税法上の収益事業の要件としての「継続性」について。 投稿者:
鈴木律文 投稿日:2000/06/04(Sun) 00:52:00
No.110
現在、国際機関から依頼を受けて英文冊子の日本語版作成(企画・翻訳・レイアウトに基づく
翻訳の抄訳・編集・デザイン・印刷・製本)を300万円強の値段で行っています。昨年11月に
契約(単発の契約)を結び、今年の1月末に完成する予定だったのですが、ずれて、6月の予定
になっています。
この事業は利益を上げることを目的としていましたので、何の疑問も無く税法上の「収益事業」
と考え、税務署や都税事務所に収益事業開始の手続きを取りました。その後、赤塚先生の「NPO
法人の税務」を拝読しましたら、税法上の「収益事業」に当たるには、「継続性」の要件が必要
ということが判り、自分たちが行っている事業は収益事業にはならないのではないかと言う疑問
が沸いてきました。
そこでこのことをまずは直接税務署に尋ねてみたのですが、回答は、「これは「請負業」にあた
り、今回は単発の契約かも知れないが、この仕事が成功すると第2段、第3段と仕事が舞い込ん
でくる可能性があるので、「継続性」があると考え、よって「収益事業」にあたる。また、青色
申告をしているので赤字は5年間繰り越せる。なので、収益事業にしておいた方が良い。」とい
うことでした。
ここから本音の話になるのですが、確かに当初私たちは、この事業を行うことによって第2段、
第3段の事業を目論んでいたのですが、実はこの事業が失敗に終わりそうで、収益どころか大赤
字になりそうです。勢い収益事業の復活は少なくとも2年間は考えられそうもありません。こう
いう状況下なので、収益事業の取下げをして、何とか法人都民税均等割7万円の免除を得たいと
切に願っているところです。
そういう訳で、大変申し訳ないのですが、上記の要件(事業年度の終わりは6月末)から鑑みて、
私たちの行っている事業は「収益事業」に該当するのかご意見を頂けないでしょうか。何卒宜し
くお願いします。
Re: 税法上の収益事業の要件としての「継続性」について。 投稿者:
公認会計士赤塚和俊 投稿日:2000/06/04(Sun) 20:24:00
No.111
鈴木さん、私の本を読んでいただきありがとうございます。
さて、お尋ねの件ですが、収益事業の定義のうち、継続性の
判定は意外と難しいものです。「NPO法人の税務」をお持ち
でしたら26ページを開いていただきたいのですが、そこに
「継続的かどうかの判断には準備期間も含むこととされてい
る。出版物の刊行のような事業は、一回限りであっても通常
そのためにはある程度の期間をかけていると考えられるので
収益事業とされる。」と、書いています。
出版と同じで請負の場合も1日で終わるとは到底思えません
(実際11月の契約で1月末の予定が6月までかかるわけで
す)。とすれば、当然収益事業と判断されます。
判断が難しいというのは、一方でバザーなどは年一、二回程
度では収益事業とは言えないという矛盾する通達があるから
です。誰が考えてもバザーが何の準備もなしに当日だけで実
行できるわけがありません。
一応、バザーの回数をカウントする場合には数日間に渡るの
であればそれは一回とは言えず、1日を一回と数えることに
なっていますが、それにしても準備日数まではカウントしな
いことになっています。
明らかなのは、税法とその解釈である通達のいい加減さです。
要は準備期間を含むとは言ってもそれは程度問題であり、典
型的なケース以外は現場の判断に委ねられているということ
です。
ただ、そうは言っても鈴木さんのケースはたとえ一回の契約
でも仕事そのものは数ヶ月を要することは明らかなので、単
発ならばいいがという税務署の発言は、通達を見落としたか
勘違いしたとしか思えません。
税務署が好意的に解釈してくれるのは結構なのですが、その
根拠がはっきりしないのでは私たちも混乱するばかりです。
また、好意的なばかりならいいのですが、一方では明らかに
収益事業ではないものを税務署が収益事業と主張している例
も耳にします。
鈴木さんの場合は残念ながら客観的に見ても収益事業ですが、
当面、税務署の言い分を鵜呑みにはしない方がいいと思いま
す。
Re: 税法上の収益事業の要件としての「継続性」について。 投稿者:
鈴木律文 投稿日:2000/06/07(Wed) 22:24:00
No.112
赤塚先生
丁寧なそして迅速な回答をありがとうございます。
別に仕事をもっていて尚且つ会計は全くやったことが無かったので、四苦八苦の連続です。
「活動で苦労するならともかく、総務仕事でこんな苦労をするのなら、NPO法人にならなきゃ良
かった。」と、愚痴ることも正直あります。
でも、なんとかガンバっていきますのでこれからも宜しくお願いします。
本当にありがとうございました。
鈴木律文