H24税制改正、寄付金損金算入枠が変更に
4月1日、昨年11月に成立した分の平成23年度税制改正法(税制構築法)や復興増税法が施行された。これに伴い、NPO法人が行う収益事業の法人税率がやや軽減される他、企業や各種組合等の法人が支出する寄付金の損金算入限度額について、一般枠が半減され、認定NPO法人等向けの特別枠が拡充される。
平成23年度・平成24年度税制改正は、ねじれ国会下の政治状況と、昨年3月の東日本大震災の発生を受けて、例年と比較し、かなり複雑なものとなっている。
今回の改正内容のベースは、平成23年度税制改正法案の積み残し部分を整理した「経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための所得税法等の一部を改正する法律案」と「経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための地方税法等の一部を改正する法律案」によるもの。
加えて、東日本大震災の復興財源をまかなうための「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法案」と「東日本大震災からの復興に関し地方公共団体が実施する防災のための施策に必要な財源確保に係る地方税臨時特例法案」(復興増税法案)により、所得税・個人住民税・法人税が時限的に増税になるなどの改正もある。
特定非営利活動法人(NPO法人)や寄付税制関連での主な改正点は以下の2点。
◆NPO法人の法人税率が引き下げ◆
NPO法人の収益事業に課税されている法人税率は、本則税率及び特例軽減税率が引き下げられた後、特例税率の適用も3年間延長される。その上で、復興特別法人税として、3年間に限り一律引き上げされる。最終的には、現状の税率よりも、2%前後軽減されることとなった。新しい税率が適用となるのは、2012年(平成24年)4月1日以後始まる事業年度からとなる。
【改正前(平成23年度)の税率】
●年800万円超:★本則30%★
●年800万円まで:(本則22%)⇒★平成23年度末までの特例18%★
【改正後(平成24年度)の税率】
●年800万円超:(本則25.5%)⇒
復興増税×10%が付加(平成26年度まで)⇒★28.05%★
●年800万円まで:(本則19%)⇒(平成26年度末までの特例15%)⇒
復興増税×10%が付加(平成26年度まで)⇒★16.5%★
◆法人の寄付金損金算入枠について一般枠が縮小・特別枠が拡大◆
企業や各種組合等が支出する寄付金の損金算入限度額について、「一般枠」が半減され、その減少分を補うだけ認定NPO法人等向けの「特別枠」が拡充される。結果として、NPO法人向けの寄付金(一般枠で処理)は従来の半分の枠になるのに対し、認定NPO法人等向けの寄付金については従来通りの枠まで損金算入が可能になっている。
【改正前】
●一般枠:(資本金等の額×0.25%+所得金額×2.5%)×1/2
※資本金や出資金を必要としない法人や一般社団・財団法人(非営利型)、NPO法人などのみなし公益法人等:所得金額×2.5%
●特別枠:(資本金等の額×0.25%+所得金額×5%)×1/2
※資本金や出資金を必要としない法人や一般社団・財団法人(非営利型)、NPO法人などのみなし公益法人等:所得金額×5%
【改正後】
●一般枠:(資本金等の額×0.25%+所得金額×2.5%)×1/4
※資本金や出資金を必要としない法人や一般社団・財団法人(非営利型)、NPO法人などのみなし公益法人等:所得金額×1.25%
●特別枠:(資本金等の額×0.375%+所得金額×6.25%)×1/2
※資本金や出資金を必要としない法人や一般社団・財団法人(非営利型)、NPO法人などのみなし公益法人等:所得金額×6.25%
【改正前後の損金算入枠比較】
法人の
資本・所得
|
H23までの損金算入枠
|
H24からの損金算入枠
|
資本金:1千万
所得:100万
|
NPO法人へ寄付:2.5万
認定NPOへ寄付:6.25万
|
NPO法人へ:1.25万
認定NPOへ:6.25万
|
資本金:10億円
所得:3億円
|
NPO法人へ寄付:500万
認定NPOへ寄付:1375万
|
NPO法人へ:250万
認定NPOへ:1375万
|
資本金:なし
所得:100万
(NPO法人等)
|
NPO法人へ寄付:2.5万
認定NPOへ寄付:7.5万
|
NPO法人へ:1.25万
認定NPOへ:7.5万
|