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優遇税制と公益性 投稿者:一大学生 投稿日:2002/10/20(Sun) 14:53:00 No.1403
以前にも質問させていただいたものです。
その際、すぐに回答きただきありがとうございました。

公益法人等、認定NPO法人、NPO法人、中間法人は公益の度合いによって
課税特典が異なると認識しているのですが、
法人税を株主の源泉課税とすると、株主がいないこれら法人は
すべて非課税になるのではないでしょうか?また収益事業も。

なぜ公益なら課税特典があり、中間ならないのでしょう?
Re: 優遇税制と公益性 投稿者:公認会計士・赤塚和俊 投稿日:2002/10/20(Sun) 18:06:00 No.1404
一大学生さん

> 公益法人等、認定NPO法人、NPO法人、中間法人は公益の度合いによって
> 課税特典が異なると認識しているのですが、

正確に言えば国が考える「公益性のランク」ですね。それ自体おかしいと
思いますが現実はそうなっているというのは事実です。

> 法人税を株主の源泉課税とすると、株主がいないこれら法人は
> すべて非課税になるのではないでしょうか?また収益事業も。

これは法人擬制説に立つか法人実在説に立つかという問題だと思います。
法人税法は一貫しているわけではありませんが、基本的には法人実在説に
立っていますので、株主がいないから非課税ということにはなりません。

> なぜ公益なら課税特典があり、中間ならないのでしょう?

中間法人の場合は「公益の度合い」の問題ではなく、そもそも「公益性は
ない」と考えられているからです。不特定多数の利益に資するのが公益で
あり、中間法人はメンバー相互の互助、利益を図るいわゆる「共益団体」
という位置付けになります。

ただ、そうは言っても任意団体とのバランスからも、私も個人的には中間
法人も収益事業にのみ課税するということでいいと思っています。実際に
は、おっしゃる通り会費でも寄附金でも益金とみなされ、差引所得があれ
ば法人税が課税されます。

                公認会計士・赤塚和俊
Re: 優遇税制と公益性 投稿者:一大学生 投稿日:2002/10/23(Wed) 11:50:00 No.1405
 早速返答していただき、ありがとうございます。

 そこで、新たな疑問が生まれました。
「法人擬制説で公益法人等が非課税ではない」、
「中間は共益であって公益でないので優遇しなくてよい」ならば
行革推進事務局が8月に発表した
「公益法人制度の抜本的改革に向けて」にかかれていた
「法人は営利・非営利に分けて、非営利の中から公益のものに課税特典」ではなく、
「非公益・公益に分けて、公益に課税特典」でよいと思うのですが。
中間法人は収益事業も中間事業も一般税率なんでしょ?
つまり、中間法人を営利法人と合わせて考えればいいのではないですか?

 もっと言ってしまえば、「公益で課税特典」ならば、
法人格の有無にかかわらず、公益活動をすれば
課税特典を与えればいいのではないでしょうか?
「任意団体とのバランス」に謎をとく鍵があるのですか?

 世の中わからないことだらけです。是非教えてください。
Re: 優遇税制と公益性 投稿者:公認会計士・赤塚和俊 投稿日:2002/10/24(Thu) 14:35:00 No.1406
一大学生さん

> 「法人擬制説で公益法人等が非課税ではない」、

法人擬制説は基本的にはオーナー課税であり法人税等はその前段階課税という
考え方です。だから所有者のいない法人には課税は不要ということです。各国
とも現実には理論通りにはいっていませんが、基本はそういうことです。

> 「中間は共益であって公益でないので優遇しなくてよい」ならば

この問題は上記の論点とは違い、政策論の範疇です。つまり、社会として公益
活動を行う民間団体を税制で支援するのか、するとしたら団体の性格(営利か
非営利か、公益か共益か、法人か任意団体か等々)で差をつけるのか、つける
としたら、その尺度は何か、メリットの差異はどうするか等々、理論的整合性
と政策論の問題だと思います。私の示したものはそのひとつの考え方です。

> 「公益法人制度の抜本的改革に向けて」にかかれていた
> 「法人は営利・非営利に分けて、非営利の中から公益のものに課税特典」ではなく、
> 「非公益・公益に分けて、公益に課税特典」でよいと思うのですが。
> 中間法人は収益事業も中間事業も一般税率なんでしょ?
> つまり、中間法人を営利法人と合わせて考えればいいのではないですか?

それも一つの考え方だと思います。

>  もっと言ってしまえば、「公益で課税特典」ならば、
> 法人格の有無にかかわらず、公益活動をすれば
> 課税特典を与えればいいのではないでしょうか?

その点は私も賛成です。

> 「任意団体とのバランス」に謎をとく鍵があるのですか?

良い着眼点だと思います。

世の中わからないことだらけなのは、私も同様です。日本の公益法人制度は
民法34条から出発して特別法でつぎはぎを重ねてきたために、合理性も整合
性もぐちゃぐちゃになっています。そこで公益法人制度改革の話になるので
すが、これも、財団、社団、中間法人、NPO法人以外は対象にしないとい
う中途半端なことになっています。

もちろん制度改革を行うのであれば、
(1)営利と非営利
(2)公益と非公益(共益)
(3)税法上の収益と非収益
についてのきちんとした定義づけや相互の関係について理論的な整理が必要
なのはいうまでもありませんが、すぐに本質を離れて制度運用の話や既得権
の利害得失へ向かう傾向があります。困ったことです。

              公認会計士・赤塚和俊

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