法人税との関連について 投稿者:
笠谷 璃 投稿日:2002/06/07(Fri) 10:07:00
No.1192
税理士をやっているものです。
NPO法人について勉強していたところ、このHPをみつけて
皆さんの意欲に感心しながら読ませていただいています。
ところで、税法との関連で疑問が湧いてきた部分があり、
どなたかご教示いただければと思います。
①ここでの回答の中では、NPO法人は法人税法上の「公益法人等」
に該当するという前提があるようなのですが、それはなにが根拠に
なっているのでしょうか?
法人税法に於ける「公益法人等」とは、法人税本法別表第二に
掲げられている法人に限られていると思うのですが、NPO法人については
特例があるのでしょうか?
②NPO法人が「公益法人等」に該当するとして、法人税基本通達15-2-12(2)
についてです。
そのNPO法人が収益事業を営んでいて、固定資産のひも付きでない補助金等を
受けた場合は、その補助金等が非収益事業に係るものであるというのは
どう判断するのですか?
明確に判断できない場合は、他の収入の割合で按分するのが必要ではないのですか?
いわんや、そのNPO法人の収入の100%が収益事業に拠っている時は、その補助金等も
全て収益事業収入として取り扱わないといけないように感じるのですが、
如何なものでしょうか。
③上記通達について、国税局相談室に電話で聞いたところ、「国、地方公共団体等」の
「等」には、民間団体も含まれるというお返事でした。
NO.1206に於いて、「国、地方公共団体」で無いと適用されないというような回答が
ありましたが、実際のところ、どちらなのでしょうか?
以上、長文になってしまい申し訳ありません。
よろしくお願いいたします。
Re: 法人税との関連について 投稿者:
シーズ・轟木 洋子 投稿日:2002/06/07(Fri) 15:35:00
No.1193
笠谷さん、
ご投稿ありがとうございます。
(1)については、NPO法第46条に定められています。第46条は、以下のように
定めています。どうぞご参照ください。
第四十六条
特定非営利活動法人は、法人税法(昭和四十年法律第三十四号)その他法人税に関する
法令の規定の適用については、同法第二条第六号に規定する公益法人等とみなす。この
場合において、同法第三十七条の規定を適用する場合には同条第三項中「公益法人等」
とあるのは「公益法人等(特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)第二条第二項
に規定する法人(以下「特定非営利活動法人」という。)を除く。)」と、同条第四項
中「公益法人等」とあるのは「公益法人等(特定非営利活動法人を除く。)」と、同法
第六十六条の規定を適用する場合には同条第一項及び第二項中「普通法人」とあるのは
「普通法人(特定非営利活動法人を含む。)」と、同条第三項中「公益法人等」とある
のは「公益法人等(特定非営利活動法人を除く。)」と、租税特別措置法(昭和三十二
年法律第二十六号)第六十八条の六の規定を適用する場合には同条中「みなされている
もの」を「みなされているもの(特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)第二条
第二項に規定する法人については、小規模な法人として政令で定めるものに限る。)」
とする。
(2)(3)については、もう少しお待ちいただきたく思います。
特に、(3)については、国税局相談室でのお答えがまちまちのようですので、他の方
法で調べてみます。
シーズ事務局・轟木 洋子
Re: 法人税との関連について 投稿者:
公認会計士・赤塚和俊 投稿日:2002/06/10(Mon) 15:13:00
No.1194
笠谷 璃 さん
①については、轟木さんの答えの通りです。
②については、一般的に言って補助金が交付されるときは、その目的、
使途等は交付要綱等で明確になっています。収益事業に対するものか
非収益事業に係るものかの判断に迷うケースはあまり考えられません。
それでも明確に判断できない場合に収入の割合で按分すべきだという
のは、NPO法人の場合には通常あてはまりません。というのもNP
O法人の非収益事業で補助金対象になるような事業は、補助金以外に
収入がないことも多いからです。むしろ事業費の割合で按分するべき
でしょう。
「収入の100%が収益事業に拠っている」ことも通常はありません。
たとえば、事業内容が100%介護保険というNPO法人でも会員の会
費や寄付金収入があります。また、事業内容にしても会員の交流や研
修など収益事業に含めなくてもいい事業を行っていることもあります。
いずれにせよ、収入面だけから判断するのは適切ではありません。
③については、税務署や相談室の見解も分かれているようです。轟木
さんの調査の結果を待ちたいと思います。
この件についてはQ664からの一連のやりとり、特にNo.670とNo.
677もご覧ください。
公認会計士・赤塚和俊
Re: 法人税との関連について 投稿者:
シーズ・轟木 洋子 投稿日:2002/06/11(Tue) 13:21:00
No.1195
笠谷さま
お待たせしておりましたが、(3)についてです。
まずは再々度、国税局相談室に電話で問い合わせました。またじっくりとお調べ
くださいましたが、今回のお答えでは「国、地方公共団体等」の「等」には、民
間団体だけではなく個人も含まれる、ということでした。
(前回と違っていて困ったものです)
よって今度は、国税庁課税部法人課税課に問い合わせてお答えいただきました。
そのお答えは、
「『国、地方公共団体等』の『等』には、国、地方公共団体、民間企業、民間団体、
個人も含まれる」
とのことでした。また、
「要は、その固定資産への補助金、助成金等が反対給付のない純粋な寄附か否かと
いうこと」
とのことです。ただし、
「これが、『等』の読み方ですが、個別については、別途税務署で相談してください」
とも付け加えられました。
以上からみると、収益事業へ出されたものであっても、固定資産の取得や改良にあて
る補助金、助成金等については、国、地方公共団体、民間団体、個人からを問わず、
収入として扱わなくてもよい、つまり課税対象とならない、というのが原則のようです。
ただし、困ったことに、「個別については別途税務署で相談」とのことですから、税
務署の窓口によって扱いがまちまちになっているのが現状のようです。そのために、
この質問箱の「677」「679」のように、助成金を出している財団側が課税対象
だと判断してしまうようなことも起きているのでしょう。
シーズ事務局・轟木 洋子
Re: 法人税との関連について 投稿者:
公認会計士・赤塚和俊 投稿日:2002/06/12(Wed) 14:11:00
No.1196
赤塚です。
東京都内、町田税務署の事例がわかりました。介護保険事業を行う
NPO法人ですが、昨年、日本財団の助成金で車両を購入しました。
この点について、今年3月に税務署に相談したときには助成金は事
業収入に含めるよう指導されたのが、5月に確定申告するときにな
って急に事業収入には含めなくて良いと言われたそうです。
各地のもっと多くの事例を知りたいと思います。実際に体験した方、
情報をお持ちの方、是非この質問箱へ投稿下さい。今後の参考にな
るだけでなく、既に課税収入として申告してしまった法人でも1年
以内であれば更正の請求が可能です。更正の請求をされた場合は、
その結果もお知らせ下さい。
なお、私も4月のシーズ主催の研修会で国や地方公共団体から直接
助成されたもの以外は課税されると説明していました。結果的にミ
スリードになってしまった可能性があります。お詫び致します。
公認会計士・赤塚和俊
Re: 法人税との関連について 投稿者:
みずき 投稿日:2002/06/12(Wed) 21:22:00
No.1197
赤塚先生にこの件でご相談をさせて頂いた
所轄税務署が町田のNPOです。
当方は車両と建物付属設備とそれぞれ別々の
団体(民間)の助成を受けて固定資産を取得しました。
何度か税務署に相談し、法人第一部門の担当者は
その都度別の人でしたが、一貫して助成金は
非課税収入との判断を頂き、しかし減価償却は
経費計上できるとのことでした。
5月の確定申告をする際、再度担当者の名前を聞いた
上で申告を致しました。今の所、特に修正等についての
問い合わせはありません。
3月のセミナーに参加させて頂き、赤塚先生の資料を拝見し
通達の解釈の違いで税務署の判断が違うのか、
判らなくなりましたのでこの質問箱で質問させて頂いた次第です。
Re: 法人税との関連について 投稿者:
公認会計士・赤塚和俊 投稿日:2002/06/13(Thu) 10:17:00
No.1198
一部私に事実誤認があったようです。
重ね重ね申し訳ありませんでした。
公認会計士・赤塚和俊