参加申込・問い合わせは、
東京ボランティア・市民活動センター(高山・中村)
〒162−0823 新宿区神楽河岸1-1 飯田橋セントラルプラザ10階
TEL:03-3235-1171 FAX:03-3235-0050
e-mail:center@tvac.or.jp
▽詳細はシーズホームページで!
http://www.npoweb.gr.jp/newsinfo.php3?newsid=704
お知らせコーナーにて紹介
★☆★☆トクトクNPOサポート情報★☆★☆
★8月15日、19日、20日、21日、22日、23日、27日、28日、29日、
9月2日、3日、4日、6日、11日、12日、13日更新の助成金情報です。
●千葉県
「(仮称)ちばNPO情報ネット事業」の委託先公募 (9月20日締切)
●(財)とよなか国際交流協会 2002年度市民国際交流活動助成金 (9月29日締切)
●(財)東レ科学振興会 東レ理科教育賞 (9月30日締切)
●日本自転車振興会 平成15年度公益事業振興補助事業 (9月30日締切)
●日本自転車振興会 平成15年度機械工業振興補助事業 (9月30日締切)
●(財)ヤマト福祉財団 やまと福祉財団賞 (9月30日締切)
●(財)島根ふれあい環境財団21
平成14年度環境保全活動支援助成金(追加募集) (9月30日締切)
●特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク
2002年度アーユスNGO人材支援 (9月30日締切)
●特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク
2002年度第1回アーユスNGOプロジェクト評価支援 (9月30日締切)
●仙台銀行 公益信託仙台銀行まちづくり基金 (9月30日締切)
●青森県
第3回(平成15年度)青い森ファンド助成事業(公益信託青森県ボランティア基金)
(10月4日締切)
●千葉県
NPO実務講座NPO実務講座NPO実務講座NPO実務講座NPO実務講座の委託先公募
(10月7日締切)
●文化庁
平成15年度芸術団体重点支援事業(国際芸術交流支援事業) (10月7日締切)
●(株)イオンフォレスト ザ・ボディショップニッポン基金事務局
ザ・ボディショップニッポン基金2002年度助成 (10月10日締切)
●東京都生活文化局東京ウィメンズプラザ
民間活動助成対象事業募集(二次募集) (10月10日締切)
●(財)日本おもちゃ図書館財団
平成14年度(財)日本おもちゃ図書館財団助成金 (10月10日締切)
●(財)国際コミュニケーション基金 平成14年度助成・援助事業 (10月18日締切)
●文化庁 平成15年度芸術団体重点支援事業 (10月18日締切)
●朝日新聞社 第4回「明日への環境賞」候補募集 (10月18日締切)
●(財)ひょうご環境創造協会
平成14年度(後期募集分)「ひょうご環境保全創造活動」支援助成金 (10月18日締切)
●国土交通省・社団法人日本テレワーク協会
勤労者のライフスタイルエッセイコンテスト (10月18日締切)
●(財)光文シエラザード文化財団 2002年度第7回劇団助成 (10月28日締切)
●社会福祉・医療事業団 平成15年度助成事業 (10月31日締切)
●PLANT A TREE PLANT LOVE事務局
第7回 PLANT A TREE PLANT LOVE奨励賞 (10月31日締切)
●(財)都市緑化基金 第3回「みんなの森づくり活動助成」 (10月31日締切)
●日本財団 2003年度助成金申請(1号・2号交付金) (10月31日締切)
●(財)ポーラ伝統文化振興財団 助成事業 (10月31日締切)
●ちば市民活動・市民事業サポートクラブ (NPOクラブ)、市民活動支援基金運営委員会
2002年度市民活動支援基金「一歩くん基金」助成 (10月31日締切)
●(社)私的録音補償金管理協会 第4回助成事業 (11月15日締切)
●(財)テクノエイド協会 平成15年度福祉用具研究開発助成 (12月2日締切)
●(財)ハウジングアンドコミュニティ財団
第11回「住まいとコミュニティづくり活動助成事業」 (12月2日締切)
●特定非営利活動法人「子どもに無煙環境を」推進協議会
第15回「子どもの周りを無煙に!」紙芝居・絵本、マーク、ポスター、メッセージ
(作文発表)コンクール (12月10日締切)
●(財)大阪コミュニティ財団 平成15年度大阪コミュニティ財団助成 (12月10日締切)
●外務省 日本NGO支援無償資金協力 (常時募集)
▽詳細はシーズホームページで!
http://www.npoweb.gr.jp/subsidy_list.php3
トップページの〆切間近の助成金情報とまだまだあります助成金等情報で紹介
★8月19日、9月3日、6日更新のその他のNPO支援情報です。
●「市民活動共同オフィス入居団体」募集(横浜市) (9月17日締切)
●平成14年度NGO専門調査員制度受入希望団体/NGO専門調査員募集 (9月17日締切)
●(財)音楽鑑賞教育振興会 第35回論文作文募集 (9月30日締切)
●第11回全国中学生・高校生「かけがえのない地球を大切に」作文コンクール (10月31日締切)
●在外教育施設国際交流ディレクターの募集 (11月8日締切)
▽詳細はシーズホームページで!
http://www.npoweb.gr.jp
トップページのその他のNPO支援情報にて紹介
——————————————————————————
★シーズの活動は、C's会員の方々の会費と、皆様の寄付によって成り立っています。
お問い合わせは、シーズ事務局までお願いいたします。
e-mail : npoweb@abelia.ocn.ne.jp
TEL : 03-5227-2008
——————————————————————————
========================================
NPOWEB Mail Magazineは、1月に2回〜3回ほどのペースで配信しています。
ご意見・ご感想は npoweb@abelia.ocn.ne.jpまでお寄せ下さい
シーズ入会案内ご希望の方は、npoweb@abelia.ocn.ne.jpまでご連絡下さい
メールの配信停止・アドレス変更は npoweb@abelia.ocn.ne.jpまでご連絡下さい
モバイル版ホームページもご覧下さい。http://www.npoweb.gr.jp/m/
NPOWEB Mail Magazineに掲載された記事を許可なく転載する事を禁じます
Copyright(C) 1994-2002 シーズ=市民活動を支える制度をつくる会
http://www.npoweb.gr.jp/