トップページに戻る

青色申告法人と同等の会計書類とは?

007

認定NPO法人を目指す法人は、青色申告法人と同等の会計を求められます。
青色申告法人でなくても構いません。あくまで同等の会計を行っていれば、OKです。青色申告法人と同じように帳簿をつけ、保存します。

どのような点に気を付ければよいか、内閣府の「特定非営利活動推進法に係る諸手続きの手引き」Q&A(問47)に解説が出ていますので、ひとつずつ具体的にみていきましょう。

ビフォーアフター

ビフォー

認定NPO法人になりたいけど、青色申告法人と同等の会計って難しそう。会計に自信がないから、認定申請も躊躇してしまう。

アフター

帳簿の漬け方や保存期間がわかって安心。これなら、会計ソフトを利用すれば、これからもずっとできそうだし、認定NPO法人に申請してみよう!

手順

1. 複式簿記で記録する

内閣のQ&Aでは、青色申告法人と同等の会計について、具体的な内容が6つ挙げられています。
ひとつめは、「資産、負債及び資本に影響を及ぼす一切の取引を複式簿記の原則に従って、整然と、かつ、明りょうに記録し、その記録に基づいて決算を行うこと」(法人税法施行規則53)
つまり、複式簿記で会計を行うようにということです。

現金出納帳や預金通帳で、お金の出入りと残高を記録しているだけの会計は、一般に単式簿記と言われ、複式簿記にあたりません。複式簿記では、勘定科目ごとに正しく集計を行い、正味財産増減の原因を明らかにすることが求められます。なんだか難しそうですが、会計ソフトを利用すれば、自動的に複式簿記になりますから、ぜひ導入しましょう。

2. 総勘定元帳を備えおく

ふたつめは、「仕訳帳、総勘定元帳その他必要な帳簿を備え、取引に関する一定事項を記載すること」(法人税法施行規則54、同別表二十)
仕訳帳とか、総勘定元帳って、いったいなーに?というところですが、これも会計ソフトを利用すれば全く苦労はありません。

そもそも簿記では、請求書や領収書など、お金の取引を証明する書類(証ひょう)に従って、まず日付順に仕訳帳を作成します。次に今度は日付ではなく勘定科目ごとに集計する総勘定元帳に転記していきます。区分管理が必要な取引には、補助科目を作成して、補助元帳もつくります。そして、総勘定元帳から、一か月、あるいは一年など、一定期間の科目ごとの金額を集計し、決算書類を作成します。帳簿だらけで、作成は困難に思えますが、これも会計ソフトを利用すれば、最初の仕訳入力をするだけで、その他の帳簿も自動で作成され、便利です。恐れることはありません。ちなみに日常的にはデータ管理で十分ですが、年次決算の際、帳簿類はできるだけ印刷して、ファイルにとじておきましょう。税務上、帳簿書類は紙による保存が原則となります。

3. 取引には、年月日、内容、科目、金額を必ず記載する

みっつめは、「仕訳帳には、取引の発生順に、取引の年月日、内容、勘定科目及び金額を記載し、総勘定元帳には、その勘定ごとに記載の年月日、相手勘定科目及び金額を記載すること」(法人税法施行規則55)

これも、会計ソフトを利用すれば、項目にそって埋めていくだけですので、記載漏れはありません。むしろ気を付けたいのは、これら記載項目の根拠を示す「証ひょう」の保管です。請求書や領収書、納品書、契約書など、取引の根拠を示す書類を、まとめて「証ひょう」と呼び、取引の実在性を示す客観的な証拠となります。総勘定元帳にふられる伝票番号を、該当する証ひょうにもつけて保管しておくと、確認作業が簡単になります。

4. 棚卸(たなおろし)の記録をつける

よっつめは、「たな卸表を作成すること」(法人税法施行規則56)
販売するための商品や、仕入れた材料は、金銭的価値がありながら、現金・預金の形ではなく、これらを棚卸資産といいます。この価値を適正に評価するため、定期的に、実地棚卸を行います。計算上の在庫数と、実際の在庫数が合っているかどうか照合することは、ミスや盗難の発見、より効率的な在庫管理にもつながるので、棚卸資産を持つ法人は、年に一度の決算時だけではなく、定期的に実施してみましょう。

5. 貸借対照表と活動計算書を作成する

いつつめは、「一定の科目をもって貸借対照表及び損益計算書を作成すること」(法人税法施行規則57、同別表二十一)
NPO法人の基本となる計算書類は、「貸借対照表」と「活動計算書」ですが、この活動計算書が、損益計算書にあたるものとみなされますので、認定申請のためだけに、損益計算書を新たなに作成する必要はありません。この活動計算書は、2012年のNPO法改正で採用された新しいスタイルです。まだ、改正前の「収支計算書」を作成している法人は、いずれ活動計算書に切り替えられるよう、会計方法の見直しをおすすめします。詳しくは各所轄庁にお尋ねください。

6. 帳簿は7年間保存!

最後は、「帳簿書類を7年間整理保存すること」(法人税法施行規則59)
法人税上の定めで、帳簿や証ひょうを、7年間は原則として紙で保存することと決められています。どんどん増えてしまい保管場所に困ってしまうかもしれませんが、なんとか場所を確保します。
なお、認定NPO法人申請では、実績判定期間である過去2事業年度の会計帳簿が確認されますし、税務調査でも過去3年間程度遡って調査されることもあるので、直近3年間の帳簿や証ひょうは、倉庫にしまわず、取り出しやすい場所に保管しておくとよいでしょう。

コツ

● 取引の発生から記録まで、流れるように!
証ひょう⇔仕訳入力⇔総勘定元帳⇔決算書、これらは一連の流れにつながっている書類なので、それぞれの関連がよくわかるように、丁寧に記録・保存することを心がけます。会計はついつい後回しになりがちですが、認定NP法人申請の土台をなす作業です。

(参考)
内閣府の「特定非営利活動推進法に係る諸手続きの手引き」Q&A 
青色申告法人と同等の会計に関する解説は、(問47)を参照。
https://www.npo-homepage.go.jp/pdf/201204_manual/201204_manual_6.pdf

Cs

NPO法人シーズ・市民活動を支える制度をつくる会

1994年11月創設。1998年のNPO法成立、2001年の認定NPO法人制度成立、そして2011年6月の制度大改正を市民側からリード。市民活動を支える制度を勝ち取ってきました。NPOの個別サポートプログラムを4月からスタート。これからのシーズは、「基盤整備の時代」から「NPOの成長と成果の時代」を目指します。

スポンサー


本記事は、2014年04月11日公開時点の情報です。記事内容の実施は、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。
ChangeRecipeではあなたのNPO活動における知識や体験談を必要としています
あなたが活動するなかで苦労したことやそれを乗り越えるために行ったノウハウは、他の地域で活動している方がとっても必要としてます。
あなたの投稿で日本の社会変革のスピードを加速してみませんか?