地域良し、企業良し、NPO良しの、企業ボランティア企画を作る方法
ビフォーアフター
ビフォー企業ボランティアでよくある失敗。3方良し(地域、企業、NPO)になっておらず、続かない。 【地域住民】
【企業】
【NPO】
この悪循環ループに。 |
アフター3方良し(地域、企業、NPO)の皆が喜ぶ企業ボランティアはこちら。 【地域住民】
【企業】
【NPO】
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手順
1. 地元住民との信頼関係を構築する
地域のお祭りに参加したり、何かの作業(農業や漁業)を手伝ったり、日々お酒を飲んだり。
「単なる視察」「単なるボランティア体験」ではない、質の高いプログラムを提供するための基盤はここ。
(写真:企業ボランティアと地元町民との交流会)
2. 3方(地域、企業、NPO)「良し」をデザインする
考慮すべき軸。
① 時間軸:短期的視点(研修内)と長期的視点(関わり方のデザイン)
② 主体軸:地域、企業、NPO
なお、主体各に私達が重要視しているポイントは下記通り。
(1) 地域住民
・短期:「稼げる」か「楽しい」か
・長期:取引先の獲得(地域企業)、移住者の獲得(行政)等
(2) 企業
・短期:リーダーシップ(人事部)、ボランティアマネジメント(労働組合)、社会貢献(CSR部)
・長期:企業の利益追求、社会的責任を果たすこと、等
(3) NPO
・短期:適切な対価
・長期:長期的なパートナーシップの構築、参加者のプロボノとしての関わり、等
3. 全体コンセプトを作る
テーマ設定を決めます。
企業が抱えている課題と、地域資源を活かして提供できる価値が合致するようにします。
具体例としては、
・ゼロからイチを創りあげる当事者意識と考動力
・多様な人々との物事の進め方
・企業の社会的責任について考える
等。
4. 【ステップ3】骨組みを作る
全体コンセプトを意識して、このコンセプトを達成するための日毎のテーマを設定します。
(もちろん、一日限定の場合もあります)。僕達の実例はこちら。
・被災地の「今」を知り、自分が被災地にいたときの行動を考える
・ゼロからイチを生み出すための原動力に触れる
・日常に学びを持ち帰る
5. プログラムを構成する要素を理解する
骨組みにもとづいて個別プログラムを作成します。
ここでのポイントは、下記要素を散りばめること。
① 五感を総動員するプログラム(実際に手足を動かすとか、自然の中でするとか)
② ミッションを体現している人から学ぶプログラム(概念よりも生き方から学ぶ)
③ 内省するプログラム(ゆっくり考える時間も重要)
④ 熱中できるボランティアプログラム(ボランティアの設計)
⑤ 地域住民との交流プログラム(懇親会や対話、共同作業の時間)
⑥ 地域だからこそ、体験できるプログラム(おすそ分け、伝統、文化、郷土料理とか)
上記要素を散りばめた次に考えるのは、
「input」
「output」
「cooldown」
のバランス。プログラムを設計する側は、ボランティアしっぱなし&企画詰め込み過ぎる傾向があるのでご注意を。
6. プログラムを実施する
「地域と企業の繋がりを生み出す」という視点から重要だと思っていることがあります
当日コーディネートする人が意識すべきことはこちら。
① 安全な場を作る:
ボランティアを楽しく実施し、作業における安全面に配慮するのはもちろん
地元達人と企業社員にとって、本音がぽろりとでるような心の「安全」も大切。
② 地元達人のスイッチを入れる:
「原動力」「想い」に触れるように。いかに深い対話を促すスイッチをいれることができるか。
③ 企業社員の当事者意識のスイッチを入れる:
これが最も難しいポイント。誰かの話、凄い話、ではなく、自分事として捉えてもらう話の変換を。
(写真:地元苗木屋さんが参加者に想いを語っている瞬間)
7. アフターフォローを行う
・対 企業担当者:率直なフィードバックをもらい、次回への改善点を話し合い。
・対 企業社員:次のステップを伝えて。今後の繋がりを生み出すきっかけに。
・対 住民:社員からの手紙をお渡し。学んだことのシェア。
上記2者については、たいていの企画では実行されています。
一方、抜けがちなのが「地元住民」とのコミュニケーションです。
地域での視察や研修でおこること、それは、企業側の「学びっぱなし」です。
地域住民には、企業担当者や社員さんが、具体的にどんなことを感じ
持ち帰ったのかが共有されず終わってしまうことが多いのです。
そこで、私達は最後の振り返りのタイミングで、
「地元住民への手紙」を書いてもらいます。
具体的に「何を感じ」「何を学んだのか」率直に。
(写真:地域コーディネーターと地元民との交流風景)
コツ
コツは上の手順部分に記載しましたが、最後に一点だけ。
あくまで企業ボランティア研修は、「ミッション」を達成するための手段であることを常に意識することが重要です。私自身も、企業ばかりに目が行き、地元住民を見ずに仕事をしてしまったことがあります。結果は本当にひどいものでした。誰も幸せにならない構図です。企業さんも、地元の方が本当に、主体的に、楽しそうに関わっているのをみるとより関わりたくなるものです。
上記記事が皆さんのお役にたったら嬉しいです。
松島宏佑
一般社団法人ふらっとーほく代表。
大学卒業後、まちづくり最先端の島、島根県隠岐郡海士町へ移住。まちづくり会社巡の環で働く。企業や大学を対象とした研修事業に関わる。
東日本大震災を機に実家のある宮城県に戻り、災害ボランティアとして活動。震災直後に被災地の温泉宿と提携した企画、「ふらっとーほく-温泉宿に泊まってボランティア-」が述べ800人以上のボランティアを集め、温泉宿へ約300万円の売上をあげることに成功。これをきっかけに、株式会社巡の環東北支部を設立。
2012年1月に一般社団法人ふらっとーほくを設立し、独立。宮城県亘理町沿岸部の防潮林育成プロジェクト:わたりグリーンベルトプロジェクトと、交流体験プログラムによる課題解決型コミュニティー創出事業:まちフェス〜伊達ルネッサンス〜を実施中。