ツボを押さえた助成金申請書の書き方~助成金担当者はココを見ている
ビフォーアフター
ビフォー助成財団の助成金にふさわしい事業は、(1)新しく開始する事業、(2)既存の事業の場合は、助成金によってさらにステップアップを図れるもの、です。単純に資金不足であるから、は駄目です。 |
アフター助成金を活用して事業を行った結果、新規事業が軌道に乗る、既存事業が拡大・発展する、それによって団体の成長がなされます。さらにはその事業によって地域、社会の問題が解決または改善されます。← 申請書にはここを強調することが大切。 |
手順
1. 事業計画・資金計画
目標達成のために、いつ、どこで、誰が、何をするか、具体的に書きます(内部合意必須)。
2. 助成財団を知ろう
助成財団のホームページがあれば、設立目的や助成プログラム内容(応募要項や過去の助成実績等)を熟読します。公募内容(助成プログラム)と申請する事業とのマッチングを確認します。
いくつかの助成財団では各地で助成事業の説明会を開催しているところがあります。近くで開催されるときは、ぜひ参加しましょう。
多くの助成財団は説明会までは開いていませんが、申請前の問い合わせや相談は大歓迎です。訪問も可能ですが、その場合は必ず前もって予約をしてください。
3. 助成財団、助成プログラムを探す
インターネットの助成金サイトで探します。助成財団センターのサイトで、事業形態・活動分野で検索できます。
助成財団センターサイト:http://www.jfc.or.jp (「民間助成金ガイド」のページ)
また、助成財団、助成プログラムを探すときは以下の点に目を配りましょう。大抵のことは募集要項をよく読めば記載されています。
1.募集の方法
一般公募(公募型とはいえ地域や法人格の有無等、細かい条件はあります。よく確認しましょう)、非公募(計画型と呼ばれるもので、助成財団が自ら助成先を探し、助成を行います。基本的に応募の受け付けはしません)、待ち受け型(積極的に公募は行っておらず、NPO等から提案があった場合のみに対応します。したがって当センターのデータベースなどには出てきません。)
2.助成の対象
大きく分けると事業に対する助成、機関(団体運営)に対する助成がありますが、日本の助成財団の助成はほとんど事業に対する助成です。近年、団体の経常経費に対しての助成もされるようになりましたが、まだほんの一部です。
3.支払いの方法
概算払い、実費払い(途中払いあり、なし)の2つがあります。概算払いは助成の決定次第、事業開始前に支払われるもので、多くの民間助成財団でおこなわれています。ただし、助成期間が複数年等長期にわたる場合は分割の場合もあります。実費払いは、行政系の助成金に多く見られます。事業を実施した後に実際にかかった費用を精算して支払われます。事業実施のためには自己資金を用意しておく必要があります。
4.選考の方法
多くの助成財団は有識者等による選考委員会で選考を行います。プログラムオフィサー主導で行うのは善寿の「1.募集の方法」で述べた計画型に多く、日本では少数です。近年、まちづくり等の助成プログラムでは公開プレゼンテーションを行い、投票して決めるものも増えてきました。
5.助成期間
多くは単年度助成です。徐々に複数年度助成、継続助成も増えてきてはいますが、年度ごとに中間報告が義務付けられていたり、都度申請書を出さなければならないものなどもあります。
4. 応募書類を作成する
(1)申請しようとする事業が必要とされる根拠となる社会的な課題背景を具体的に書きます。(2)自分の団体が「めざす」ことの意味について、実績などをあげて明記します。(3)直接的な事業の目的を示すとともに、それにより社会や地域がどう良く変化するのかという高いビジョンを示します。(4)この事業によって実現することを具体的に書きます。
申請書の80%程度が、提出期限の5日前位から最終日にかけて集中することがよくあるケースですが、なるべく余裕を持って書き上げ、提出前に出来るだけ多くの仲間の目を通して、分かりにくい記載や書き漏れている箇所が無いかどうかを皆でチェックすると良いでしょう。早くに提出したからといって、選考委員が優先的に見るということはありませんが、事務局でのチェックは丁寧にされる可能性は高く、不備な点の指摘を受け修正できることもあります。
5. 助成金の選考作業
助成金の選考は、その分野に関する専門家(主として学識経験者)が選考委員と
なって慎重に行われます。
選考委員会による選考は、多くの場合は書類審査からスタートしますので、その意味ではお互いに顔の見えない状態からスタートすることになります。従って申請書はその点を十分に意識し、読んだ人が申請内容や取組み姿勢等を理解し感じ取れるように、分かりやすくかつ熱意が伝わるよう記載する必要があります。
6. 助成決定とその後の対応
多くの助成財団から助成を受けているところは、助成金受領後の対応がしっかりしているところが多いようです。助成財団は助成先に成果をあげて欲しいと願っていますので、助成後の動向は気になるところです。定期的にニュースレター等を送付し活動状況を知らせたり、機会があれば助成を受けた財団事務局に立ち寄って近況報告をするなどして、助成事業が終了した後も縁のあった助成財団とは、長い目でのコミュニケーションと信頼関係の構築に努めるようしたいものです。
不採択の場合、個別にその理由を開示している助成財団はほとんどありません。内容の善し悪しではなく、その時々の競争率の違い、助成の重点目標に違い等によっても結果は変わってきます。一度であきらめずに、何度でも挑戦しましょう。
コツ
タイトルは簡潔に、事業内容がはっきりわかることが基本。
全体を通してポジティブ(前向き)な表現を。ウラミツラミは厳禁。
受益者数や参加者数などの数値目標を盛り込むこと。(目的は抽象的、目標は具体的)
無理のない予算立てをする。(出来ないことはやらない。)
分かりやすい、簡潔な文章を、読みやすい文字で書く(専門用語は最小限に)。最低限内部で読み合わせ、出来れば第三者に読んでもらう。
申請者の連絡先・担当者名は明確で、必ず連絡が取れること。
出来る限り早めに提出しましょう。
分からない点は遠慮せずにどんどん助成財団に質問しましょう。
公益財団法人 助成財団センター
助成財団センターは、民間の助成財団や経済界の出捐(資金拠出)により、助成財団に関するわが国唯一の情報センター・支援センターとして1988年に設立され、2009年9月新しい公益財団法人に移行しました。
当センターでは、助成、表彰、奨学等の事業を行う財団法人や関連団体の情報を収集・調査し、各種統計データとして発表し、あわせて助成を希望される方々にインターネットや書籍等によって助成情報を提供し、助成に関する研修会、相談業務も行っています。
また、助成財団を対象にした研修会・セミナー、相談事業による財団の運営や活動の支援を行い、助成事業の質の向上に努めると共に、その社会的役割や意義を広く社会に発信する活動を行っています。
開館日時:午前10時~午後4時30分
休館日:土曜日、日曜日、祝祭日
年末年始、夏季
住所:東京都新宿区新宿1-26-9
ビリーヴ新宿4F
電話:03-3350-1857