NPOの地縁性について 投稿者:
伊藤 光造 投稿日:2000/06/15(Thu) 12:45:00
No.118
NPO認可の際、その活動範囲、構成員等に関する地域限定の考え方として、特別区、
市町村が最小単位であると聞きましたが、そうでしょうか?
特にまちづくりに関連する住民活動は、小学校の校区など区市町村の範囲より狭いことも
しばしばです。
この点を杓子定規に解釈すると大変多くの住民主体のまちづくり活動は、NPOになれない
ことになってしまいます・・・・。
Re: NPOの地縁性について 投稿者:
シーズ・轟木 洋子 投稿日:2000/06/16(Fri) 15:56:00
No.119
伊藤さん、ご投稿ありがとうございます。
伊藤さんのご質問は、団体の活動対象としている人たちが、ある限定された地域に住んでいる
場合、その認証される地域の範囲はどこまでか、ということでしょうか。
NPO法には、特に「地域限定」の考え方というのはありません。実際に、全国を活動対象にし
ていたり、海外で活動していたりするNPO法人もたくさんありますし、反対にある一定の地域
のまちづくりなどを目的としているNPO法人もあります。
ただし、NPO法の第2条では「特定非営利活動」の定義のひとつに、「不特定かつ多数のもの
の利益の増進に寄与すること」としています。ここで時々議論になるのが、「不特定かつ多数の
ものの利益」とは何かいうことです。
日本評論社から発行されている「NPO法コンメンタール」によれば、「いわゆる『公益』と同
義語」で、原則的に「共益」ではないとされています。
そこで、NPO法人の活動対象がある一定の地域に限定されている場合、その限定がこの「不特
定多数」という条件に沿っているかどうかが問題になります。あまり狭いと「特定の人」を対象
とした活動になってしまうからです。
「NPO法コンメンタール」では、「まず、最小行政区画である区市町村の単位までならば、
『不特定多数』の範囲に入ると考えられてよいだろう」と述べています。問題は、この最小行政
区画より狭い範囲の対象者への活動の場合ですが、これは、その団体の目的や、行う事業の内容
によって判断することとなります。
例えば、狭く限定された地域で活動している場合でも、「新宿区歌舞伎町の安全を守る会」のよ
うな場合は、さまざまな地域からの多くの人が行き来する街での活動なので「不特定かつ多数の
ものの利益」と考えることができるでしょう。
しかし、例えば「世田谷区○○1丁目を住み良くする会」のような場合は、その団体が「目的」
において「不特定多数のものの利益」のための活動で、社会的利益につながるということを明確
にしないと、そこに住んでいる人だけのためのいわゆる「共益」のための活動だと捉えられてし
まうかもしれません。
以上のように、活動する物理的・地域的範囲が限定されるというよりも、その団体の活動が、
どのように「不特定多数のものの利益に寄与」するかが問われているということです。
シーズ事務局・轟木 洋子