English Page
認定NPO法人申請について 投稿者:青木 投稿日:2002/06/13(Thu) 13:12:00 No.1201
はじめまして。認定NPO法人の認定要件について2点ほど教えて下さい。

①「直前2事業年度等における事業活動のうち次の活動の占める割合が50%未満であること」とありますが、
分母の「全ての事業活動に係る金額等」を「収支計算書の支出金額」として考えた時、
分子の「会員等相互の交流、連絡、意見交換その他その対象が会員等である活動に係る金額等」の解釈として、
現行の理事会やその下部組織の作業部会及び社員総会も含まれるのでしょうか。
それとも、その後に行う親睦会に係る費用のみと考えて良いのでしょうか。

②「事業費の総額のうち特定非営利活動に係る事業費の額の占める割合が80%以上であること」とありますが、
分母の「事業費の総額」とは、
収支計算書の支出の部から管理費と先程の親睦会に係る費用を差し引いた差額と解釈して良いのでしょうか。
また分子の「特定非営利活動法人に係る事業費の額」は、さらに収益事業を控除した額になるのでしょうか。
実際には、定款の目的を達成するための収益事業として、派遣業務を行っております。
しかし、収出の大半は収益事業の従事者へのアルバイト代であり、
収支としては事務手数料程度の年間約10万円程度にしかなりません。
この場合、定款上は収益事業でも「特定非営利活動法人に係る事業費の額」として計算は出来ないのでしょうか。

なかなか上手く説明ができていないかもしれませんが、宜しくお願い致します。
また、直接ご相談に伺うことは可能なのでしょうか。
Re: 認定NPO法人申請について 投稿者:シーズ・轟木 洋子 投稿日:2002/06/18(Tue) 17:27:00 No.1202
青木さん、

ご投稿ありがとうございます。番号順にお答えしていきます。

(1)これは、認定申請するNPO法人の事業の共益性がどの程度のもので
あるかを知るための要件です。共益とは会員等どうしの利益を目的とする活
動で、同好会やサークル的なものを排除するために設けられた要件です。
東京国税局にも確認したところ、ここには会員総会、理事会などの会議費用
は含まれないとのことです。理事会の下部組織としての作業部会についても、
会員相互の親睦などを目的としたものでなければ、含める必要はないとのこ
とでした。

(2)青木さんの法人で行っておられる派遣業務が、書いておられるような
定款の目的を達成するための事業ということなら、NPO法上は特定非営利
活動になります(ただし、税法上は収益事業である可能性があります)。
次に、総事業費に占める特定非営利活動に係る事業費の割合の出し方です。
これは、まず総支出を、総事業部門と総管理部門に分けます。そして、その
総事業部門をさらに特定非営利活動に係る部分とそれ以外の活動部分に分け
ます。この特定非営利活動にかかる部分が、総事業部門の80%以上でなけ
ればいけないということです。

それでは、またご質問がありましたら、お寄せください。

シーズ事務局・轟木 洋子
Re: 認定NPO法人申請について 投稿者:青木 投稿日:2002/06/20(Thu) 14:25:00 No.1203
早速のご回答ありがとうございました。

(2)でのご回答について、もう少し教えて下さい。
「定款の目的を達成するための事業ということなら、NPO法上は特定非営利活動になる」との
ご回答がありました。

本法人の定款において、「この法人は、第○条の目的を達成するため、次の事業を行う。」として、
(1)特定非営利活動に係る事業(2)収益事業を挙げています。
これは、内閣府「特定非営利活動法人の設立の手引き」を参考に作成しました。
また、特定非営利活動促進法(NPO法)第5条(収益事業)第2項では、
「収益事業に関する会計は、(省略)特定非営利活動に係る事業に関する会計から区分し…」と
あることから、本法人の収支計算書は「特定非営利活動」「収益事業」の2枚作成して所轄庁に
報告しております。
従って、これらに「特定非営利活動に係る事業」との表現があることから、
分子の「特定非営利活動に係る事業費の額」には「収益事業」を含むことが
出来ないのだと解釈していました。

お手数をお掛けして申し訳ございません。
具体的にNPO法上のどの部分から、特定非営利活動になるのかご説明下さい。
Re: 認定NPO法人申請について 投稿者:シーズ・轟木 洋子 投稿日:2002/06/21(Fri) 15:17:00 No.1204
青木さん、

前回の私の答えで足りなかった部分があり、申し訳ありません。
少々長くなりますが、まずは基本部分を書きますのでお許しください。

大変ややこしいのですが、「収益事業」という言葉には、注意が必要です。という
のは、現行のNPO法上の「収益事業」と、法人税法上の「収益事業」が異なるか
らです。

たとえば、環境保護団体が環境に関する本を出版して、環境保護の重要性を一般の
人に知ってもらうような活動をした時、これは法人税法上は「出版業」にあたり、
収益事業です。しかし、NPO法上では環境を保護するという定款の目的を達成す
るための特定非営利活動事業です。
一方、もし同じ団体が裏山の空地を利用して駐車場にして、これで利益をあげた場
合、たとえその利益は環境保護活動に充てられる場合でも、駐車場経営は環境保護
と直接関係ないので、特定非営利活動ではありません。よって、NPO法上の収益
事業となります。また、駐車場業は税法上でも収益事業です。

つまり、その事業が直接に目的達成のための事業であれば、NPO法上の特定非営
利事業です(ただし、法人税法上は収益事業になる場合があります)。もし、そう
ではなく、目的達成のための資金稼ぎのための事業で、直接その事業によって目的
が達成されるものでないなら、NPO法上の収益事業です。

NPO法人の事業は、今のところ次の4つの区分されているのです。
(1)NPO法上の特定非営利活動事業で、税法上の非収益事業 (非課税)
(2)NPO法上の特定非営利活動事業で、税法上の収益事業  (課税)
(3)NPO法上の収益事業(非本来事業)で、税法上の非収益事業 (非課税)
(4)NPO法上の収益事業(非本来事業)で、税法上の収益事業 (課税)

なお、法人税法上の収益事業とは、限定列挙された33業種です。その33の業種
とは、次のものです。

1 物品販売業  2 不動産販売業 3 金銭貸付業 4 物品貸付業 
5 不動産貸付業 6 製造業    7 通信業   8 運送業
9 倉庫業    10 請負業   11 印刷業  12 出版業
13 写真業   14 席貸業   15 旅館業  16 料理店業その他の飲食店
17 周旋業   18 代理業   19 仲立業  20 問屋業
21 鉱業    22 土石採取業 23 浴場業  24 理容業
25 美容業   26 興行業   27 遊技所業 28 遊覧所業
29 医療保健業 30 技芸教授業 31 駐車場業 32 信用保証業
33 無体財産権提供業

以上が原則です。
よって、もし青木さんの団体がやっている「派遣業務」が直接に定款の目的を達成
するための事業であれば、たとえ対価を得て(料金や代金を取って)行う活動でも
NPO法上は特定非営利活動なのです。そして、定款を作る時には、これを収益事
業として書かない方が良いのです。
ところが、対価を得て行う活動は全てNPO法上も収益事業だと思って、そのよう
に定款に書いてしまっている団体が結構あるようです。青木さんの団体もそうなの
かもしれません。

いったん定款に書いてしまうと、実態は特定非営利活動であっても、もう定款が優
先されてしまうことになります。これを変更するには、定款変更の手続きを経るし
かなく、手間が結構かかります。

定款を作る時は、所轄庁の手引きだけを頼りに作ってしまうと、このようなことが
起こりがちです。十分な注意が必要です。

ところで、このNPO法上の収益事業と、税法上の収益事業が異なっていて大変分
かりにくいため、NPO法を改正して「収益事業」という言葉をなくし「その他事
業」に統一しようという動きはあります。ただし、いつ法改正になるかはまだ分か
らない状況です。これについては、シーズのホームページのニュースで紹介してい
ます。次のアドレスからアクセスできます。
http://www.npoweb.gr.jp/newsinfo.php3?attrid=1&newsid=629

シーズ事務局・轟木 洋子
Re: 認定NPO法人申請について 投稿者:青木 投稿日:2002/10/04(Fri) 15:13:00 No.1205
ご連絡が遅くなり申し訳ございませんでした。

NPO法上の特定非営利活動に係る事業と収益事業の解釈を間違えていた事が分かり、
定款の変更及び過去の所管庁へ提出していた事業報告書を修正することになりました。
なかなか認定NPO法人申請手続きに辿り着くまでに相当な時間がかかりそうです。

再度、認定NPO法人申請について、別の認定要件のことで教えて下さい。
「総収入金額から補助金等を控除した金額のうちに受入寄附金総額から
基準限度超過額等を控除した金額の占める割合が3分の1以上であること」とありますが、
「受け入れた寄附金の明細表」を作成する際に
「3寄附者の氏名又は名称が明らかな寄附金」の
「①左のうち基準限度超過額」の算出方法は、
「②寄附金額」の2%相当額を超えた額(①寄附金額の98%)ですか?
それとも、
「①寄附金額」から基準限度額(受入寄附金総額の2%相当額)を超えた額ですか?

どちらにしても、当法人は「3分の1以上」という条件がクリアできていないようです。
どうやら、特定の少数の者からの寄附金に依存していたために
一者当たりの受け入れた寄附金の2%を超える金額を
カットして分子には含められないからです。
なぜ認められないのでしょうか?
特定の少数の者の寄附金に依存した活動は広範な支持を得たとは言えないということ
でしょうか?
他の法人では、不特定多数の方から寄附を募るにはどのような活動をしているので
しょうか?実際のところ、大変に難しいと思うのですが?
Re: 認定NPO法人申請について 投稿者:シーズ・轟木 洋子 投稿日:2002/10/10(Thu) 11:58:00 No.1206
青木さん、

基準限度額を超えた寄附金を入れることができないのは、NPO支援税制が、
「多くの人に支持されているNPO法人に認定を与える」という考え方に立っ
ているからです。

確かに、今の認定要件では、ほとんどのNPO法人は認定を受けることができ
ません。これは大変大きな問題です。
シーズの次のホームページを見ていただければ分かるように、現在、NPO側
からは「3分の1以上」の寄附要件を「5分の1以上」とするよう、また初回
においては「10分の1以上」とするように求めていますし、基準限度額も2%
から5%に引き上げるように求めているところです。

http://www.npoweb.gr.jp/aboutcs/200207campaign.html

この改正の運動の山場はこの秋です。青木さんの法人にも、おそらく改正のた
めの署名用紙が送られたことと思いますので、ぜひご協力ください。
なお、12月半ばには、この改正要望の結果が出てくると思います。改正され
た要件は、来年4月から施行になると思われます。

なお、認定申請の様式の「②左のうち基準限度超過額」というのは、寄附金か
ら「基準限度額」を引いた額(つまり超過した額)を書き込みます。
しかし、基準限度額というのは、一事業年度内に受けた寄附金総額から算出し
て得られる一定の金額ですから、青木さんが書いておられるように、2%を引
いた98%という訳ではありません。

例えば、基準限度額が6万円だと算出された場合、8万円の寄附をした人の基
準限度超過額は2万円です。100万円の寄附をした人の基準限度超過額は
94万円です。5万円の寄附をした人の基準超過額は0円です。

手前味噌ですが、NPO支援税制の認定要件については、シーズのブックレッ
トシリーズNO.8「NPO支援税制がよくわかる本」に詳しく、またやさし
く解説しています。すでに認定を受けた法人からも好評をいただいていますの
で、よろしければお求めいただき、お読みいただければと思います。

他のNPOが、どのように寄附を集めているかという質問についてですが、そ
れぞれ大変苦労されながら、そして工夫されながら集めておられるということ
だと思います。
募金の手法にはいくつもありますが、それぞれのNPOによって、どの手法が
良いのか、また誰にアプローチすれば良いのかも違っていると思います。

シーズでは、こうした募金に関する活動についても、今後研究してホームペー
ジなどでも紹介していきたいと考えています。

なお、募金が上手そうなNPOのホームページなどを見るのも参考になるかと
思います。

それでは、またご質問がありましたらお寄せください。

シーズ事務局・轟木 洋子
Re: 認定NPO法人申請について 投稿者:青木 投稿日:2003/01/23(Thu) 08:31:00 No.1207
お世話になっております。

認定要件のパブリックサポートテスト(日本版)において、
分子の「受入寄附金総額等」に「(寄附金の性質を有する)会費」が
含まれるという話を聞きました。

その方が仰るには、平成14年4月の一部改正によるものだそうです。
ちなみに、「(寄附金の性質を有する)会費」とは、
社員総会での投票権を有する正会員やニュースレター等を受け取る会員からの会費は
対価を得るので、「(寄附金の性質を有する)会費」とは言えないらしいのですが、
会費のみを支払い現段階では何も得ていない会員証程度の賛助会員であれば、
「(寄附金の性質を有する)会費」に当たるとのことです。

シーズのニュース情報(2002.4.1)では、
「役員・社員からの寄附金」と解説されておりますが、
この「寄附金」には、先の「(寄附金の性質を有する)会費」も含まれていると
解釈しても良いのでしょうか?
また「寄附金」と「会費」の定義があるのでしたら、教えていただけないでしょうか?

宜しくお願い致します。
Re: 認定NPO法人申請について 投稿者:シーズ・轟木 洋子 投稿日:2003/01/24(Fri) 14:03:00 No.1208
青木さん、

平成14年4月1日の改正で日本版パブリック・サポート・テストの分子(受入寄附金
総額等)に入れることができるようになったのは、役員・社員からの「寄附金」だけで
す。

社員からの会費は、今でも分子には入れることはできません。この点については、今年
平成15年4月1日からの改正でも、残念ながら変更がありません。
例外は、社員からの会費に「口数」制度を取っている時です。「1口以上で何口でも」
という場合の社員の会費については、2口目からは寄附とみなすことができます。これ
は、平成14年4月1日の改正で可能となった点です。

一方、社員以外の会員(賛助会員など)からの会費に限っては、対価性のない会費部分
は、最初のNPO支援税制施行時から分子に算入ができることになっています。

例えば、購読料が年間3000円のニュースレターを賛助会員に送っている場合で、そ
の他の対価性のあるサービスはなく、賛助会費が1万円だとすると、3000円分の対価
性がある購読料を除いた7000円を寄附とみなすことができる訳です。

つまり、会費については、次の3つに分類できます。
1)社員の会費 (分子に入れることはできません)
2)社員以外の会員からの会費のうち、対価性のある会費 (分子に入れることはできません)
3)社員以外の会員からの会費のうち、対価性のない会費 (分子に入れることができます)

なお、会費についての定義は、NPO支援税制に関する法令には書かれていません。
というのは、上記のように会費とはいっても、寄附的な性格のものと、サービスに対す
る対価であるものが混在しているからです。そのため、会費については、対価性がある
か否か、反対給付があるかないかで、扱いを判断しているのです。
(お金を払った時に受ける物品やサービスを『反対給付』といいます。反対に物品や
サービスを提供してお金を受け取った人にとっては、お金が『反対給付』です)

なお、社員の会費が寄附扱いにならないのは、総会での議決権が反対給付にあたるから
だという説明をする人もいます。NPO法人も社団(人が集まってつくった団体)のひ
とつですが、社団法人の場合は社員の会費は法人を維持する拠出金であるとして寄附に
はなりません。この考え方が、NPO法人にも適用されているのだと思います。
(シーズがこの考え方に賛成している訳ではありません)

一方、寄附金というのは、任意性があって(自分の意思で出すお金であって)、反対給
付を受けないお金だと説明されています。

シーズ事務局・轟木 洋子

- WebForum -