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【セミナー報告】 10/15 広島 環境NPOのための政策提言入門セミナー

2011.12.19
1.実施概要 

(敬称略)

日時

20111015日(土)13:3016:50

場所

EPOちゅうごく

主催

NPO法人シーズ・市民活動を支える制度をつくる会

地球環境パートナーシッププラザ(GEOC

参加者

23

講師

日本自然保護協会:道家哲平

CEPA-JAPAN:川廷昌弘

広島大学:中越信和

協力

公益財団法人日本自然保護協会

当日スタッフ

シーズ:北澤・池本・奈良・坂本

EPOちゅうごく:毛利、中村、松尾

助成

三井物産環境基金

プログラム

1.はじめに 

環境政策提言の進め方解説(シーズ:北澤)など

2.講演① 

NACS-J 道家哲平

COP10決議など国レベルでの取り組みの現状、その実現のために地域のNPOに求められる役割

3.講演②

CEPA-JAPAN川廷昌弘

生物多様性に関する普及啓発活動の現況、地域のNPOに求められる役割

4.事例紹介

広島大学 中越信和

活動紹介

北広島町 生物多様性の保全に関する条例・戦略の動き

5.グループディスカッション

 

グループA

「豊かな地域を保つためにできること」

グループB

「提言から実現へ〜アドボカシー活動のポイントを考えよう〜」

6.おわりに

まとめ


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2.セミナー要旨

(1)はじめに

主催者(GEOC星野、シーズ北澤)よりセミナー開催の挨拶、主旨説明を行った後、環境政策提言の基本的な進め方について、シーズ北澤より解説を行った。

(2)講演①:日本自然保護協会 道家哲平氏
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CDB-COP10の成果と課題を踏まえ、愛知ターゲットの内容と日本の政策やNGOの役割について発表いただいた。

【発表のポイント】
  • COP10決議には拘束力はないが、日本も世界基準の政策を「やります」と宣言した点に意味がある。
  • 今後10年間に取り組むべき目標である愛知ターゲットとその戦略目標について解説。愛知ターゲットの戦略目標は、色々な現場で使えるツールになる。
  • 愛知ターゲットは、自然保護団体だけでは実現不可能。そこで、IUCN-Jで「にじゅうまるプロジェクト」を展開し、戦略から行動へつなげようとしている。
  • NACS-Jとしては、「生物多様性の道」プロジェクトとして、活動の見える化を行うと同時に、市民参加による戦略づくりを行っている。

(3)講演② CEPA-JAPAN 川廷昌弘氏DSCF2872-small.jpg

NGOと民間企業のノウハウを併せ持ちながら、生物多様性に関する普及啓発活動に取り組むCEPA-JAPANの目指す姿や、現在取り組んでいることなどを発表いただいた。

【発表のポイント】
  • CEPAは、Communication Education Public Awarenessの略。生物多様性は地域固有の財産であり、人類存続の基盤である。こうした概念にもとづき、現代の継承者として皆さんの活動を発信する役割をもっている。
  • 昨年のCOP10では、NGOとして修正決議の発言の機会を得た。国連生物多様性の10年は、国際森林年、Rio+20、気候変動枠組み条約、ESD、ミレニアム開発目標最終年を迎える年でもあり、目指す姿は一つ。地域の自然資源に支えられた持続可能な地域づくりである。
  • これまで、広告代理店としてチームマイナス6%という国民運動を行ってきた。そこでは、ボトムアップのためのトップダウンを行ってきたが、同じかたちで生物多様性の国民運動である「にじゅうまるプロジェクト」も展開していきたい。
  • その他にCEPでは、里山イニシアチブやCEPAツールキットの日本版づくりグリーン復興プロジェクトを展開。またCEPAが横浜を拠点に活動していることから、ヨコハマbデイとして、地域のさまざまな取り組みをフォーカスし、イベントと地域FM局が連動した取り組みや、マリンタワーのウィンドウから違う角度から生みを見つめ直すFOCUSプロジェクトを企画準備をしている。

(4)事例紹介:広島大学:中越信和 氏DSCF2854-small.jpg

北広島町で取り組んでいる生物多様性戦略や条例づくりにかかる取組みを、生物多様性審議会のメンバーでもある中越氏より発表をいただいた。

【発表のポイント】

  • 元々自然度の高い北広島町ではあるが、過疎化によって管理が行き届かない、外来種や地球温暖化、開発や乱獲によって危機を迎えていることから、専門家が中心となって、20年前から紆余曲折取り組んできた。
  • 北広島町は、小さな地域であるので、すぐ顔見知りになる。今回取り組んできている「生物多様性キャラバン」でも、信用第一として発言することをぶらさない。これが普及啓発でも大事である。
  • 今回制定した「北広島町生物多様性の保全に関する条例」では、生物多様性の保全に加え、地域の自然資源の利用の視点を盛り込み、生活の向上と次世代へ財産を残すという考え方にもとづきつくっている。また、町民が提案することが可能な保護地区、保全計画としている。と同時に、罰則規定も設けている。

(5)ディスカッション

ディスカッションでは、A「豊かな地域を保つためにできること」、B「提言から実現へ〜アドボカシー活動のポイントを考えよう〜」の二つのテーマに分かれて、グループ別ディスカッションを行った。

A)「豊かな地域を保つためにできること」

各参加者の自己紹介を行い、普段の活動内容や日々感じていることをお話しいただいた後、これを皮切りに九州地域の生物多様性のために市民としてどう活動していったら良いか、川廷氏のアドバイスも交えながら議論した。

【議論のポイント】

  • 生物多様性保全のための活動について、地域に応じて様々な形があって共通の解は無い。地産地消の取り組み、自然を身近に感じるための取り組み、生物多様性クリエイターを養成する取り組み、消費行動の配慮、歴史文化を含む地域資源の活用、などがある。これらのどれに取り組むかは地域で考え、数値目標を示していくことが大切である。
  • 「里山」は全体として成り立っている生態系であるが、身近であるが故に保全する「宝」に気付かない場合がある。里山の特定の種に着目し、その種に関係する多くの生物を保全する必要がある、という論点で気付かせていくことが必要である。また、身近な自然でさえも、生活様式の変化で里山のナラ枯れなどの破壊も進んでいて、こうした実情も伝えていく必要がある。
  • 一方で、自然を身近と感じない人も多く、自然と接する機会を増やしたり、自然とともに暮らしている方達との交流の場を増やす工夫が必要である。
  • さらに、生物多様性を否定的に捉えている人もあり、生物多様性の自然的な意味や社会的な効果を専門家と行政が連携して伝えていく必要があり、またそういう体制を市民の力で作っていく必要がある。
  • 日本は古来より自然との関わり方を習知していて、多くの知恵を持っていたからこそ、自然は「宝」であることを知っていた。持続可能な自然環境と社会を保つために、日本が培ってきた「いただきます」の文化を世界に対して広めていく方法を考えたい。

B)「提言から実現へ〜アドボカシー活動のポイントを考えよう〜」
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北広島町の取り組みを例に取り上げ、課題発見、解決策の検討、企画化、実行・・・というステップに沿って、活動の課題とその解決策について議論した。

【議論のポイント】

  • 北広島町の生物多様性条例にあたっては、局面ごとにぶらさず伝えてきたが、対立を避け、相手が受け入れられる目標設定(なりわいと生物多様性)をした。
  • 参加者からは、周南市や呉市など市街地と生物多様性の両立という点で、北広島町と事情が異なるなか、どうやって政策提言を実現していったらよいかという声があがった。
  • 北広島町が条例制定時に、参考にした徳島県では、キーパーソンになる専門家や行政など多様なステイクホルダーの関係が構築されていた。それは北広島町でも同様であった。また、首長に理解を得るといったトップダウンも重要であった。そうした点から、ヒューマンネットワークがとても重要であると確認された。
  • 地域戦略づくりにおいては、行政主体では、予算の優先順位に寄って決められてしまうため、企業に向けたPFI型の策定ができないかという声もあり、すでに兵庫県加西市ではそうした取り組みもされている。企業などを巻き込むことで、フィランソフィーやCSRを超えたまちづくりとして取り組めると良い。
  • ステイクホルダーを拡大していくためには、教育という視点も大事である。北広島町では、オペレッタを町の子どもたちが行い、そこに家族が見に来るということもあった。

(6)まとめ

各班の内容について発表会を行った後、講師より一言ずつコメントをいただいた。

  • 道家氏:「地域ブランド」として、地域戦略づくりの一番の近道であり、狭義の自然保護からの拡大がポイントになりそうだ。
  • 川廷氏:グループディスカッションに参加した高校生ライターからただ見に行くだけでなく、暮らしを感じる、生き方を学部ことが大切だというコメントがあり、それにつきる。プロセスから地域ブランドづくりとして、これからもいただきます運動頑張ります!
  • 中越氏:今日の議論では出てこなかったが、生態系サービスの経済的価値というポイントがとても必要なアプローチであることを補足したい。