助成金申請書を書く前にー組織内で意識統一を図る方法
ビフォーアフター
ビフォー日本財団から申請事業について問い合わせがあったが、担当者Aさんが海外出張で2週間後まで帰ってこないので、質問等に答えられなかった。 |
アフター日本財団から申請事業について問い合わせがあったが、担当者Aさんが海外出張で2週間後まで帰ってこない。でも事前に打ち合わせをしていたので、代わりにFさんがすべての質問等にスムーズに答えることができた。 |
手順
1. 団体の設立目的と、達成したいミッション(=使命)を改めて確認しましょう
団体のミッションを一言で表せるようにするのがベストです。申請書の「目的」部分の記入に必要になります。
2. 団体の達成したいミッションからみて、申請する事業がどういう状況にあるかを振り返りましょう
申請事業の現状を団体の達成したいミッションから説明できると、審査担当者は助成終了後の展開を想定しやすくなります。助成事業の効果と、その後の展開が見えると、助成する意義が見えてきます。
3. ミッションからみた今の事業の現状が見えたら、そこから事業の短期目標や中期目標を設定しましょう
短期目標は1年後の目標、中期目標は3年ないし5年後の目標と考えましょう。両方説明できると、より効果的です。申請書の「目標」部分は、助成事業を1年間(短期)実施した時に達成されるものと、中期で達成されるものと両方を描けていると、さまざまな可能性が広がります。たとえば、基本的には単年度助成ですが、3年程度の継続を見越して助成を開始するといったケースも出てきます。
4. 1~3を、できれば代表がひとりで考えるのではなく、スタッフと議論しあい、提案しあいましょう
結論だけを共有すると、深く質問された時に限界があります。できるだけ、コアスタッフは議論から参加した方が、受け答えに厚みが増します。
5. 自分たちの活動の最終受益者は誰かを端的に答えられるようにしましょう
最終受益者について、できれば細かく説明できると良いでしょう。事業ごとに変わっていても構いません。事業が行われることで最も恩恵を受けるのがどんな人(人以外でも)なのかが分かると、審査担当者は事業をイメージしやすくなります。
6. 自分たちの活動に対する、社会的背景、歴史、現状を簡単にまとめておきましょう
日本財団は専門家等による委員会等で審査しているわけではありません。審査担当者が必ずしも申請事業について詳しいわけではありません。かといって、ゼロから長々と説明するのも(それを聞くのも)難しいですね。よって、事業によって解決したい社会的背景、歴史、現状を簡単に把握できるコンセプトペーパー等があるととても良いです。そういったコンセプトペーパーは様々なところで使えますので、助成金申請を機にぜひ作ってみてください。
7. 全てにおいて、団体の総意を得ておきましょう
改めて共有した団体のミッションやコンセプトペーパー等については理事会、総会等に付議し、必ず団体の総意を得ておきましょう。後の手続きをスムーズに進められるようにしましょう。
コツ
コンセプトペーパーは定期的に見返してカスタマイズしておきましょう。どんなときでもすぐに取り出せると良いですね。
日本財団 枡方瑞恵
日本財団 公益・ボランティア支援グループ公益チーム。上智大学文学部卒業。芸術振興、地域活性化事業、植樹事業等を担当。東日本復興支援では、地域伝統芸能復興基金(まつり応援基金)の設立から携わり、被災者の心の拠りどころである芸能等を支援。
サンクス
著者のご好意によりボランティアで記事を執筆いただきました。枡方瑞恵様に御礼申し上げます。