クラウド・ファンディングサービスが次々登場
2011年春から夏にかけて、ファンドレイジングに関するウェブサービスに新しい動きがあった。以前からインターネットを活用した寄付には、クレジットカード決済やコンビニ決済の活用をはじめ、クリック募金、JustGivingなどがあった。2011年度はこれら従来のサービスに加え、「クラウド・ファンディング」と呼ばれる新しいサービスが次々と登場した。
Wikipedhiaによれば、「クラウド・ファンディングとは、不特定多数の人から資金を集める行為である。群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語で、製品開発やイベントの開催、チャリティなどの用途で利用されることが多い。ソーシャルファンディングとも呼ばれる。」と定義されている。営利・非営利を問わず、寄付型に加えリターンのある購入型などがあるが、震災を受けて、日本での展開では、社会貢献活動のファンドレイジングにおいても活用が急速に進んだ。
【主なクラウド・ファンディングサービス】
◆Ready for?(https://readyfor.jp/)<”実行者”を支援する日本初のクラウドファンディング>
オーマ株式会社が運営。東日本大震災直後、2011年3月29日からスタート。社会貢献活動とクリエイティブ活動への支援が中心。震災復興支援のプロジェクトも多数。プロジェクト数:54 支援金額:約2750万 支援者数:3700人(2012年3月現在)
◆CAMPFIRE(http://camp-fire.jp/)<マイクロ・パトロン・プラットフォーム>
株式会社ハイパーインターネッツが運営。2011年6月2日からスタート。アーティスト・映画監督・ミュージシャン・作家といったクリエイターが主な対象。社会性の高いプロジェクトもある。
他にも、Twitter(ツイッター)やFacebook(フェースブック)に代表されるソーシャルメディアを活用したファンドレイジングも積極的に展開された。また、スマートフォンの爆発的な普及に伴い、寄付やボランティアなど社会貢献を気軽に行えるアプリケーションが開発されたのも特筆すべき点だろう。NPOによっては、団体独自のスマートフォン・アプリを開発している。さらに、ソフトバンク株式会社が2011年8月から始めた「チャリティ・ホワイト」など月々の携帯電話料金に上乗せされる形で寄付が可能になるなど、寄付やボランティアを手軽にできる様々な進展があった。
他にも特筆すべき取り組みとしては、「セキュリテ被災地応援ファンド」も挙げられる。被災した事業者の事業再開などを1口1万円で「5千円:寄付/5千円:出資」というユニークな形で、長期的に関わり支援する試みだ。
◆セキュリテ被災地応援ファンド(http://oen.securite.jp/)<半分寄付 半分投資>
ミュージックセキュリティーズ株式会社が運営。今回のベースとなったマイクロ投資プラットフォーム「セキュリテ」は2009年にスタート。被災地応援ファンドは4月25日から開始。調達金額:約7億6千万円 支援者数:約2.2万人(2012年6月現在)