プレスリリースの作り方~出来上がりの記事を意識しよう
NPOの活動を何かメディアに向けて発信しようと思ったら、プレスリリースをつくりますよね。記者向けの発表資料です。どうやったら記者の目にとまり、そして記事をつくってもらえるリリースができるのでしょうか。
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ビフォーアフター
ビフォープレスリリースを今まで何度かつくったことがあるけれど、どうも取材に結びつかない……。どうやってつくったりいいのかわからない。 |
アフター取材につながる効果的なプレスリリースをつくれるようになります。 |
手順
1. プレスリリースはA41枚厳守!
まずは形から。プレスリリースは必ずA41枚でつくるようにしましょう。いろいろ言いたいことがあるのはわかります。でも記者は忙しい。長々としたプレスリリースを読んでいる時間はありません。これはウエブなどで発表するときも同じです。いちいち下までスクロールなんてしてられません。A4一枚の分量を厳守です。
そのなかに、今回発表したいことと、それから団体の活動概要もいれこむのです。そのためには、どうやって発表したいことのエッセンスを的確に伝えるかがポイントになります。それについて、以下で説明します。
(写真:NPO法人シーズ・市民活動を支える制度をつくる会が2011年6月の改正NPO法成立の直後に出したプレスリリース)
2. まず相手を知る!新聞記事の構造を理解しよう
プレスリリースは何のためにつくるか。それは記事にしてもらうためですよね。ではその記事がどういうふうにできているか、研究してみたことがありますか?
出来上がりの記事がどうなるか。それを意識してプレスリリースをつくることが大事です。まずは、新聞記事を読んでその構造を理解して見ることが大事です。
新聞記事にはニュースや解説、人もの(よく2面にのっている、そのとき旬な人を取り上げた記事です)などがあります。今回のプレスリリースを記事にしたてると、一番ベーシックな「ニュース」となるでしょう。では、ニュース記事とはどんな構造でできているのでしょうか。
(写真:新聞記事の一例 2011年のNPO法改正直後の新聞記事)
3. 「見出し」が重要!プレスリリースでも見出しをつくる
ニュース記事に限りませんが、新聞の記事はたいてい「見出し+本文」で成り立っています。見出しとは、その記事のポイントは何なのかについて端的に短い言葉で伝えたものです。新聞記事にとって見出しは非常に重要であり、それを考えるための専門セクションもあるほどです。
みなさんが新聞やウエブなどで記事を読むときも、本文は読まなくて見出しだけ、ということも多いでしょう。ですから、プレスリリースをつくるときもそれを意識して、見出しをつくることです。プレスリリースの見出しがそのまま記事の見出しでも使えるようにする。20文字以内で、今回自分たちが何を一番伝えたいのか、伝えることの「キモ」は何なのかについて表現しましょう。
新聞とはニュースを載せるもの。ニュースとは何か、といえば、その名の通り「新しいもの」です。記者は新しいものが好きです。「日本初」「世界初」、そんな言葉がプレスリリースの見出しに躍っていたら目をひくでしょう。「県内初」でもいいと思います。何か新しいものがないか、よく考えてみましょう。
4. 5W1Hを書きこもう
いくつか新聞のニュースを読んでいると、共通の構造に気が付くはずです。「5W1H」…when(いつ)
where(どこで) who(誰が) what(何を) why(なぜ) how(どのように)。これらの要素が必ず入っています。
ですから、プレスリリースにはその要素を必ず入れましょう。記者にはこれらを必ず聞かれますから、その前にきちんとおさえておくわけです。これはニュース記事の基本です。
そしてこれらを説明する場合には、できるだけ具体的に。情景が目に見えるように説明しましょう。たとえば「大きい」ではなくて「長さ○m」、「肌がきれい」ではなくて「肌に弾力があって輝いている」というように。
5. 団体概要についても書いておこう
プレスリリースにはニュースのほかに、リリースを発表した主体であるNPOの概要についても記しておきましょう。誰が代表で、いつできて、なぜつくったのか。代表はどんな経歴なのか。今は主にどんな活動をしているのか。
もしかしたらニュースそのものには記者の食指が動かなくても、団体や代表について興味がひかれ、そちらを主眼にした記事を書こうと思うかもしれません。ニュースとは区別し、またスペース節約のためにも多少活字を小さくしてもいいですから、概要は必ずのせましょう。
(写真:NPO法人シーズ・市民活動を支える制度をつくる会のプレスリリース 団体概要、問い合わせ先、担当者名を入れてある事例)
6. できれば写真やイラストを!太字などでメリハリをつけ、読ませる工夫を
プレスリリースは目をひきつけるように読ませる工夫をしましょう。活動が一目でわかったりイメージがわく写真はないでしょうか。それを見るだけで、ああなるほどこういうことねとわかるものがあれば、長々と文字で説明するよりもずっと効果があるはずです。特にテレビの場合は、「絵になる」ことが非常に大事です。
文章も、大事なところは特に太字で目立たせるようにするなど、メリハリのある内容を心がけましょう。単調にならないように。もちろんカラーでつくってもらうことも工夫の一つといえるでしょう。
7. 問い合わせ先、担当者の名前を忘れずに
当たり前ですが、プレスリリースには、記者のための問い合わせ先と担当者の名前を明記しておきましょう。メールアドレスに、電話番号も書いておくことです。アナログに思えるかもしれませんが、発表当日に記事にしたい場合もあるでしょう。そのときに、即対応できるようにしておきましょう。
8. プレスリリースができたら関係する記者クラブに投げ込みに行こう
プレスリリースができたら、知り合いの記者や関係するメーリングリストなどにメールし、報道各社にもファクスしましょう。新聞の場合、社会部や経済部、政治部などに、出版社は雑誌の編集部にわかれていますがそれらのファクス番号は代表番号に電話すれば教えてくれるでしょう。ローカルの場合は、地方の支局にファクスをしましょう。
また、記者クラブにもプレスリリースの配布…「投げ込み」にいきましょう。東京の場合は、関係しそうな省庁や企業のクラブ…たとえば介護や育児だったら厚労省クラブ、環境だったら環境省、企業が関係していれば、上場企業の窓口である東京証券取引所の記者クラブや、東京商工会議所の記者クラブなど。それぞれ代表番号に電話をして問い合わせれば教えてくれます。ローカルであれば、市役所や県庁の記者クラブが利用しやすいでしょう。
クラブに行くと、報道各社のボックスがありますから、そこにリリースを入れて(投げ込んで)いくのです。
(写真:省庁、県庁、市役所には記者クラブが設置されている)
コツ
プレスリリースを作る際には、どんな新聞記事にしてもらいたいのかよくイメージすることが大事です。そこから織り込んでもらいたい要素を、リリースに入れていくのです。特に見出しは重要です。見出しを考えることは、自分たちの活動の一番肝心なところは何なのかについて振り返る機会にもなりますから、メンバーでよく話し合ってみましょう。本文の文章もいかに的確に伝えられるか、具体的な言葉を使うように、言葉を吟味しましょう。
秋山 訓子(あきやま のりこ)
朝日新聞記者。政治部、経済部、アエラ編集部などを経て政治部次長。NPO法制定時から、NPO,NGOを取材している。