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認定取得・維持に向けた「定款変更」のやり方

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皆さんの団体内部のルールを定めたものが「定款」です。NPO法人にとって団体の「定款」は非常に重要なものです。法人名称や目的、事業内容、会員制度、役員、総会・理事会など定款には重要な事項が決められており、この定款に従って団体を運営しなければいけません。認定取得・維持を考える上でも定款は重要ポイントですので、NPO法と合わせて、必ず自団体の定款は一読しましょう。認定取得を目指す団体であれば、なおのこと定款を踏まえた運営が重要です。また、認定を目指すのであれば、変更しておきたいポイントがあります。一連の手続きと一緒に確認しておきましょう。

ビフォーアフター

ビフォー

●設立時から定款変更を全くせずに、定款と実態が大きくかけ離れている。
●モデル定款通りに作成しており、柔軟な運営ができず、定款も守れていない。

アフター

●認定取得・維持に対応した定款を実現できる。
●実態に即した事業内容や運営体制の定款となり、定款違反もなくなり認定取得できる。

手順

1. 認定取得・維持を考慮した定款変更ポイントをおさえる。

認定を考えた際に、定款で変更した方がよいポイントがいくつか存在します。具体的な手続きに入る前に、まずはこれらの検討ポイントを確認しましょう。

【認定取得を目指す際の定款でのポイント】
●事務所表記は、最小行政区画にとどめておく。
※事務所の引っ越しが想定される団体の場合は、事務所の表記は番地まで記載せずに、最小行政区画(市町村・特別区)までの記載としておくと、市町村内の引っ越しの際には定款変更が不要となり、負担が軽減できます。

●事業の種類は、実態に合わせるとともに「その他の事業」は安易に盛り込まない。
※事業の種類は「特定非営利活動事業」については、現状と大きな乖離がないように合わせると共に、「その他の事業(旧収益事業)」は会計や事務負担の無駄に増やすため、安易に盛り込まないようにしましょう。

●総会・理事会の権限は、それぞれの開催頻度や会員・理事数などを考慮し配分する。理事会主導型も検討する
※所轄庁のモデル定款は様々な意思決定を総会で決める「総会主導型」となっていますが、解散・合併・定款変更以外の権限は理事会等へ割り当てることもできます。実態に応じて、無理に総会主導型とせず、理事会に多くの権限を持たす「理事会主導型」も検討しましょう。

●「みなし総会決議」を可能なように盛り込んでおく。
●役員定数は、「役員の3分の1基準」を踏まえて、幅を持たせておく。
●「特定資産」の活用のため、資産の管理方法は、理事会権限にしておく。

2. 事務局や理事会で定款変更案を検討する。

ポイントを押さえた上で、次に具体的な手続きに入ります。1.で確認した定款変更ポイントなどを踏まえて、事務局や理事会で定款変更案の検討を行います。変更内容や手続きについて分からないことは、所轄庁や地域のNPO支援センター、行政書士などの専門家へ必要に応じて相談してみましょう。

3. 理事会で定款変更案を確定させ、総会議案にする。

定款変更内容の検討が終わったら、総会へ提出する定款変更案としての変更内容を確定させます。所轄庁の書式も参考にして、「新旧対照表」や「変更後の新定款」など資料を整え、総会の議題に盛り込み、議案書に変更内容を記載しましょう。

議案をまとめる際に注意が必要なのが、「事業の種類」や「活動分野」を変更するときです。これらを変更する場合(例:特定非営利活動事業を追加・変更する、その他の事業を削除する、活動分野を追加するなど)は、定款変更認証申請時に定款変更案だけでなく、2年度分の事業計画書と活動予算書を添付する必要があります。
「事業計画と予算」の決定権限がどこにあるのかによりますが、モデル定款通りの団体の場合は「総会権限」です。したがって、定款変更案と一緒に総会開催日を含む事業年度と翌事業年度の事業計画・予算も議案として盛り込む必要があります。これをよく忘れがちなので、注意して下さい。
また、「事業計画と予算」が理事会権限の場合は、理事会で議決しておく必要があります。

4. 総会で定款変更を議決し、議事録を作成する。

総会で定款変更を議決します。定款変更の議決の場合は、通常の過半数とは異なり、特別多数決(例えば、4分の3以上の賛成)が求められていることが多いですので、定款を確認の上、「全会一致」や「○○人の賛成」など要件を満たしていることがはっきり分かるように議事録へ記載します。

また、先ほどの述べた通り、「事業の種類」や「活動分野」を変更するときは、2年度分の事業計画・予算を議決することも忘れないようにし、議事録にもその旨をしっかり記録しておきます。
※下記、議事録記載例は「東京都特定非営利活動法人ガイドブック本編」より抜粋

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5. 届出事項と認証事項を分ける。

総会議事録が完成したら、所轄庁に対する手続きに入ります。定款変更事項は「届出事項」「認証事項」の2種類があり、整理が必要となります。届出事項は重要性が低いもので、総会の議決だけで変更が有効となり、所轄庁へは届出だけで済むものです。認証事項は設立認証と同じように、所轄庁の縦覧や認証が必要となるもので、総会の議決だけでは有効ではなく、認証後に初めて変更が有効となるものです。所轄庁の手引きなどを参考に、定款変更案から、これらを切り分けます。この作業は判断が難しい点も多いので、所轄庁や支援センターで相談する方がよいかもしれません。
※下記表は東京都の例、「特定非営利活動法人ガイドブック本編」より抜粋

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6. 届出事項を届出する。

届出事項と認証事項を切り分けたら、定款変更届出書を所轄庁に提出します。必要な書類は「届出書(必要に応じて新旧対照表)」と「届出事項反映後の新定款」、「定款変更を議決した総会の議事録」です。届出事項のみの変更の場合は、これでOKです。ただし、事務所の表記で具体的な地番まで記載している場合に、変更を行った際には変更登記も必要となります。9.に進みます。

7. 認証事項を認証申請する。

認証事項については、定款変更認証申請を行います。必要な書類は「認証申請書(必要に応じて新旧対照表)」、「認証事項反映後の新定款」、「定款変更を議決した総会の議事録」です。加えて、事業の種類などを変更する場合だけ、「総会開催日を含む事業年度と翌事業年度2年度分の事業計画書・活動予算書」も必要になります。定款変更認証は申請してから認証がおりるまでに約4ヶ月かかります。また、補正依頼が来ることも多いです。

8. 認証・届出後、登記が必要な場合は変更登記を行い、完了届を提出する。

無事、認証がおりたら、所轄庁での閲覧用に新定款を提出すると共に、名称や目的、活動・事業の種類、事務所所在地など登記事項に関する変更の場合は、法務局で変更登記を行います。変更登記完了後には、所轄庁に登記完了届を提出することも忘れないようにしてください。

コツ

自団体の定款をまずはよく読む。認定に対応した定款への変更を役職員でよく検討する。定款変更手続きはややこしいので、所轄庁の手引きなどを参考に、抜け漏れがないよう注意する。

NPO法人シーズ・市民活動を支える制度をつくる会

1994年11月創設。1998年のNPO法成立、2001年の認定NPO法人制度成立、そして2011年6月の制度大改正を市民側からリード。市民活動を支える制度を勝ち取ってきました。NPOの個別サポートプログラムを4月からスタート。これからのシーズは、「基盤整備の時代」から「NPOの成長と成果の時代」を目指します。

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本記事は、2014年04月11日公開時点の情報です。記事内容の実施は、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。
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