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これで完璧!NPO法人の設立登記

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NPO法人の設立は、所轄庁から認証書が届いたらそれでOK!ではありません。法務局で「法人登記」を行って、はじめて法人が成立します。

法人登記とは、あらゆる法人が、組織の重要事項を登録し、社会に公開する制度。NPO法人も法律によって、登記を行うことが義務付けられています。
しかも、嬉しいことに、NPO法人の登記は、登録免許税が免除されています!(株式会社だと、設立登記の登録免許税は15万円!)

認証日から半年を過ぎても設立登記をしていない場合、認証取消しの対象となってしまいますので、うっかり忘れないように注意しましょう。

ビフォーアフター

ビフォー

所轄庁から認証されて、設立登記をするように言われたけれど、やり方がわからない。

アフター

設立登記の方法がわかり、法人が成立する。

手順

1. 法人代表者印を作成する

まず、法人代表者印を作成しましょう。一般的には、直径1cm~3cmの丸印で、二重丸の真ん中に「法人代表者印」、外側に法人の名前を彫ります。これを法務局に届け出て、会社の実印として使用します。
せっかくなので、この他に、銀行口座用に使用する銀行印や、日常的に発行する領収書等に押す角印、また会社名のゴム印なども作っておくと便利です。

2. 管轄の法務局を調べる

次に、主たる事務所の所在地を管轄する法務局を調べます。
法務局のHP「管轄のご案内」が便利。
商業・法人登記管轄区域をみて、法人の主たる事務所の所在地が該当する場所を確認しましょう。

なお、登記申請は、郵送でもできますが、書類に不備があったら、そのやりとりだけでも大変。法務局の相談窓口では、書類の書き方や添付書類の揃え方など、詳しく教えてもらえますので、余裕があれば、訪問や電話で事前相談することをお勧めします。

(参考)
法務局HP「管轄のご案内」
http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/static/kankatsu_index.html

3. 登記申請する日を決める

設立登記は、認証書到達日から2週間以内に申請しなければなりません。
登記申請書が受理されてから完了まで1~2週間かかりますが、法人の設立日は、この完了日ではなく、申請書が受理された日付で登記されます。認証書到達から2週間以内という制限はありますが、その中で好きな日付を設立日にすることが可能です。

4. 設立登記申請書を作成する

次に、設立登記申請書を作成します。記載する事項は次の通りです。
「名称」-法人の名称を省略せずに記載。
「主たる事務所」-定款では最小行政区画までの場合でも、登記申請書には住所を全て記載。
「登記の事由」-認証を受けたことを記載。
「登記すべき事項」-申請書に書き込まず、CD-Rにデータ保存して提出。(*後述します)
「認証書到達の年月日」-認証書を受け取った日付を記載。
「添付書類」-添付書類の名称と通数を記載。

また、記載事項ではありませんが、書類に不備があった場合に連絡してもらえるよう、電話番号と担当者名を余白に鉛筆で書いておくことをお勧めします。

登記申請書の記載例を、法務省がHPで公開しています。詳しくはそちらをご覧ください。
(参考)
法務省「商業・法人登記申請」
NPO法人設立登記の記載例
http://www.moj.go.jp/content/000057873.pdf

5. 登記すべき事項のCD-Rを作成する

登記すべき事項は、以下の通り。これらをパソコンの「メモ帳」機能等を利用してテキスト形式で作成し、CD-Rに保存して提出します。印刷した用紙を添える必要はありません。

「名称」-法人の名称を省略せずに記載。
「主たる事務所」-定款では最小行政区画までの場合でも、ここでは住所を全て記載。
「目的等」-定款に記載した事業の目的、特定非営利活動の種類、事業名をそのまま転記。一般的な定款では第3条~5条にあたる部分。
「役員に関する事項」-氏名、資格(理事)、住所を記載。定款で理事長等に選定された特定の理事のみが法人を代表すると定めた場合、その理事だけ。代表権を制限せず、理事全員が法人を代表できる場合は、理事全員。
「資産の総額」-設立当初の法人の正味財産の額を記載。NPO法人は0円でも設立できるので、当初の財産がなければ0円と記載。
「解散の事由」-NPO法で定められた解散の事由の他に、定款で独自の解散理由を定めた場合は記載。
「登記事項に関する事項」-設立と記載。

詳しくは法務省の記載例をご覧ください。
(参考)
法務省「商業・法人登記申請」
NPO法人設立登記の記載例
http://www.moj.go.jp/content/000057873.pdf

6. 添付書類を作成する

必要な添付書類は以下の通り。各1通ずつ提出します。
提出した書類は戻ってこないので、コピーと原本を提出し、登記官が内容に相違ないことを確認すると、原本を返してくれます。コピーには、それぞれの末尾余白に、「これは当法人の●●である」と記載し、特定非営利活動法人の名称、主たる事務所、代表権のある理事の資格及び氏名を記載し、法人代表者印を押印します。

「定款」-各ページの綴り目に法人代表者印で契印する。契印とは、隣り合うページの折り目に押印し、万が一バラバラになってもセットであったことを照合できるようにすること。袋とじにした場合は、表紙と帯、裏表紙と帯に、それぞれまたがるように押印する。
「認証書」-所轄庁から届いた認証書がこれにあたる。
「資産の総額を証する書面」-設立当初の財産目録を作成して使用する。
「代表権を有する者の資格を証する書面」-登記すべき理事の就任承諾書がこれにあたる。代表権を制限している場合は、理事の就任承諾書に加えて、理事長等への就任承諾書も合わせて提出する。

なお、定款で、主たる事務所の所在地を最小行政区画にしている場合は、登記する住所に間違えがないことを示すため、「主たる事務所の所在地を確認した会議の議事録」も添付書類に加えてください。設立総会の議事録に記載があればベストです。

詳しくは法務省の記載例をご覧ください。
(参考)
法務省「商業・法人登記申請」
NPO法人設立登記の記載例
http://www.moj.go.jp/content/000057873.pdf

7. 印鑑届出書を作成する

設立登記の際には、印鑑届出書も同時に申請します。
この手順の最初にも書いた、法人代表者印、これを法務局に届け出る作業です。

印鑑届出書の様式は、法務省のHPからダウンロードできます。これに必要事項を記載して、理事長の個人の実印で届け出ます。3か月以内に取得した、理事長個人の実印の印鑑証明書も添付します。印鑑カードの交付も同時申請します。印鑑カードがないと、届け出後、印鑑証明書を取得することができません。

(参考)
法務省「商業・法人登記申請」
印鑑届出書の様式(NPO法人)
http://www.moj.go.jp/content/000011576.pdf
法務省「商業・法人登記申請」
印鑑届出書の記載例(NPO法人)
http://www.moj.go.jp/content/000076221.pdf

8. 登記申請と印鑑届出を行い、補正があれば対応する

申請書が受理されると、登記完了予定日がわかります。通常、受付カウンターに掲示されていますが、わからなければ聞いてください。だいたい1週間程度で完了します。その間に書類が審査され、不備があれば書類の補正を求められますので、対応します。登記申請書に電話番号を書いておくと、電話連絡で連絡がもらえますので、ぜひ書いておきましょう。

9. 登記が完了したら、登記事項証明書と印鑑証明書を取得する

登記が完了したら、さっそく、登記事項証明書と印鑑証明書を取得しましょう。
登記事項証明書は、所轄庁に原本を1部提出しなければなりません。事務所にも原本を備えおきたいので、少なくとも2通は取得します。また、印鑑証明書は、銀行口座の開設等に必要ですが、提出はコピーで良い場合もあります。当面原本提出の必要がなければ、まずは1通取得します。

なお、それぞれの取得にはお金がかかります。取得申請の際、収入印紙で手数料を納めます。収入印紙は法務局内で販売していますので、事前に購入しなくても構いません。

(参考)
法務省HP
「登記事項証明書・印鑑証明書の交付申請」 様式・記載例
http://www.moj.go.jp/ONLINE/COMMERCE/11-2.html
(参考)
法務省HP「法人登記の手数料」
http://www.moj.go.jp/ONLINE/COMMERCE/11-2-1.html

10. 登記完了届を所轄庁に提出する

登記事項証明書を取得したら、所轄庁に、設立登記完了届出書を提出します。
所轄庁の様式に記載し、登記事項証明書の原本とコピー、登記申請の際に提出した設立当初の財産目録を添付して報告します。詳しくは所轄庁にご確認下さい。

以上で、設立登記は完了です!

コツ

● 印鑑や書類の準備は事前にスタート
所轄庁から認証書が届いたら、2週間以内に登記申請を行わなければなりません。ちょっと忙しい時期だとあっという間に過ぎてしまいますので、認証がおりそうな時期がきたら、印鑑や書類の準備をできるだけ事前に始めておきましょう。
● 法務局の窓口を活用
法務局の相談窓口は、書類作成について、とても丁寧に教えてくれます。もちろん無料!資産の総額は毎年、役員の変更も1~2年毎に登記しなければならず、NPO法人を設立すると、法務局はぐっと身近な役所になります。ぜひ勉強を兼ねて、設立登記にチャレンジしましょう。

Cs

NPO法人シーズ・市民活動を支える制度をつくる会

1994年11月創設。1998年のNPO法成立、2001年の認定NPO法人制度成立、そして2011年6月の制度大改正を市民側からリード。市民活動を支える制度を勝ち取ってきました。NPOの個別サポートプログラムを4月からスタート。これからのシーズは、「基盤整備の時代」から「NPOの成長と成果の時代」を目指します。

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本記事は、2014年04月11日公開時点の情報です。記事内容の実施は、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。
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