【改正NPO法】内閣府、登記遅れ等について柔軟な認定審査を通知
8月8日、内閣府は改正NPO法に基づいた、所轄庁(都道府県・政令市)による新しい認定NPO法人制度の運用に関して、「法第45条第1項第7号における組合等登記令の登記懈怠に関する取扱いについて」をホームページに掲載した。本通知は、7月31日付で全国の67所轄庁に送付されたもので、認定基準にある「法令違反等が無いこと」の判定について、資産の総額の変更登記等が遅れている場合等の柔軟な対応を求めている。
4月1日、抜本改正された改正NPO法が施行され、所轄庁による新しい認定NPO法人制度がスタートした。「仮認定制度」の導入や国税庁から所轄庁への移管などにより、認定NPO法人制度が身近になり、多くのNPO法人に利用可能なものになることが期待されている。
しかし、新制度の運用において、国税庁による旧認定NPO法人制度より厳しく運用されている基準が出てきた。現在、問題となっているのは「(基準6)事業報告書等を所轄庁に提出していること」「(基準7)法令違反等が無いこと」の2つである。
「(基準7)法令違反等が無いこと」については、認定申請法人の各種登記手続きの遅れ(登記懈怠)が問題となっている。とりわけ、資産の総額の変更登記については、組合等登記令が【事業年度終了後2ヶ月以内】の登記手続きを求めている一方で、NPO法では【事業年度終了後3ヶ月以内】での事業報告書・活動(収支)計算書等の提出を義務付けている関係で、制度上の矛盾が生じている。
多くのNPO法人は、NPO法に則って、事業年度終了後3ヶ月以内に総会を開催し、活動計算書や貸借対照表、財産目録等の決算を確定させた上で、所轄庁への提出と資産の総額の変更登記等を行っている。このため結果として、2ヶ月以内に行うこととなっている資産の総額の変更登記が遅れる場合が多い。
この点について、一部の所轄庁で、資産の総額の変更登記が少しでも遅れていることをもって法令違反とし、認定・仮認定を認めないとの動きがあった。このため、ここ数週間、NPO議員連盟の岸本周平衆議院議員(民主党)が内閣府に柔軟な対応を求め、また、シーズでも事業報告書等の点と合わせて、内閣府等に対して要望を行っていた。こうした要望を受けて、今回の通知では、以下のように、当面の間、資産の総額の変更登記等の遅れなどについて、遅れたことのみをもって判定するのではなく、実質的な影響を勘案して判定することを求めている。
「4.このため、法第45条第1項第7号に係る登記の懈怠に関する取扱いについては、上記3の旧租特法上の所轄庁証明書発行の取扱いを考慮し、当面の間は、登記懈怠の有無のみをもって判定するのではなく、当該懈怠により生ずる実質的な影響が旧租特法上の取扱いとして積極的な調査、確認につながり得るような程度のものであるか等を勘案して判定するとの取扱いとされたい。」
今回の「法第45条第1項第7号における組合等登記令の登記懈怠に関する取扱いについて」については、内閣府サイト内、下記PDFを参照。
「法第45条第1項第7号における組合等登記令の登記懈怠に関する取扱いについて」
https://www.npo-homepage.go.jp/pdf/20120731kumiaitouki.pdf
シーズでは引き続き、改正NPO法の円滑な施行と制度の普及に向けて、働きかけを全力で行っていく。
【御礼】
今回の登記に関する運用改善でご尽力いただいた、岸本周平衆議院議員をはじめ、内閣府や法務省など関係者の皆さまに心より御礼申し上げます。引き続き、改正NPO法の円滑な施行に向けて、ご協力をよろしくお願い申し上げます。
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都道府県指定都市市民活動担当課御中
内閣府政策統括官(経済社会システム担当)付参事官(「新しい公共」・市民活動促進担当)
法第 45 条第 1 項第 7 号における組合等登記令の登記懈怠に関する取扱いについて
平素より、市民活動行政に御理解と御協力を賜り誠にありがとうございます。
さて、特定非営利活動促進法の一部を改正する法律(平成 23 年法律第 70 号。以下「法」という。)が本年4月1日に施行されたところですが、法第 45 条第1項第 7 号における標記の取扱いについては、改正前の租税特別措置法(以下「旧租特法」という。)における取扱いを考慮し、下記の取扱いとしていただきますようお願いいたします。
記
1.法第 45 条第 1 項第 7 号の「法令又は法令に基づいてする行政庁の処分に違反する事実がないこと」とは、本法のみならず、その他各種法令に違反する事実がないことを求めているものと解される。
2.法第 45 条第 1 項第 7 号の基準の適合性の判定にあたっては、今般の法改正に伴って、法第 13 条第 3 項において未登記法人の認証取消の規定が追加されたことに鑑み、組合等登記令に違反する事実の有無についても確認を行うことが求められる。
3.なお、旧租特法第 39 条の 23 第 1 項第 7 号においては、法第 45 条第 1 項第 7 号と同様の規定が設けられているが、当該基準の適合の判定については、旧租特法第 39条の 23 第 7 項第 2 号の規定により所轄庁が発行する証明書(以下、「所轄庁証明書」という。)及び旧租特法第 66 条の 11 の 2 第 6 項に規定される調査により、その法令違反の有無を確認するという取扱いがなされていた。
所轄庁証明書の発行に際しては、所轄庁が能動的に各種法令への適合を調査することまでは求められず、登記懈怠についても、外形的に法人の活動規模を誤認しうるような多額の資産総額の変更に係る登記懈怠や登記の著しい遅延などが疑われる場合に、その事情を所轄庁において総合勘案して調査を行った上で、法令に違反すると認められる事実の有無を確認して、所轄庁証明書を発行するという取扱いがなされていたものである。
4.このため、法第 45 条第 1 項第 7 号に係る登記の懈怠に関する取扱いについては、上記3の旧租特法上の所轄庁証明書発行の取扱いを考慮し、当面の間は、登記懈怠の有無のみをもって判定するのではなく、当該懈怠により生ずる実質的な影響が旧租特法上の取扱いとして積極的な調査、確認につながり得るような程度のものであるか等を勘案して判定するとの取扱いとされたい。
以上
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