No.074 スマトラ大地震・インド洋大津波 寄附に関する特別号(2005/01/20配信)
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シーズ=市民活動を支える制度をつくる会
■2005-01-20■
■No.074 NPOWEB Mail Magazine
====================https://www.npoweb.jp ==
★スマトラ大地震・インド洋大津波 寄附に関する特別号★
■■寄附へのハードルを取り除こう!
欧米では、スマトラ沖地震・インド洋大津波による被害者・被災地を助けよう
と、政府だけではなく、市民による寄附が熱を帯びている。死者も15万を超え
るなど観測史上最大の被害をもたらしている今回の地震・津波だが、寄附も国
際的には史上最大の額となっているようだ。
1月16日の朝日新聞によれば、英国、オランダ、スイス、サウジアラビアで
は、政府支援額を民間寄附額がすでに大きく上回ったという。米国でも、まも
なく政府支援額を民間寄附額が抜きそうな勢いだ。
一方で、日本はどうだろうか。
同記事によると、日本政府支援は5億4000万ドルと、オーストラリア、ド
イツに続く支援額を誇るが、民間寄附はたった2350万ドル(約24億円)
と紹介されている。民間寄附が政府支援を抜くなんて、とうてい不可能な数字
だ。
政府支援額が大きいから、という言い訳はできない。なぜなら、イタリアの民
間寄附額5650万ドル(約58億円)にさえ、さらに、寄附の文化がないと
言われている中国の民間寄附額の3400万ドル(約35億円)にさえ、まっ
たく及ばないからだ。
日本の民間寄附額は、英国、オランダ、スイス、サウジアラビア、ドイツ、米
国、オーストラリア、スウェーデン、イタリア、中国よりも少ないのである。
欧米は、キリスト教文化だから寄附が盛んなのだ、などといった話はもはや通
用しない。
日本人はケチなのか、あるいは国際的感覚が鈍いのだろうか。
どうもそうとは言い切れない気がする。
まず、寄附をどう捉えるかという社会全体の取り組みの問題がある。
欧米では、寄附が必要な行為であることを政府やメディアなどが、日本とは比
べものにならないくらいアピールしている。
たとえば、米国のメディアは、放送枠を救援団体に「寄附」して、寄附の呼び
かけCMをバンバン流している。政府機関であるUSAID(米国援助庁)の
ホームページには、80の米国NGO/NPOが、今回の寄附先として紹介さ
れている。そのページには、ブッシュ大統領が寄附を呼びかけるメッセージも
掲載されている。
英国では、政府の取り組みが遅れたこともあり、新聞が「政府に恥をかかせて
やれ」と民間の支援を積極的に呼びかけた。
お隣の中国では、国をあげての募金活動を展開している。中国の新聞「中国青
年報」では、「慈善事業は、国家の文明レベルにかかわる」として特集記事を
組み、政府はマスメディアを通じて、盛んに寄附キャンペーンを展開している
という。
別の問題もある。
日本で寄附集めをするには、特にNPO/NGOが寄附集めをするには、あま
りに超えなければならないハードルが多いのだ。
たとえば、一般の人に津波救援の寄附先を聞けば、おそらく日本赤十字社とユ
ニセフくらいしか回答がないだろう。
NHKや新聞、TVなどのメディアの寄附先紹介も、結局は赤十字、ユニセフ
がほとんどだ。
つまり、一般の人たちは、NPO/NGOが津波救援で活動していることは知
っていても、NPO/NGOが寄附を募っていることを知らない。多くの企業も
同様だ。
赤十字やユニセフへの寄附はもちろん大事である。しかし、現地では、多様な
支援が必要だ。ニーズを伝え、多様な活動を展開しているNPO/NGOが、
それぞれ寄附を求めている情報がもっと流通すれば、また、もっと寄附しやす
い環境だったならば、もっともっと民間寄附は大きくなるのではないだろうか。
1月12日の東京新聞によれば、日本の衆参両院は、議員歳費の一部を義援金
として津波復興に寄附する方向で調整中だという。歳費から天引きして寄附を
送金するそうだ。
これ自体はすばらしい行為だとは思うが、それならNGO/NGOに寄附しや
すくなる特別立法をつくるなど、他にもやれることがあるのではないか。米国
では、1月末までの寄附は、2003年末までに寄附したものと見なし、早め
に寄附金控除して税金還付を受けられるとする特別立法が今月7日に早々と施
行されている。
こうして見ると、全てではないが、多くの日本のNPO/NGOは、国会から
も、行政からも、メディアからも、まっとうな支援を受けられていない。その
ため、NPO/NGOの募金活動が見えず、一般の個人からの寄附も、企業か
らも寄附も受けにくい。寄附金が控除できる「認定」資格は、要件が厳しすぎ
てなかなか得ることができない。
もちろん、個々のNPO/NGOの努力が最初にあるべきなのは当然だ。政府
に頼るべきものでは決してない。しかし、寄附しやすい環境をととのえ、寄附
情報が流通する社会づくりがないとその努力は十分に生かされないだろう。
さて、今年、シーズでは、寄附に関する情報も、WEBなどを通じて積極的に
提供していきたいと考えている。
別に競争するべきことでもないが、世界に胸を張れる「寄附立国日本」を目指
したいというのがシーズの願いである。
メルマガ読者の方々には、ぜひ市民活動団体への寄附に関する情報などをご提
供いただければ幸いである。
一人では変えられないことを変えるのがNPO。
寄附市場づくりでも、シーズは頑張ります!
(轟木洋子)
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スマトラ沖大地震・インド洋大津波に関するシーズのニュースや現地での救援
活動を展開しているNPO/NGOに関する情報を集めたコーナーを設けました。
ぜひご覧下さい。 https://www.npoweb.jp/200501.html
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《1》見逃せない! 注目のニュース
インド洋大津波、米国で寄附税制特別立法
NPO/NGO、インド洋大津波で募金呼びかけ
外務省、津波救援NGOに3億2千万
航空・海運企業、津波救援NGOに協力
《2》トクトクNPOサポート情報
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《1》見逃せない!注目のニュース
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NPO News◆… インド洋大津波、米国で寄附税制特別立法
米国政府は、昨年12月26日に発生したインド洋大津波の被害者救援のため
に活動する民間団体(NPO/NGO)への寄附を促進させるため、税に関す
る特別立法を成立させ、1月7日に施行した。この立法により、この1月末ま
でにこうした救援団体へ拠出された寄附金は、昨年2004年の所得から控除
可能となる。
→詳細は https://www.npoweb.jp/news_info.php3?article_id=1991
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NPO News◆… NPO/NGO、インド洋大津波で募金呼びかけ
昨年12月26日に起きたインド洋大津波(スマトラ沖地震・津波)による被
害に対して、各国で支援の輪が広がっている。日本でも様々な市民活動団体
(NPO/NGO)が現地での救援活動を展開、そのための募金を求めている。
→詳細は https://www.npoweb.jp/news_info.php3?article_id=1992
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NPO News◆… 外務省、津波救援NGOに3億2千万
外務省は、12月26日に発生したスマトラ沖大地震およびインド洋津波への
対応のひとつとして、被害地域で活動するNPO(NGO)に対して、これま
でのところ約3億2千万円の支援実施を決定した。これは、緊急人道支援NP
O法人であるジャパン・プラットフォーム(代表:大西健丞)の参加団体(N
GO)を通じて行われる。
→詳細は https://www.npoweb.jp/news_info.php3?article_id=1993
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NPO News◆… 航空・海運企業、津波救援NGOに協力
日本郵船、ANA、JALの各運輸会社は、12月26日に発生したスマトラ
沖地震・インド洋大津波への対応の一環として、NPO/NGOなどが行う救
援活動のための旅客または物資の輸送などを無償で提供する活動を始めた。
→詳細は https://www.npoweb.jp/news_info.php3?article_id=1996
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《2》トクトクNPOサポート情報
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最近更新した助成金情報です。括弧()内の日付は、助成金申請の締切日です。
・環境再生保全機構 平成17年度地球環境基金助成金 (1月25日)
・国際協力機構 国際協力大学生エッセイコンテスト2004 (2月28日)
→詳細は https://www.npoweb.jp/m_subsidy_categ.php3
[〆切間近の助成金情報]と[まだまだあります助成金等情報]で紹介中!
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