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認定NPO法人となって寄付が増えました!日本IDDMネットワーク

自分で注射を打つゆうこちゃん(5歳)

 私たちは、不治の病である1型糖尿病を根治し「治るよ」と言える社会を実現するために、2005年に「1型糖尿病研究基金」を創設し、これまで10件1000万円の研究費助成を行っています。
 「1型糖尿病研究基金」は、2025年までの根治を目指した研究への助成基金です。

1型糖尿病(IDDM)とは:
・毎日数回の注射又はポンプによるインスリンの補充を生涯にわたって必要とする病気です。
・一見、病気のようには見えませんが、インスリンの注射又はポンプによる注入をしないと数日で死に至る病気です。
・原因不明で突然発症し、生活習慣病でも先天性の病気でもありません。

ビフォーアフター

ビフォー

 研究費助成の必要性を説くものの役職員の資金調達意欲は低く、2005年の研究基金創設以来単年度の最高額は、2009年度の317万円でした。
 また、国税庁認定の時代は、福岡県まで出向く必要があったり、相談が予約制であったり手続きに着手するまでのハードルも高かったです。

アフター

 認定後はイベント時、WEB、フェイスブック、ツイッター、会報等でのPRで役職員の資金調達意欲が向上しています。
 認定後、1カ月も立たないうちに個人の方から100万円の寄付が届き、その後も数十万円規模の寄付を頂戴しています。
 2012年度は過去最高の590万円の寄付が集まりました。
 2013年12月のオンライン寄付サイト「Give One(ギブワン)」によるE-ファンドレイジング・チャレンジでは大いに盛り上がり、最後の3日間で50万円を超える寄付を集め、参加20団体中1位を獲得しました。役職員の自信とモチベーションアップにつながりました。
 第6回目となる今回の研究費助成(2014年1月20日から2014年4月14日まで公募)は、過去5回は助成期間は単年、助成金額は1件当たり100万円でしたが、今回から助成期間 は最長3年、研究助成費の上限を300万円(助成総額500万円)まで拡大して研究課題を公募しています。
 また、所轄庁が身近な佐賀県に移行したので事務手続きの心理的ハードルが低くなりました。

手順

1. 認定NPO法人の制度を学ぶ

 事務局長が、佐賀県や中間支援組織が主催した認定NPO法人チャレンジセミナーを受講し、関口宏聡NPO法人シーズ・市民活動を支える制度をつくる会常務理事や脇坂誠也認定NPO法人NPO会計税務専門家ネットワーク理事長から制度の概要や申請書の書き方を学びました。
 制度の概要を知るために下記のサイトも参考にしました。
 http://www.npoweb.jp/ninteishien/

2. 組織内部のコンセンサス

 寄付者が税制優遇措置を得られることに反対する人はいません。理事長は事務局の負荷が重くなることを気にしていましたが、事務局長が責任もってやると覚悟を決めて実行すれば問題ありませんでした。

3. 認定NPO法人になるための寄付のお願い

 日本IDDMネットワークは、絶対値基準を選択したので、3000円寄付のお願いを主催イベント時や会員へダイレクトメールでお願いしました。
 3000円以上の寄付者は2010年度が65人でしたが、お願いした結果2011年度は255人となり、年平均100人以上をクリアできました。
 お願いのポイントは、使途を根治のための研究費助成と明確にし、寄付者に税制優遇措置がある認定NPO法人になるためであることを打ち出したことがよかったのではないかと思っています。

4. さらなる寄付の受け入れに向けた準備

 認定を受けても寄付のお願いをしない限り寄付は集まりません。
 これまでの寄付メニューを整理したクリアファイルを作成し、その中に具体的な寄付のお願いを記載した各種チラシを入れ込みPRをしました。
 同時にWEBにも掲載するようにしました。特に、WEBからオンラインで寄付を受け入れられるように準備をしました。日本IDDMネットワークは、NPO法人も顧客に持つ株式会社J-Payment にお願いしました。
 郵便局の納付書は寄付者の方々に手数料を負担いただかなくて済むように赤い納付書にして「1型糖尿病研究基金に寄付をします」等、必要事項を印字した納付書を準備しました。

(写真:応援メニューを示したクリアファイル)

5. 認定NPO法人の申請

 申請書類は、難しそうに感じられるかもしれませんが、むしろ寄付者名簿を作成することの方が大変でした。お返しのある寄付は対価性があるので除外するとか、こうした作業の方が面倒でした。寄付の少ないNPO法人ほど作業は容易ではないかと思ったところです。
 申請時は、「とるぞ!!認定NPO法人」(NPO法人シーズ・市民活動を支える制度をつくる会発行)を参考にしましたが、売り切れのようなので下記のサイトを参考にされてはいかがでしょうか。
 http://www.nintei-torou.net/

      npo

6. 認定NPO法人の審査

 日本IDDMネットワークは日本初の所轄庁認定法人です。所轄庁の担当官も慎重だったように思います。
 3名の審査官がまる1日、事務所で書類を確認されていました。うちの事務局長は現役の公務員なので1人で対応していましたが、終わったあとはさすがに疲れていたようです。
 NPO法人側は、複数のメンバーで対応できればよいと思います。

7. 認定後の寄付のお願い

 認定NPO法人になったことを会報に掲載し、WEB等でもPRしました。
 郵便局の赤い振込用紙(振込手数料が当方持ち)と寄付金をお願いするパンフレット、そして税制優遇措置を説明したチラシを同封しています。
 年末年始には、役員3名(理事長、患者の理事、研究者の理事)それぞれのメッセージをそえて寄付のお願いをしています。
 また、主催イベントでは、認定NPO法人の更新が容易に行えるよう、毎年3000円以上の寄付者が100人以上となるよう寄付のお願いを行っています。

8. 顧問税理士就任へ

 認定NPO法人になるまでは経理は事務局長とプロボノワーカー(民間企業の経理OB)でやってきましたが、「根治」と言う大目標を掲げた研究基金なので、認定NPO法人になったことを契機に寄付だけでなく収益事業に挑戦することにしました。
 この領域まで来ると事務局長にかなりの負荷がかかってきますので、顧問税理士をお願いすることにしました。
 顧問税理士にお願いするコストが心配かと思いますが、日本IDDMネットワークでは、お隣の福岡県に事務所を構えご自身もNPO活動に取り組まれている税理士さんにお願いしました。
 これで、苦手な部分は税理士にお願いして、積極的に収益事業に挑戦する素地ができました。
 コスト以上に「挑戦」することが1型糖尿病の根治と言うミッション完結に近づくものと思っています。

(写真:1型糖尿病の絵本のチラシ)

9. 使途と成果とお礼状、そして確定申告へ

 毎年1回、年間の寄付金額、使途そしてその成果を報告書として作成し、WEBでも公開しています。
 根治の研究成果を記すことは、研究が難解、困難でもありますので容易ではありませんが、当法人は患者、家族、医師、研究者等で役員を構成している強みをいかして情報公開に頑張っています。
 お礼状も領収書(確定申告に必ず間に合うように)を添えて送付していますが、ワープロ文書は何とも味気なく、現在改善を検討中です。
 そして、確定申告のやり方を説明したものをWEBに掲載したいところですが、まだまだそこまでは取り組めておりません。
 下記のNPO法人シーズ・市民活動を支える制度をつくる会の関口さんの記事を参考にされてはいかがでしょうか。
  http://bit.ly/1cNuARC

(図表:寄付金の収入と支出の実績)

10. 認定NPO法人後の行政手続き

 毎事業年度終了後の役員報酬規程等の提出書、助成金の支給を行った場合の実績の提出書、海外への送金又は金銭の持ち出しを行う場合の提出書、代表者変更届出書等があり、忘れてしまいそうで少々怖いですが、寄付が増える実感に比べれば手続き整理表でも作っておけばどうということはないでしょう。
 おっと、有効期間(5年間)満了前6月から3月前までの間の更新申請を忘れないようにしないといけませんね。
 手続きは、所轄庁のWEBや「事例で学ぶ 認定NPO法人の申請実務」(認定特定非営利活動法人NPO会計税務専門家ネットワーク(編)三和書籍)を活用しています。

11. 新たな挑戦へ

 認定NPO法人になり、自らのWEBでのみ寄付集めをすることが当然と考えていましたが、オンライン寄付サイト「Give One(ギブワン)」に2013年12月に初挑戦しました。1か月100万円の研究資金への寄付は日本IDDMネットワークではとてもハードルの高い目標でした。残り3日で目標額の半分だったので無理かな~と思いつつ最後のお願いをしたところ目標額をクリアし挑戦団体中1位を獲得しました。
 寄付の窓口を他社(公益財団法人パブリックリソース財団)に持つことの有効性も実感したところです。
 http://www.giveone.net/cp/PG/CtrlPage.aspx?ctr=pm&pmk=10336
 こうした挑戦への登録には事前審査がありますが、認定NPO法人であることの信頼性と言うメリットがあったように感じました。
 最近は、〇〇賞に応募しませんか、〇〇チャリティに推薦しておきますねと言ったありがたい声も頂戴しております。
 『新しいカタチの社会貢献サービス [gooddo(グッドゥ)]』というところからもお誘いを受け登録したところ、毎週ベスト10に入り、支援金を頂戴しています。
 http://gooddo.jp/gd/group/iddm/
 根治と言うミッション完結に向けて挑戦を続けます!

(写真:井上理事長と山中伸弥京都大学iPS細胞研究所長)

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コツ

 学んだら実践すること。やると決めたら他者から何を言われようとぶれないこと。気持ちがぐらついたときは、自社の「ミッション完結」の一手段としてどうしても必要だということを思い出すことだと思います。
 日本IDDMネットワークは、1型糖尿病の患者と家族の課題を解決する、つまり、根治のために存在しているということを常に思い浮かべています。
 それとリーダーは2人いること。外向きのリーダーである理事長と認定NPO法人等の事務を行う内向きのリーダーがいると大丈夫だと思います!

岩永 幸三

 認定特定非営利活動法人日本IDDMネットワーク副理事長兼事務局長

 20年前に娘が不治の病“1型糖尿病”を発症したことを契機に、1996年から佐賀の患者・家族会代表務め、その後、2000年から全国の1型糖尿病患者・家族会のネットワーク組織である日本IDDMネットワークの事務局を担う。2012年度末には法人化後の寄付額が1億円を突破。日本初の所轄庁認定NPO法人に導く。理事に対しては「ボランティアだから・・・」という発言を許さず、経営者としての自覚を日々訴えている口やかましい存在。1型糖尿病研究基金から研究者に対し研究費を助成することで、2025年の1型糖尿病“根治”という夢の実現を目指している。
 現役の公務員で、平日の公務後と休日のほとんど全ての時間をこのNPO活動に費やす。公務員が勤務時間外にプラスワンで一住民として地域活動に取り組むことをすすめる「地域に飛び出す公務員を応援する首長連合(全国の知事・市町村長の有志約60名で構成)」事務局長も務める。

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本記事は、2014年03月12日公開時点の情報です。記事内容の実施は、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。
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