メールを活用したスムーズな理事会・総会の開催方法
ビフォーアフター
ビフォー●理事会や総会が定款通りに実施されず、定款違反が常態化している。
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アフター●メールなどを活用してスピーディに理事会や総会を開催でき、NPO法・定款も守れる。
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手順
1. 団体の定款を確認する。
理事会や総会の手続きや権限などはNPO法や定款で決まりがあります。したがって、皆さんの団体で、理事会や総会の招集・委任などにメールなどが使えるかどうかは、定款次第です。まずは定款(会議に関する事項の総会・理事会部分)を確認して、現状でメールが使えるか確認しましょう。「電磁的方法」が書いてあるかどうかがポイントです。以下は総会の例で説明しますが、理事会の場合も基本的には同様です。
2. 【可能な場合】メールで招集を行う。
定款の(総会の招集)で「総会を招集するときには、~を記載した書面又は【電磁的方法】により、~通知しなければならない。」というような記載があれば、メールでの招集が可能です。総会の開催日時・場所・目的・審議事項などを記載したメールを、期限内に議決権を持つ正会員(社員)に送信しましょう。
3. 【可能な場合】メールで委任状・書面表決も行う。
(総会での表決権等)で「やむを得ない理由により総会に出席できない正会員は、~書面若しくは【電磁的方法】をもって表決し、又は他の正会員を代理人として表決を委任することができる。」というような記載があれば、委任状や書面表決状の回収もメールで行うことができます。ちなみに、委任は議案に対する賛成・反対を誰かに任せること、書面表決は自分で賛成・反対を記載したものを送付すること、なので2つは異なります。
理事会については、団体の定款により「書面表決」だけOKで、「委任」はできない規定になっているところもあります。自団体の定款に応じて、活用してください。
また、念のため、委任状のメール本文や添付ファイルはプリントして保管しておくと良いと思います。
4. 【可能な場合】メールによる「みなし総会決議」も活用する。
正会員が少ない場合や地理的に散らばっていて会議するのが難しい場合などは、改正NPO法で可能になった「みなし総会決議」を活用するのも選択肢になります。みなし総会決議は、「正会員全員」が議案に同意すれば総会で決議されたものとみなし、全ての議案が賛成であれば総会も開催されたものとして扱うというものです。みなし総会決議は定款に記載がなくてもメールを使うことができます。
実際に会議室などで総会を開催しなくても済みますので、かなりの負担軽減になります。ただし、所轄庁によっては通常総会での適用を推奨していないところもあります。
5. 【不可能な場合】今後のために定款変更を行う。
団体の定款に「電磁的方法」が入っていない場合は、今後の運営も考えて定款変更で盛り込むことをお勧めします。その際に、「ファクシミリ(FAX)」をどう扱うかは所轄庁により、やや異なります。安全策のためには、「書面、ファクシミリ又は電磁的方法」と定めておくと安心です。メールとファックス両方が可能になります。
コツ
定款を確認して可能ならメールも活用して理事会・総会を開催する。「みなし総会決議」もうまく使うとかなり事務負担を軽減できる。まだ「電磁的方法」が定款に入っていなければ、定款変更をして盛り込む。
NPO法人シーズ・市民活動を支える制度をつくる会
1994年11月創設。1998年のNPO法成立、2001年の認定NPO法人制度成立、そして2011年6月の制度大改正を市民側からリード。市民活動を支える制度を勝ち取ってきました。NPOの個別サポートプログラムを4月からスタート。これからのシーズは、「基盤整備の時代」から「NPOの成長と成果の時代」を目指します。