NPO法人が事務所を引っ越す時に必要な手続き
ビフォーアフター
ビフォーNPO法人の事務所を引っ越すことにしたけど、何をしたらいいのかわからない。 |
アフター必要な手続きを、該当する役所で行うことができる。 |
手順
1. 引越し先は同じ市区町村内ですか?定款に住所はどこまで書いてありますか?
主たる事務所の引越し先が同じ市区町村内ですか?別の都道府県に引っ越しますか?(A)引越し先は同じ市区町村内であるの場合、定款の「事務所」についての記載部分を確認します。住所は地番まで書いてありますか?市区町村まで書いてありますか?
(A)引越し先は同じ市区町村内である
(あ)住所が地番まで書いてある例
この法人は主たる事務所を東京都千代田区三番町24番25号 三番町TYプラザ5階に置く。
(い)住所が市区町村(最小行政単位)まで書いてある例
この法人は主たる事務所を東京都千代田区に置く。
(B)引越し先は同じ都道府県内である
(C)引越し先は別の都道府県である
パターン別に対応が異なります。
(A)+(あ)⇒所轄庁での定款変更が必要です ⇒手順2に進む
(A)+(い)⇒法務局で移転登記をします ⇒手順3に進む
(B) ⇒所轄庁での定款変更が必要です ⇒手順2
(C) ⇒所轄庁の変更が必要です ⇒手順5
※ポイント※
住所が地番まで書いてあると、例えば、隣のビルに引っ越すだけでも、定款変更が必要になってしまいます。定款に記載する住所は市区町村までに留めておくことをお勧めします。
2. 定款変更を行うには、社員総会での議決が必要です
定款の変更をする場合には、社員総会を開き、社員総数の2分の1以上が出席し、その4分の3以上の多数での議決が必要となります。
議決を経た後に、所轄庁に定款変更認証書を送り、申請してから認証が下りるまで約4ヶ月かかります。
以下が定款変更認証申請の時(移転の場合)に必要な書類です。
(1)定款変更認証申請書
(2)定款変更を議決した社員総会の議事録の謄本
(3)変更後の定款
これらの手続きの後に手順3(法務局での手続き)と手順6(その他の役所での手続き)が必要です。
3. 法務局での手続き~移転登記をする
移転先が法務局の管轄登記所内か、それ以外かによって手続きが異なります。
(ⅰ)移転先が法務局の管轄登記所内の場合
(ⅱ)移転先が法務局の管轄登記所外の場合
それぞれ主たる事務所移転登記申請書、理事会議事録、社員総会議事録、定款、(認証書)を添付して届け出ます。(ⅱ)の場合は、移転前の事務所を管轄する法務局と移転後の事務所を管轄する法務局に申請が必要になります。
申請書の様式と書き方例は以下URLを参照ください。
主たる事務所移転登記申請書
http://www.moj.go.jp/ONLINE/COMMERCE/11-1.html#04
※ポイント※
NPO法人は登記の際、登録免許税が課税されません。
4. 定款変更の登記が終わったら所轄庁にも報告します
1)定款の変更登記完了提出書
(2)登記事項証明書
(3)登記事項証明書のコピー
※重要※
定款に法人の住所を市区町村までとしている場合でも、所轄庁に引っ越したことの届けはしておきましょう。
5. 所轄庁の変更を行う ※(A)(B)の方は不要です。
所轄庁の変更を伴う場合には、変更前の所轄庁に認証申請書類を提出し、変更前の所轄庁から変更後の所轄庁に書類を送付します。変更後の所轄庁で認証を受けるのに、約4ヶ月かかります。
6. その他の役所での手続き
所轄庁と法務局での手続きについて説明してきましたが、この他にも、NPO法人の付き合いのある役所があります。
税務署、県および市町村税事務所には、「異動届出書」を出します。
労働基準監督署には、「労働保険名称、所在地変更届」を出します
年金事務所には、「適用事業所所在地変更届」を出します
この他、銀行口座の住所、携帯電話・インターネットやクレジットカード、保険等の各種契約の住所変更なども必要となることでしょう。
労働基準監督署での手続き
http://shinsei.e-gov.go.jp/search/servlet/Procedure?CLASSNAME=GTAEGOVMSTDETAIL&menSeqNo=0000007176&id=4950019900009
年金事務所での手続き
https://www.nenkin.go.jp/n/www/service/detail.jsp?id=2020
コツ
・机や荷物を移動するだけでも大変なのに、役所の手続きは沢山あって混乱しますね。シーズも引越し経験が多いのですが、必ずチェックリストを作り、いつまでに完了させるかの目標を定めて、役割分担で取り組みます。
NPO法人シーズ・市民活動を支える制度をつくる会
1994年11月創設。1998年のNPO法成立、2001年の認定NPO法人制度成立、そして2011年6月の制度大改正を市民側からリード。市民活動を支える制度を勝ち取ってきました。NPOの個別サポートプログラムを4月からスタート。これからのシーズは、「基盤整備の時代」から「NPOの成長と成果の時代」を目指します。