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助成金について? 投稿者:しらみ シラミ 投稿日:2002/10/21(Mon) 14:29:00 No.1410
新しくNPOの事業を創め様としているのですが、何か良い助成金はないですか?。
具体的に言いますと(事務所を設置する資金・広告代・事務機器代・人件費・など・・・)
教えてください、宜しくお願いします。
Re: 助成金について? 投稿者:シーズ・安部嘉江 投稿日:2002/10/22(Tue) 15:16:00 No.1411
しらみシラミさん

私はシーズの助成金情報を担当しております、安部と申します。
ご質問は、NPOの立ち上げ期の助成金で何かいいものはないか、ということ
でしたね。

日本のNPOの一番の問題は財政基盤が脆弱なことといわれており、私ども
シーズでもそのような問題の解決に少しでも寄与することができれば、という
思いで助成金情報コーナーを設置しております。

結論から申し上げますと、私どものHPの「現在募集中の助成金情報コーナー」
をご覧ください、としか申し上げられません。
ただ、情報量の多さに力点を置いているために、使いにくいという声を聞くこ
ともあり、どのようにすればより多くのNPOの方々に貢献できるのか、悩ん
でいるところでもあります。

ここでは助成金を探す場合のポイントと思われることをお話したいと思います。
それは、資金の出し手を知る、ということに尽きると思います。
NPOに対する資金の出し手をおおまかに分類すれば、(1)助成を主事業と
する財団や社団(このなかには信託銀行が受託、管理運営する公益信託も
含めます)と(2)企業、(3)中央省庁や自治体の三つに分けることができます。

(1)の助成財団等は、もっとも意欲的にNPOに資金を供給し、NPOの発展
に大きく寄与したといわれておりますが、注意することが一点あります。
それは、財団等の設立が主務官庁による許可によっているために、主務官庁の
所管する行政事務を超える範囲の助成をすることが、大変難しいシステムにな
っているということです。
つまり、各助成財団は得意とする分野をもっているということです。縦割り行政
の弊害として問題とされてはいますが、それでも、企業や行政と比べて、先駆
的、革新的な分野に先行して助成してきた功績を認めないわけにはいきません。
助成財団のなかにはNPOの立ち上げ資金に特化した助成プログラムを展開し
ているものもありますが、あまり多くはないのが実情です。
募集は終わりましたが、損保ジャパン環境財団(環境分野)、損保ジャパン記
念財団(福祉分野)などが広範囲のNPOの設立を支援しています。

次に、(2)の企業ですが、ひところのばらまきに近い社会貢献ブームが去り
今は、本業と関わりのある事業に助成する傾向が強まっています。その方が
より説得力があり、社内の士気向上に結びつくからです。
たとえば、ファイザー製薬の「心とからだのヘルスケアプログラム」やパタゴ
ニアの「自然環境保護支援プログラム」などが挙げられます。
海外では、アルコール製造会社がDV防止プログラムを支援する、などという
例もあります。アルコールがDVを引き起こすひとつの要因となっているとい
われているからです。
これら企業の支援プログラムは私どもがその情報をキャッチし、承諾が得られ
次第、HPに掲載させていただくようにしておりますが、ご自分のNPOの事
業と、その会社との関わりを明確化し、その会社にとってのメリットも提示す
ることができるならば、個別にアプローチすることも有効な手段となるかもし
れません。

最後に(3)自治体、中央省庁など公的機関による助成についてです。まず、
自治体についてですが、今、多くの自治体が、NPOに対する補助金等の助成
制度をもっています。自治体の助成制度のよいところは、たいていの場合、
分野を限定することなく、広く募集していることです。助成財団に比べると、
5万~30万円程度の小幅な助成になりますが、最寄の自治体窓口やNPO支援
センターに行かれるか、HPなどで確認されることをお薦めします。
中央省庁については、外務省のNGO支援無償資金協力のように直接、省庁が
助成プログラムを展開している場合もあれば、外郭の財団や社団、特殊法人が
国からの資金を管理、配分していることもあります。
中央の資金を獲得するためには、貴NPOと関係がありそうな省庁のHPなど
で、外郭団体をチェックし、その団体のHPで公募情報を探すことが必要でし
ょう。
特殊法人で大きなところでは、社会福祉・医療事業団やtotoの売り上げ金
を配分する日本体育・学校健康センターなどが大規模な助成をしています。

資金の出し手のおおまかな特徴を述べましたが、この質問箱のNO.1392
でも申しましたように、資金の出し手がある分野に限定した助成をしたがって
いる場合は、貴NPOがその分野に関連づけた事業を展開することも助成金獲
得につながる重要なポイントです。
環境団体が青少年の育成の一端を担うようなプログラムを行えば、現在募集中
の(財)たばこ産業弘済会による青少年育成のための助成プログラムなども検
討の遡上にあがってくるはずです。
著名な活動家を招いてシンポジウムを開くなどの事業を行えば、国際交流や、
会議開催のための助成を受けることも可能でしょう。
要は、固定観念にしばられないことが大切なのです。
そのような意味もあり、シーズでは、分野別の提示をしておりません。
ご理解いただければ幸いです。

最後に、人件費や事務所資金についてご質問がありましたが、これについては、
現在、徐々に人件費への助成を事業費の何割まで、などという制限つきで可能
とするプログラムもでてきておりますが、全般的にいって非常に難しいといって
よさそうです。
なぜなら、いわゆる管理費を助成することは、団体の自立を妨げる恐れがある
からなのです。貴NPOが介護事業を行うのであれば、(財)介護労働安定セ
ンターの介護雇用創出助成金を活用できるかもしれませんが、これも1年のみ
の助成に限られております。
ある事業を遂行するにあたって必要であれば、臨時的なアルバイト代は除外さ
れないこともありますので、これも個別に見ていただくしかありません。
繰り返しますが、正職スタッフの人件費をみてくれる助成金は非常に少ないの
が実情です。

事務所設置資金も管理費にあたりますので事情は同様ですが、非常に数はすく
ないものの、大阪市や横浜市で、事務所スペースを安価で提供していることが
あります。
これも、活動拠点のNPO支援センターなどで、情報収集をなさってください。
なお、リユースパソコンを寄贈している団体もありますので、当HPをご参照
ください。

いずれにしろ、NPOの財源として助成金の位置づけを高くすることはお薦め
できません。助成金の多くは公募制をとっており、競争率が非常に高く、また、
受給できたとしても、選考期間などを含めて数ヶ月先になるのが通常です。
NPOの方とお話をしていても、何本も助成申請を並行して行っているし、とれ
るのはそのうちのわずかであると聞いております。

いろいろと述べましたが、何より参考になるのが、貴NPOのネットワークか
ら、どこがどんなプログラムに助成しているのか生の情報を収集されることが
一番近道かもしれません。
シーズのHPはその際の道具としてお使いいただければと思っています。
今後は、キーワード検索でも助成金情報がひっかかってくるよう、システムを
充実していきたいと思っています。今しばらくお待ちください。
以上、長くなりましたが、参考にしていただければ幸いです。

なお、個別の助成金相談には、なかなかのることは難しいのが実情です。
皆様のご健闘をお祈りします!

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